打ち込みドラムに「生っぽいリアルさ」を追加する5つのコツ
ドラムトラックをMIDI打ち込みで作成するときに、人がライブ演奏しているような迫力のあるトラックにしたいと思ったことはありませんか?
ドラムトラックをヒューマナイズ(人間っぽさを表現)することはジャンルによっては非常に効果的ですが、当然のことながらほとんどの人は実際のドラムキットを使った演奏方法がわからないため、デジタルのドラムキットで生っぽいパフォーマンスを作成しようとすることは少しハードルが高いかもしれません。
今回はDTMを使った打ち込みドラムにをヒューマナイズする方法についてご紹介します。
実際のドラマーとの違い
ダンスミュージックやヒップホップのドラムトラックをプログラミングしたことがある場合は、基本的な要素についてはポップ、ロックのライブドラマーであってもほとんど同じです。
4/4のバックビートで、キックドラムが1拍目と3拍目のビートを強調し、2拍目と4拍目のスネア、そしてグレイスノートやフィルで装飾されています。
→【DTM】ドラムの打ち込みテクニック(初心者向けガイド)
もちろんこの他にも様々なリズムパターンがありますが、現代音楽の大部分はこのシンプルな構造で出来上がっており、違うビートであっても基本構造は似ているので、ドラムトラックのヒューマナイズをしようとしている人にとっては重要となる要素です。
さらに、実際のライブドラマーがドラムをどのように演奏しているかを知ることは、打ち込みドラムのヒューマナイズに役立つだけではなく、リズムトラックのパターンを作る時にも、人間の耳がパーカッション要素に対して無意識にどのように反応しているのかを理解することができます。
もちろんこの他にも様々なリズムパターンがありますが、現代音楽の大部分はこのシンプルな構造で出来上がっており、違うビートであっても基本構造は似ているので、ドラムトラックのヒューマナイズをしようとしている人にとっては重要となる要素です。
1. ドラムキットの構成と配置
実際のアコースティックドラムキットの構成は、キックドラム、スネアドラム、ハイハットに加えて、タムタムとシンバル(通常は2~3つのタムと4~5枚のシンバル)で構成されます。アクションのほとんどはキック、スネア、ハットで行われ、タムとシンバルはアクセントとフィルに使用されます。
ほとんどのトラックではドラマーはグルーブ感の演出を担当し、通常はキックとスネアによるバックビート(裏拍を強調するスタイル)がメインとなり、ハイハットによる8分音符の刻みが加わります。
ドラマーが右利きであると仮定すると、右足でキックドラムを演奏し、左足はハイハットの閉開をコントロールし、右手でハイハット、左手はスネアを担当するのが基本スタンスです。
それに加えて、キットごとの実際の空間配置もパンニングすることでよりリアル差が増します。
2. ドラマーの視点で考える
まず、実際にMIDIで打ち込む時には自分がドラマーになったつもりで打ち込んでみましょう。打ち込みならハイハットとシンバルとスネアを同時に打つことも可能ですが、ヒューマナイズする場合、人間に不可能な演奏はしないようにすることが大切です。
人間の手足は合わせて4本です。足は基本的にはキックを担当しているので、同時発声数は「キック+他2つ」に留めるようにして、手が3本以上ないとできないようなフレーズは避けるようにしましょう。
パンニングする場合も実際にスローン(椅子)に座った状態をイメージして配置します。
ハットを左、スネアをやや左、キックはセンター、タムとシンバルも画像のように配置しましょう。こうすることでよりリアルなドラム音像を入手することができます。
もしくは、すべてを反転させたオーディエンス視点からの配置でもOKです。
3. 叩く強さを変える
ドラマーによる叩く力加減はMIDIでは「ベロシティ」で表現されます。ベロシティを変化させることはサウンドをリアルにする為の優れた方法ですが、実際に打ち込むときにはベロシティの差は比較的狭い範囲に保ちます。
これは生のライブドラマーであっても、可能な限り一貫性を保つように叩いているためです。極端に強弱を付けてしまうと初心者っぽく聴こえてしまったり、ダイナミクスが不揃いになりすぎるとミックスの段階でも不利になってしまいます。
ハイハットとライドシンバルの刻みにはアクセントをつけて、キックとスネアに関してはほとんど一定の音量感でも問題ありません。
音質を変える
単一のサンプルを使用している場合、ベロシティを変えても音量しか変化しません。
有名所の「Addictive Drums 2」「BFD3」のような、適切にマルチサンプリングされたドラムキットであれば、優しく叩いたときの質感、強く叩いたときアタック感までベロシティによって分けて表現されているので、より本物に近いドラムトラックを入手できます。
4. タイミングをわずかにずらす
MIDIによる打ち込みの場合すべてがジャストタイミングですが、人間の叩く生ドラムはわずかではありますがタイミングは必ずずれています。
この「よれた」リズムが人間の叩くドラムの最大の良さでもあるので、MIDIで打ち込むときはMIDIエディタの各ノートを、ほんの少しだけタイミングをずらしてみましょう。
ずらす時のポイントは、実際に耳で聴いたときにはずれていることが分からない程度にグリッドから外すことです。やりすぎるとただのずれたドラムになってしまうので注意しましょう。
慣れないうちはキックはジャストでスネアだけをずらしたり、オフビート(2拍目と4拍目)のみをずらすようにすると自然なよれ感を演出できます。
5. リバーブを統一する
デジタル環境では好きなようにリバーブエフェクトをかけることができることもメリットの一つですが、リアルなサウンドを追求する場合は一つのリバーブを共有することが大切です。
実際にはアコースティックドラムでドラマーが叩いてレコーディングする場合、一つの空間でマイクを使って収音しているため、音の反響もほぼ同じになります。
キックはドライでパンチを効かせて、スネアはホールリバーブで壮大さを演出。といったことも効果的ではありますが、よりリアルを追求したい方はリバーブ専用トラックを作ってすべてのキットをルーティングさせるのが理想的です。
一つ一つにリバーブを挿すよりもCPUの大幅な節約にもなるので「1つのリバーブを共有」することはドラムトラックに限らずよく行われるテクニックです。
まとめ
バーチャル楽器をヒューマナイズするコツは、実際の楽器がどのように演奏されているのかを理解して、演奏者が録音している環境をイメージして打ち込むことが重要です。
ヒューマナイズは細かい作業が多いですが、聞きわけできないような細かな要素の積み重ねが人間らしさを生み出しています。DAWによってはヒューマナイズ機能といったワンクリックでベロシティやタイミングをずらしてくれる便利機能も付いていることがあるので、時短したい方は是非使ってみてください。
以上、「打ち込みドラムに「生っぽいリアルさ」を追加する5つのコツ」でした。