ボーカルピッチ補正ソフトはこれ!定番の7つのプラグインソフト
ピッチ補正ソフトはボーカルの音程やタイミングのズレをDAW内で簡単に修正できるソフトです。
現在パーフェクトピッチであるデジタルやエレクトロ系楽器の使用率が上がり、メインであるボーカルの音程にも全くブレのない、完璧な音程感が求められつつあります。
一般的に世の中に出回ってるボーカル音源の多くには「ピッチ補正ソフト」が使われ、音程やタイミングを人為的に修正されています。
これらのソフトもどんどん進化していて、今では驚くほどナチュラルなかかり具合で、音楽に携わっている人でもピッチ補正されている音源かどうかの判断は難しいほどです。
販売当初はピッチ補正やオートチューンによる加工を反対するクリエイターやアーティストも多くいましたが、実際の現場では、作業時間の短縮やピッチ補正ありきでレコーディングが行われることもあり、ほぼ全てのアーティストが使用しているといっても過言ではありません。
今回はそんな重要エフェクトである、ピッチ補正ソフトの定番人気ソフトを3つご紹介します。
Antares Auto-Tune
- リアルタイムピッチ補正
- ライブ使用
- Hiphopにおすすめ
Auto-Tune文化を生み出したエフェクトプラグインでもあるAntaresの「Auto-Tune」
Auto-Tune発売と同時に音楽業界全体が飛びつき、作曲時間の大幅な短縮や少ない作業量で楽曲に美しいメロディーと輝きを与えることが可能になりました。
当時このプラグインの存在は世間にはあまり知られておらず、ひっそりと音楽のクオリティを上げるのに貢献している状態でした。
しかし2000年代から2010年ぐらいにかけて海外のT-PainやJay-Zを代表とする有名アーティストがオートチューンによるロボットのように完全にピッチ補正された歌声を効果的に楽曲に取り入れるようになり、一気に世界中に認知されることとなりました。
現在でもピッチ&タイミング補正の世界標準であり、ポピュラーミュージックの特徴的なボーカルツールとして選ばれています。
Auto-Tune Proでは、完全に再設計されたインターフェイスと強力な新しい処理、編集ナビゲーション機能を実装し、これまで以上に多用途で使いやすくなりました。
主な機能一覧
- Auto-Tuneピッチ補正とボーカルエフェクト
- Humanize機能
- 自動フォルマント補正
- 調整可能なスロートモデリング
- ビブラートの作成と調整
- リアルタイムMIDIコントロール
- Flex-Tune 純粋で柔軟なピッチ補正
- トランスポーズ:リアルタイムピッチシフト
- グラフィックピッチ編集
- グラフィックタイム編集
Celemony Melodyne
- シェアNo.1
- グラミー賞など多くの賞を受賞
- 制作使用においては最も高性能
プロスタジオやエンジニアから圧倒的な支持を得ているピッチ補正ソフトがこちらのCelemony「Melodyne」
音楽アーティストとレコーディング・チームに対する世界で最も権威のある国際的な音楽賞のひとつである「テクニカル・グラミー賞」を受賞した素晴らしいプラグインエフェクトです。
個々のノートのピッチ補正とタイミング補正に関して非常に優れた機能性を持ち、製作現場多く利用されているプラグインソフトです。
Auto-Tuneのようにリアルタイムでのピッチ補正にはあまり適していませんが、よりナチュラルでクリアな仕上がりになるので、ほとんどのポピュラー音楽に使用されています。
Melodyneは波形ではなく音を直接操作できます。
まるで魔法のようにボイスの音を引き伸ばしたり、音の始まりと終わりのピッチの修正等かなり細かく編集できるので、ボーカリストは音楽的なことはMelodyneにまかせて、より感情的に歌いあげることに集中できます。
主な機能一覧
- イントネーション、メロディ、ハーモニー、リズム、グルーヴ、ダイナミクス、ビブラート、フォルマント編集
- マルチトラック編集
- テンポ、キー、スケール検出機能
Waves Tune Real Time
- リアルタイム補正
- 超低レイテンシー
- 自然でナチュラルなかかり具合
新しい「Waves Tune Real Time」はボーカルピッチの自動チューニングをライブ処理で行うことに特化しています。もちろん、通常のWaves Tuneと同じようにオーディオトラックに挿してボーカルピッチ補正を行うこともできますが、このプラグインはスタジオやステージ上でのライブボーカルのチューニング時に本領を発揮します。
