
ギターソロが化ける!プロが実践する「ハモり」パートの作り方【初心者でも簡単】
「渾身のギターソロを作ったのに、なんだか一本調子で迫力に欠ける…」「プロの音源みたいに、もっと豪華で印象的なソロにしたい!」そんな風に感じた経験はありませんか?
その悩み、ギターソロに「ハモり」パートを加えることで、劇的に解決できるかもしれません。ハモりとは、主役のメロディー(主旋律)に別のメロディを重ねるテクニックのこと。これを上手く使うことで、楽曲に圧倒的な奥行きと豊かな響き、そしてツインリードギターのような華やかさを与えることができます。
この記事では、基本的なハモりの考え方から、コード進行を活かした応用テクニック、そしてリードギターとのスリリングな掛け合いを生み出す方法まで、ギターソロを数段レベルアップさせるための秘訣を分かりやすく解説します。
そもそも「ハモり」って何?

「ハモり」とは、ハーモニー(Harmony)の略語で、主旋律に対して、異なる高さの音を美しく重ねることを指します。一般的にはボーカルのコーラスをイメージする方が多いですが、ギターの世界でも非常にパワフルな武器になります。
主旋律を「主役」とするなら、ハモりパートは「名脇役」。主役を引き立て、時には寄り添い、時には対話することで、一人では表現できない豊かなストーリーを描き出します。Queenのブライアン・メイが創り出す壮大なギターオーケストレーションや、Iron Maidenの疾走感あふれるツインリードの掛け合いも、このハモりのテクニックが核となっています。
単に音を重ねるだけでなく、他の楽器との相互作用を意識することで、楽曲全体の一体感を生み出すことも可能です。ギターソロが、バンドサウンドの中でより一層輝くための鍵、それがハモりなのです。
🎸TIPS: ハモりパートの「音作り」で差をつけよう!
ハモりパートを録音する際は、メインのギターと全く同じ音色にするのではなく、少し変化を加えるのがプロのテクニックです。例えば、
- 音の定位(パン)を振る:メインのソロを中央(センター)から鳴らすなら、ハモりパートは少し右や左にずらしてみましょう。これだけでサウンドに立体感が生まれ、それぞれのメロディがクリアに聴こえるようになります。
- 音色を微妙に変える:メインが太いハムバッカーサウンドなら、ハモりは少しエッジの効いたサウンドにしたり、ディレイやリバーブのかかり具合を少しだけ変えたりするだけでも、音の分離が良くなり、豊かな響きが生まれます。
【基本編】王道の「3度ハモり」をマスターしよう
ハモりパート作りの基本にして、最も効果的なのが「3度ハモり」です。メインのメロディーに対して、音階(スケール)に沿って3度上、または3度下の音を重ねることで、非常に美しく安定したハーモニーを生み出すことができます。
「3度って何?」という方もご安心ください。例えばCメジャースケール(ドレミファソラシ)で考えると、「ド」の3度上は「ミ」、「レ」の3度上は「ファ」というように、音階の2つ隣の音を選ぶだけです。
※もし音程の度数について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
→作曲に必要な基礎知識【音程、音階、和音】
3度上のハモり
メインメロディーに対し、3度上の音を重ねます。明るく華やかな響きが特徴で、ソロをより際立たせたい時に効果的です。

3度下のハモり(6度ハモり)
メインメロディーに対し、3度下の音を重ねます。これは見方を変えると、メインに対して「6度上」の音を重ねていることと同じような響きになり(厳密には異なりますが)、より広がりのある、少し切ないような響きになります。メインメロディーが高音域に偏っている場合に、中低音域を補強する目的でも使われます。

上と下、どちらでハモるかは曲の雰囲気やソロの音域によって選びましょう。迷ったら両方試してみて、よりグッとくる方を選ぶのが正解です。
🎸TIPS: 迷ったら「耳」で心地よい響きを探そう!
理論はあくまでガイドです。最終的に頼りになるのは自分の耳。DAW(音楽制作ソフト)をお持ちなら、メインのソロを録音し、それを聴きながらハモりパートのメロディーを探すのが一番の近道です。音を一つずつ弾いてみて、メインのメロディーと綺麗に共鳴する「当たり」の音を探す作業は、宝探しのような楽しさがあります。理論で考えすぎず、直感を信じてみましょう。
【応用編】コードトーンを意識して音楽的にハモる

