DTM

トラックにディストーション(歪み)を加えることで得られる5つのメリット

2021年6月13日

トラックにディストーション(歪み)を加えることで得られる5つのメリット

歪みとは音声入力の過大入力時に起こる音割れや音質変化のことで、一般的には避けるべきエラーである印象が強いですが、音楽制作においては意図的に歪みを発生させて様々な効果を得ることができます。

一言で歪みといっても、サチュレーション→オーバードライブ→ディストーションと歪み量や用途によって呼び方が変化し、歪ませた時に発生する圧縮量や倍音付加の値が増加します。

そこで今回は、入力ゲインを上げて原音をビット破壊するだけではなく、各トラックに対してディストーションを効果的に使用することで得られるメリットについて解説します。

1. ボーカルサチュレーション

ボーカルサチュレーション

ボーカル全般、特にヒップホップやロック系の激しいジャンルではボーカルトラックにディストーションを付加することがよくあります。

微量な歪みで歌声のボディと張りを強化する目的であったり、シャウトのような荒々しい声質のためにあえて極端な設定にすることもあります。

一般的には耳で聴いて分からないぐらいの微量なサチュレーションを並列処理で付加すると良い結果が得られやすく、プロデューサーによってはウェット信号の上下の周波数帯域をロールオフしてから、ドライボーカルと混ぜたりすることもあります。

2. サブベースを目立たせる

サブベース

プロデューサーが抱えるミキシングの悩みの1つとして、低音再生能力の低いスピーカー(スマホスピーカーやBluetoothスピーカー)でも超低域を聴こえるようにすることがあります。

特に最近のトレンドとして808ベースのような40Hz周辺で鳴っている非常に低い音を使用することが多く、このような音はクラブやスタジオ機器であれば綺麗に再生されますが、一般的なリスニング機器では再生されにくいです。

そこで重要なのが、ディストーションを使ってサブベースに倍音を加え、ローミッドからミッド辺りを持ち上げることでサブベースの存在を認識しやすくなります。

3. ヴィンテージ効果

テープサチュレーション

シンセサイザーのような多くのデジタル機器は、ノイズの無い非常にクリアなサウンドが特徴的ですが、時には「冷たさ」を感じてしまうこともあります。

現代のLo-Fi系ミュージックや90'sミュージックではトラックに温かさを加えることを目的として、昔のアナログ機器特有のサチュレーションを付与することがあります。

特にクラシックロックとポップスレコードの最も特徴的なポイントは、柔らかなトランジェントを備えた、ハードコンプレッションがかかったドラムキットです。

当時のレコーディング時にテープ録音された後、マルチトラッキングプロセス中に何度もバウンスしていたことによる音質劣化が、今となっては魅力的となっています。

4. リバーブバス

リバーブディストーション

リバーブ信号をまとめたバストラックにディストーションを加えることで、反響音にキャラクターを付けることができます。

自然な効果を得たい場合はリバーブプラグインの前に配置して信号に倍音を追加したり、リバーブプラグインの後ろに設置すると、飛び道具的な面白い効果が得られます。 

アンビエント音楽のような残響音が強調されて聴こえる音楽ジャンルでは、リバーブ信号を細かくコントロールをすることで得られる効果は大きいです。

5. 音圧を上げる為のクリッピング

マスタリングサチュレーション

マスタリング段階でもサチュレーションは役に立ちます。

ソフトなクリッピングは信号の最大音量を丸めて抑え込むことで、トラック全体の最終的な音量を底上げするためにパンチ感をキープしながら、スパイク状のトランジェントを制御することが可能です。

逆にハードなクリッピングは望ましくない形でポンピングを引き起こしたり、多くのトランジェントを奪ってしまう可能性があります。

両方の効果を上手く活用するには、リミッターの前にソフトクリッパープラグインを配置したり、段階的にリミッティングするのが効果的です。

信号がリミッターに到達する前に、トラックの最高ピークから数デシベルを穏やかにクリップして、トランジェントをより効果的に支配できます。リミッターの作業負荷を軽減します。

まとめ

トラックにディストーション(歪み)を加えることで得られる5つのメリットについて解説しました。

  1. ボーカルサチュレーション
  2. サブベースを目立たせる
  3. ヴィンテージ効果
  4. リバーブバス
  5. 音圧を上げる為のクリッピング

もちろんディストーションを加えすぎると音の芯が無くなって、やせ細ったぺらぺらなサウンドになってしまうこともあるので、トラックに対しての正しい歪み量を見つけることも大切です。

ディストーションを加えることによってどのような効果を得られるかを理解することで、ディストーションのかけすぎを防ぐことができるので、慣れないうちはトラックをソロモードにして耳で確認しながらつまみをいじってみることをおすすめします。

以上、「トラックにディストーション(歪み)を加えることで得られる5つのメリット」でした。


人気サチュレーション&ディストーションVSTプラグインおすすめ5選

歪み(オーバードライブ、ディストーション)が音楽に与える効果

※本サイトには、アフィリエイトリンクまたはプロモーション記事が含まれている場合があります。

人気記事

1

人気VSTプラグインソフトおすすめ12選【DTM】 これからDTMを使った作曲を始める方に向けて、人気のあるおすすめプラグインソフトをご紹介します。海外の最大手プラグイン販売サイト「Plugin Bo ...

2

EDMの作り方【DAWを使った打ち込み方法】 DAWを使ったEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)の制作は、シンセサイザーのようなソフトウェアの操作、各種エフェクト関連、ミキシングテクニック等、覚 ...

3

ヒップホップビートの作り方【Beat Making】 世界の音楽シーンはHiphop一色となっており、最近では国内のHiphopシーンでも海外プロデューサーのType Beatを使用した楽曲が目立つよ ...

4

はじめてのギターエフェクター【最初に揃えるべきはコレ!】 エレキギターを購入した後に必要になるのが、ギターのサウンドを変化させる為の「エフェクター」と呼ばれる機材。ギターの音作りにおいて必須の機材では ...

5

オリジナル楽曲をサブスク配信する方法【Spotify、Apple Music】 何日もかけて完成した自分のオリジナル楽曲を、できるなら世界中の人に向けて発信してみたいと思いませんか?一昔前は個人が全国 ...

-DTM

Copyright© TRIVISION STUDIO , 2024 All Rights Reserved.