Waves Tune Real Timeは超低レイテンシーで動作し、オーディオはDAWにルーティングさせる必要がありますが、それでもほぼ遅延を感じることなく、リアルタイムでモニターすることができます。
UI機能の一部はWaves Tuneと同じですが、インターフェイスはよりモダンで洗練されたデザインになっています。ボーカルが通過する際のピッチを表示するライブチューニングメーターを搭載し、Waves Tuneと同様に、Speed、Transition Tolerance、Vocal Rangeのコントロールが用意されています。
シンガーとしてライブで使用したり、あるいはモニター・エンジニアとして補正の結果をリアルタイムで知りたい場合に最適なプラグインです。
主な機能一覧
- ボーカルのピッチをリアルタイムに自動補正
- 超低レイテンシー仕様によるすばやいレスポンス
- スタジオ/ライブに最適化された設定
- 先進のフォルマント補正により自然なボーカルサウンドを保持
- 自然なビブラートの動きを保ちながら正確な補正が可能
- ケロケロボイスを始めとする、クリエイティブなピッチクオンタイズ・エフェクトも可能
Soundtoys Little AlterBoy
- シンプルな操作
- リーズナブルな価格
- 自然なピッチ補正
Little AlterBoyはシンプルで安価なプラグインとして人気があり、海外のプロデューサーインタビューで愛用しているプラグインとしてよく名前が挙がる印象です。
このプラグインは、わずか数個のコントロールをだけで、あらゆるオーディオトラックに素晴らしい効果をもたらしますが、特にボーカルを対象としたピッチとフォルマント補正を得意としています。
左から3つのメインモード、ピッチとフォルマントのメインコントロール、3つのモードオプション(トランスポーズ、クオンタイズ、ロボット)、そしてドライブとミックスのエリアがあります。ピッチコントロールは、入力されたオーディオを半音ずつ変化させることができ、AlterBoyの優れた点として、他のピッチシフターで見られるような機械的な不自然なシフトを回避することができます。
フォルマントオプションは、男性ボーカルを女性ボーカルに、またはその逆も、非常に自然にスイープさせることができます。AlterBoyの大きな魅力の一つは、複雑な要素を一切排除し、ただひたすらシンプルな操作で効果を適用できるところです。
ピッチ補正にかかる作業量を減らしたい方や、ピッチ補正作業を行ったことのない初心者の方にもおすすめできるプラグインです。
主な機能一覧
- 1 つのシンプルなプラグインの使いやすいツール セットでボーカルを変換
- ボーカルのピッチとフォルマント(性別)をリアルタイムでシフト
- ミックス コントロールを使用して、瞬時にボーカル ハーモニーを作成します。
- ロボットエフェクトのピッチにボーカルをロック
- MIDI コントロールを使用してボコーダーのようなエフェクトを作成する
- 数え切れないほどのヒップホップやポップのヒット曲で聞こえる「ハード チューン」エフェクトを手に入れよう
iZotope Nectar 3 Plus
- 12種類のボーカル処理モジュール
- AI学習システム
- オールインワンプロセッシング
Nectarはパワフルなボーカルアシスタントツールとして、12種類のボーカル処理モジュールを搭載したプラグインです。
Nectar 3は、音声に最適なダイナミクスシェーピング、EQ、コンプレッサー、ピッチ補正、ハーモナイゼーション、ディエッシング、ディストーション等、様々なボーカル処理に必要なエフェクトを適用するために、並べ替え可能なモジュールを搭載しています。
大きな特徴の1つとして、他のiZotope製品と同じように入力信号の分析に基づいてプラグインを自動的に設定するAI学習駆動システムが備わっています。この「Vocal Assistant」と呼ばれるシステムを使うことで、ボーカルの音を客観的に分析し、よりミックスに適した状態にするためのカスタムプリセットを適用することができます。
ボーカル以外にもラップ、ナレーションなど、あらゆる種類の声を最高品質のサウンドに仕上げたいプロデューサーにとって最適なプラグインとなっています。
