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バイノーラルオーディオとは?バイノーラル録音の仕組み

バイノーラルヘッドホン

バイノーラルオーディオとは?バイノーラル録音の仕組み

バイノーラルオーディオはステレオ録音方式の一つで、より現実世界の聴き取りに近い、立体的なリスニング体験を再現することです。

例えば、映画館に行ったときに激しいアクションシーンに合わせて、自分の周りで音が動いているように感じかと思います。これは映画監督やサウンドデザイナーが、劇場のさまざまな場所に設置されたスピーカーから音声を送り、そのシーンの中での音響を立体的に再現できるようにしています。

このようなサラウンドサウンドは何十年も前からありますが、2つのステレオチャンネルだけで立体的な音を再現できる技術が、バイノーラルオーディオです。

今回はバイノーラルオーディオとは何か、バイノーラル録音の仕組みについてご紹介します。

バイノーラルオーディオの仕組み

映画館のような大掛かりなシステムを自宅で再現するのは難しいです。では、より少ないスピーカー、チャンネル数でより深い没入感を得るにはどうしたらいいのか?ということなのですが、ヒントは私たち人間の両耳にあるのです。

もしも、バイノーラル録音によって、ある音源を実際にそれを聴いている人と同じ条件で録音することができれば、ステレオ録音よりはるかにリアルな立体感を得られるという、とてもシンプルな原理で成り立っています。

これを達成するには、人間の聴覚体験を模倣した、非常に特殊な録音環境を設定することで実現されます。

マイクの間隔を人の頭幅に設定し、耳介の形を模したパーツで覆うことで、人間の耳がどのように音波をとらえ、どのように処理しているかを再現することができるのです。

ダミーヘッドマイクロホン

バイノーラル録音に最適な方法として、「ダミーヘッド」というものがあります。ダミーヘッドとは、ゴム製の人の頭部を模したもので、耳の中に2つの小さなマイクロホンが入っています。

音波が鼓膜に到達するまでに、人体を伝わってどのように音が跳ね返ってくるかを考慮するうえで、これらの模型は重要な意味を持ちます。

よりシンプルなシステムとして、実際の人の頭にイヤホンのように耳に装着する小型マイクを取り付けたり、模型のイヤホンだけで構成されているシステムもあります。

しかし、もちろん人それぞれ骨格の形が違うので、この技術や機材には限界があります。

耳介の形や向き、頭や肩の大きさなど、あらゆる要素がレコーディングの仕上がりに影響し、リアルなサウンドを生み出す可能性があります。

バイノーラルオーディオを聴く方法

バイノーラルサウンド

バイノーラル録音されたサウンドを聴く方法はいくつかありますが、最も効果の高いリスニング方法はヘッドホンを使うことです。

私たちの脳は、周囲から聞こえてくる音の距離と位置を、それぞれの耳が独立して受け止めることができるように進化してきました。無意識にキャッチしているこの感覚は、左右の音が混ざり合ってしまうスピーカで再現するのは難しく、ヘッドホンやイヤホンのように左と右のサウンドが分離して耳に入ってくる環境が最適となります。



バイノーラルオーディオのこれから

先に述べたように、これまでサラウンドのように大掛かりな機材を使用せずとも、より質の高い立体音場の音楽作品や映像作品は、何十年も前から制作されて来ていましたが、まだ成熟したコンテンツは少なく、対応したハードウェアを購入する必要があるなど、ハードルの高さがあり一般にはあまり広まっていませんでした。

最近ではApple Musicの空間オーディオやSONY 360 Reality Audioなどの登場で、ようやくバイノーラルで音楽を制作することの必要性と需要が高まってきたように思います。

apple music 空間オーディオ

これはリスニング側の話だけでなく、制作にも当てはまります。HPLプロセッシングが行えるソフトウェアかハードウェアを購入するだけですぐにバイノーラルサウンドを作ることができ、これまでの方法でミックスを行った音源から、ヘッドホン用にバイノーラル変換するか、あるいは初めからヘッドホンでモニターし、スピーカー配置にとらわれない自由な立体空間を創造したりと、エンジニアが制作したサウンドそのものをリスナーへ届けることができます。

もちろん、バイノーラル音源は通常の2ch音声ですので、これらの製品を購入すること以外に何かを用意する必要もなく、簡単にヘッドホンで楽しめるサラウンド作品の制作が可能です。

まとめ

バイノーラルオーディオは人間が自然に音を体験する方法を再現するテクノロジーですが、特別最先端というわけでもなく、実際には何十年も前から存在する技術です。

映画で使われている「ドルビーアトモス」のような最先端のサラウンドサウンドテクノロジーが、立体音響リスニング環境の発展により、これまでよりも一般に普及してきていることを意味します。

2015年頃からは日本でもASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)を専門とするコンテンツクリエーターの間でも人気が高まっており、ささやき声や食べ物の咀嚼音によって陶酔感を呼び起こすコンテンツとして注目を集めています。

音楽界隈でもバーチャル世界でのライブ体験の為に、これからバイノーラル技術を使った立体的な音源がさらに普及していくかもしれません。

以上、「バイノーラルオーディオとは?バイノーラル録音の仕組み」でした。


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