常に3度でハモるだけでも十分に効果的ですが、一歩進んで、より音楽的で洗練されたハーモニーを作るには「コードトーン」を意識することが重要です。
コードトーンとは、その瞬間にバックで鳴っているコードの構成音のことです(例:Cメジャーコードなら「ド・ミ・ソ」)。ハモりのメロディが、このコードトーンに沿って動くことで、伴奏との一体感が格段に増し、非常に安定した美しい響きが生まれます。
例えば、メインのメロディーが「ソ(G)」を弾いている時に、背景のコードが「Cメジャー」だとします。機械的に3度上でハモると「シ(B)」の音になりますが、「シ」はCメジャーの構成音ではありません。この場合、少し音がぶつかって聴こえることがあります。そこで、あえて3度のルールから外れ、Cメジャーの構成音である「ド(C)」や「ミ(E)」をハモりとして選んでみましょう。すると、ハーモニーがコードにすっと溶け込み、心地よい響きが得られます。このように、要所要所でコードトーンに着地することを意識すると、ハモりが格段にレベルアップします。
🎸TIPS: 長く伸ばす音でコードトーンを狙え!
特に、メロディーの中でも長く伸ばす音(ロングトーン)や、フレーズの着地点となる重要な音で、ハモりパートがコードトーンを弾くと非常に効果的です。これによりハーモニーの骨格がしっかりし、ソロ全体に安定感と説得力が生まれます。全ての音を合わせる必要はありません。「ここぞ!」というポイントで狙ってみましょう。
【上級編】カウンター・メロディーで対話を生み出す

ハモりは、常にメインメロディーに寄り添うだけではありません。「カウンター・メロディー(対旋律)」という手法を使えば、まるで2人のギタリストが会話しているかのような、スリリングな展開を演出できます。
これは、メインメロディーとは独立した、もう一つのメロディーをハモりパートとして作成するテクニックです。例えば、
- メインメロディーがフレーズを弾き終えた「隙間」に、ハモりが応答するようなフレーズを入れる。
- メインメロディーがお互いを追いかけ合うように、同じようなフレーズを少しずらして演奏する(カノンのように)。
こうすることで、ハモりパートは単なるサポート役から、もう一人の主役へと昇華します。リードギターとの音の響きやリズムの掛け合いを意識することで、セクション全体で一つの物語を紡ぐような、一体感のあるギターソロが完成します。
🎸TIPS: リズムを変えて「対話」を演出しよう!
難しく考えなくても、リズムに変化をつけるだけで簡単に対話的な雰囲気を作れます。例えば、メインが速いフレーズを弾いている間、ハモりパートはゆったりとしたロングトーンで支える。逆にメインが音を伸ばしている間に、ハモりが細かく動くアルペジオを弾く。このようにリズムの役割分担を意識するだけで、驚くほど表現の幅が広がります。
注意点:避けるべきハモり方とその活用法

基本的に、メインメロディーに対して4度や5度の音程で常にハモるのは、あまりオススメしません。特に5度の音は、ルート音に対して最も強く響き合うため、ハモりが主張しすぎてメインメロディーを食ってしまう可能性があります。
ロックで多用される「パワーコード」が「ルート音+5度」で構成されていることからも分かるように、5度の響きは非常にパワフルです。しかし、それは力強いリフを作るための和音であり、繊細なニュアンスが求められるメロディーのハモりに使うと、どちらが主役か分からなくなり、サウンドが濁ってしまうことがあるのです。
もちろん、5度ハモりが絶対にNGというわけではありません。ヘヴィメタルなどで、あえて重厚でパワフルなメロディーラインを作りたい場合など、意図的に「ダブリング(音を重ねて厚みを出す手法)」に近い効果を狙って使われることもあります。
🎸TIPS: 2度のハモりは慎重に!
メインメロディーのすぐ隣の音(2度の関係)でハモると、音がぶつかり合って濁った響き(不協和音)になりやすい傾向があります。ジャズなどで意図的に緊張感を演出するために使われることもありますが、基本的には避けた方が無難でしょう。
まとめ
今回は、ギターソロを強化するためのハモりパートの作り方をご紹介しました。ハモりは、単調になりがちなソロに彩りと生命を吹き込み、楽曲全体のクオリティを押し上げるための強力なツールです。
最後にポイントを振り返ってみましょう。
- まずは基本の「3度ハモり」から挑戦してみよう。
- 慣れてきたら「コードトーン」を意識して、伴奏と調和させよう。
- 上級者は「カウンター・メロディー」で対話的な掛け合いを演出しよう。
- ハモりパートの「音作り」や「パン(定位)」にも工夫を凝らそう。
まずは、あなたの好きなアーティストの曲を聴いて、ハモりパートがどのように使われているかを分析(耳コピ)してみるのも、素晴らしい練習になります。
難しく考えすぎず、まずは遊び感覚で色々な音を重ねてみてください。きっと、あなたのギターソロが今よりもっと輝きだすはずです。