主な機能一覧
- AI学習によるアシスト機能
- ダイナミック モードとフォロー モードの24バンドEQ
- コーラス、フランジャー、フェイザーのモジュレーションエフェクト
- 最大4つのボイスを追加できるハーモニー生成
- 歯擦音を素早くカットするディエッサー処理
- 音楽および会話アプリケーション用にプロがデザインした何百ものプリセット
Synchro Arts Revoice Pro 4
- 最高音質
- プロフェッショナル向け
- スタンドアローン
Revoice Proは最高の音質を実現するボーカル、楽器、そしてADR用サウンド調整、及びアライメント・ソフトウェア、またダブルトラック生成ソフトウェアとして、世界中のオーディオプロフェッショナル達に愛用されています。
Revoice Proはより多くの機能を備えたスタンドアロンアプリケーションとして機能します。ピッチエディター機能が追加され、1つの声からダブルトラックを作成して、作成したトラックをDAWにインポートすることができます。
Revoice Proの特徴はAPT(Automatic Performance Transfer)で、選択したトラックのチューニングを終えたら、APTダイアログを呼び出してプリセットを1つ選び、ガイドを指示して、編集したいトラックに適用するだけです。バッキングボーカルにトラックを追加して、ピッチやタイミングだけでなく、ダイナミックも簡単に揃えることができます。
Revoice Proは、他のプラグインと比べると、より高度な操作を求めるプロフェッショナルなユーザーを対象にしているので、よりシンプルなピッチ補正やAuto-Tune効果を求めている場合には他のプラグインを選択することをおすすめします。
主な機能一覧
- 複数のリアルなダブルトラックを作成
- 特定のトラックのタイミング、ピッチ、ビブラート、およびレベル機能を複製可能
- 最高のオーディオ品質を維持
- 自動APT処理の後に出力機能の手動編集
- タイミング バリエーション、フォルマント、およびビブラートを変更するためのコントロール
- ワープポイントを使用して、2 点間の信号をタイムストレッチ
Eventide H910 Harmonizer
- 優秀なハーモニー生成機能
- 海外の有名アーティスト御用達
- 楽器にも使える
Eventide「H910 Harmonizer」は、「H910」オリジナルハードウェア機能を忠実にエミュレーションしたプラグインソフトです。
ピッチを修正できるはじめてのデジタルエフェクトプラグインとして、1970年代に発売され、現在でも多くのファンを持ち、中でも「ハーモナイザー」機能は様々なサウンドに使われてきました。
ピッチシフト、モジュレーション、 ディレイを組み合わせた複合エフェクト効果(ハーモナイザー)が可能で、
これまでに
・ジョン・レノン
・U2
・フランク・ザッパ
・レッド・ツェッペリン
・スザンヌ・ヴェガ
・トム・ペティ
・ローリー・アンダーソン
・ジョン・アンダーソン
・ボン・ジョヴィ
・AC/DC
・デヴィッド・ボウイ
・ヴァン・ヘイレン
といった数多くのアーティスト達による数え切れないほどの伝説的な作品で聴くことができます。
主な機能一覧
- ピッチシフト
- MIDIマッピング機能
- 様々なピッチモジュレーション
- グリッチング機能
- ディレイアウトプット
- 100以上のアーティストプリセット収録
まとめ
定番のボーカルピッチ補正ソフトをご紹介しました。
- Antares Auto-Tune
- Celemony Melodyne
- Waves Tune Real Time
- Soundtoys Little AlterBoy
- iZotope Nectar 3 Plus
- Synchro Arts Revoice Pro 4
- Eventide H910 Harmonizer
どれも優れた製品ばかりですが、シンプルにピッチ補正とタイミング補正を目的としているのなら「Celemony Melodyne」をおすすめします。
業界での使用率の高さと、プラグイン自体の知名度の高さもあって、ネット上に解説動画がたくさんあるので、はじめてピッチ補正を行う初心者の方にもとっつきやすい製品です。
以上、「ボーカルピッチ補正ソフトはこれ!定番の7つのプラグインソフト」でした。