【そのマイクで合ってる?】自分の声質とマイクの特性が合っているかを判断する方法
自分の歌声を最大限に活かすためには、自分の声質に合った最適なマイク選びが重要です。なんとなく定番のマイクを使ってはいるものの、マイクが自分の声に合っているかどうかはよくわかっていない…という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自分の声質とマイクの特性が合っているかどうかを見極める方法をご紹介します。正しいマイクを使用することで、よりクリアで表現豊かなサウンドになり、楽曲全体のパフォーマンス向上に繋がります。
声のキャラクターが決まる要素
声質は基本音(基音)とその倍音(高次倍音)から構成され、特に倍音成分の量によって、声質に大きな影響を与えます。この基音と倍音成分の調和的な組み合わせによって、声色のキャラクターとして現れます。
倍音とは?
倍音とは、基本周波数の整数倍の周波数で発生する追加の音波です。基本周波数は通常、聞こえる音の高さ(ピッチ)を定義する周波数です。倍音は、その基本周波数に対して整数倍となる周波数を持ちます。
例えば、基本周波数が100 Hzの場合、倍音には200 Hz、300 Hz、400 Hz、などが含まれます。これらの倍音は、基本周波数と同じ波形を持ち、それに追加されることで音の質や色を形成します。
普段自分の声の倍音を感じることはありませんが、よく響く空間で笑ったり歌ったりすれば、無数の倍音のハーモニーを感じることができます。合唱を経験したことのある方なら、いくつもの音程が重なり合った時に、より大きな 倍音を体感したことがあるはずです。
自分の声質を判断する
自分の声にどれくらいの倍音が含まれているかどうかを耳だけで判断するのは難しいです。一番簡単な方法としては、マイクを受かって自分の声をDAWに取りこみ、スペクトラムアナライザーで波形を見るのが確実です。
自分の声だけを見ても、基準がないとよくわからないと思うので、ボーカルサンプルやボーカルリムーバーを使ってプロの声質もチェックしてみると、自分の声がどういった特性を持っているのかが判断しやすいです。
声質の他にも、自分の歌い方にも着目してみましょう。一般的には、口先で歌うよりも、口内や頭蓋骨、体全体を使って共鳴させるような歌い方は倍音が増え、また、しゃがれたようなハスキーボイスも倍音が豊かである証拠です。
口内で小さな声に抑えて歌うと倍音は少なくなります。大きな声は多くの空気を振動させるため倍音が多く発生しますが、マイクに近づいて歌う場合は空気の量が少なくなる為、音を伸ばすような歌い方をすると倍音が発生しやすいです。
声がこもって抜けてこない場合は、鼻の通りを良くするだけで倍音が増えて、聴き取りやすい声質になります。
声質に合わせたマイク選び
高音に特徴のある声の方や、ハスキーな声質の方は、倍音まで忠実に収めるハイファイ寄りのマイクよりも、高音域が出過ぎないマイクの方がマイルドな心地よい音になります。逆に、低音に特徴のある声や、倍音が伸びない人は、高域の伸びがいいハイファイなマイクが合います。
高音に張りがあって抜けの良い声質だと、高域が出やすいマイクの方が合うような気がしますが、逆に、高域が出過ぎて耳に突き刺さるようなハイトーンになってしまう可能性があります。
また、コンデンサーマイクを使用する場合は、音が割れやすく倍音が発生します。マイクの倍音と人の声の倍音が混ざり合うことで、自分の歌に張りが出て、うまく聞こえてくるはずです。
マイクの特性を知る
ボーカル用マイクには大きく分けて、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類があります。コンデンサーマイクとダイナミックマイクの主な違いは、周波数レンジの差にあります。
マイクの種類とその効果について
コンデンサーマイク
コンデンサーマイクは低域から高域までの広範囲な周波数を収音し、高い感度を持っています。そのため、中高域から滑らかに収音することが可能です。
コンデンサーマイクはダイヤフラムと呼ばれる振動版を使い、静電容量を変化させて電気エネルギーに変換します。その為、電気を蓄積する必要があるので、ファンタム電源が必要となります。
主にボーカルや、アコースティックギター、ピアノ等の繊細なニュアンスを拾いたい場合によく使用されます。
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ダイナミックマイク
ダイナミックマイクの魅力は音に厚みがあり、声の帯域にフォーカスして収音することができます。マイク内の可動コイルを振動させ、音エネルギーを電気に変換して増大させたり、記録可能な状態にします。
ダイナミックマイクはマイク界の中では万能タイプに属しています。他のタイプのマイクよりも比較的安い値段で購入でき、耐久性にも優れているので長く使用できます。
ダイナミックマイクのベストセラー製品である「Shure SM57」は大きな音圧にも耐えることができるので、比較的音の大きいエレキギター、ベース、生ドラムの収音にも適しています。
ハイファイであれば良いというわけでもない…
高感度なハイファイなマイクで広い周波数範囲を収めすぎると、後で余分な部分を取り除く必要が生じ、音の調整が複雑になります。
周波数レンジが広く、感度が広いことが優れているということはなく、楽曲にマッチしたボーカルトーンを収音することが最も重要です。個人の好みや楽曲のニーズに合わせて、異なるマイクを使い分けることで、理想的なボーカルトラックを追求することができます。
歌う環境も考慮する
防音設備がしっかりしたレコーディングスタジオ等の場合は、コンデンサーマイクの方が高音質な収音を期待できますが、逆に防音が完璧ではない環境や、宅録で使う場合、ダイナミックタイプの方がノイズや反響音などを拾いにくいため、結果的にコンデンサータイプよりもクリアなテイクを得られるとも考えられます。
ライブハウスやリハーサルでよく見かけるSM58は、大音量にも強く耐久性に優れています。落下などのリスクを考慮すると、ダイナミックマイクは安心して使用できるでしょう。
最近では、周波数特性がワイドなダイナミック型も増加しており、より選択肢の幅は広がっているともいえるので、高感度かつレンジが広いという理由だけでコンデンサータイプを選ぶ必要もなくなってきています。
まとめ
自分の声質とマイクの特性を理解し、適切なマイクを選ぶことは、歌声を最大限に活かし、パフォーマンス向上に繋がります。
声質の要素である倍音の理解や、コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いを把握することで、理想的なボーカルトーンを追求することができます。環境や楽曲のニーズに合わせてマイクを使い分け、クリアで表現豊かなサウンドを実現しましょう。
楽器店などでクリーンかつ存在感のある音が得られるモデルを探してみて、可能であれば実際に試してみましょう。
以上、「【そのマイクで合ってる?】自分の声質とマイクの特性が合っているかを判断する方法」でした。
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