
エレキギター初心者がやりがちな「歪ませすぎ!」問題なぜか音がショボくなる5つの理由
エレキギターのカッコいい音といえば、オーバードライブやディストーションによる「歪み(ひずみ)」サウンドですよね。あの「ジャキジャキ」「ギュイーン」という音に憧れる人も多いかと思います。
ディストーションは、ギターの音を歪ませて、パワフルで迫力のあるサウンドを生み出す効果がありますが、やりすぎると逆に音が悪くなってしまう可能性もあります。
そこで今回は、ディストーションをかけすぎた時に起こる「5つのデメリット」について、ギター初心者向けに分かりやすく解説します。
「歪み」の原理

歪みとは、簡単に言うと「音割れ」のことです。普通、音が割れるのは良くないことですが、ギターの世界では、この音割れをわざと作ってカッコいい音色にしています。
一言で歪みといっても、軽い歪みの「オーバードライブ」や、もっと激しく歪む「ディストーション」など、歪み具合や使い方で呼び方が変わります。通常は歪ませれば歪ませるほど、音の迫力(圧縮感)や音色の成分(倍音)が増えていきます。

もともとは、アンプの音量を上げすぎた時に偶然発生した「ノイズ」のようなものでした。でも、その音が「なんだかカッコいいぞ!」と注目され、今ではロックやメタルに欠かせない音になりました。
激しすぎるディストーションのデメリット
ここからエレキギターで「歪ませすぎは良くない!」と言われるいくつかの原因についてご紹介していきます。
1. サウンドクオリティの低下

歪ませすぎると、ギターの音が聞き取りにくくなったり、バンド全体で鳴らした時にバランスが悪くなったりします。
ディストーションが強すぎると、音がグシャッと潰れてしまい、バンドの中で「何の音だか分からない」状態になりがちです。音がぼやけて、スッキリ聞こえなくなってしまうんです。
また、せっかく良いギターを使っていても、歪ませすぎるとそのギターが持つ「良い音」や「個性」が消えてしまいます。どれも同じ「ジー」という音に聞こえてしまうのは、もったいないですよね。
2. ダイナミクスを失う
歪ませすぎると、音の強弱(ダイナミクス)がなくなって、演奏がのっぺり聞こえてしまいます。
歪ませると、音は「圧縮(コンプレッション)」されます。これは、原理的にはコンプレッサーと同じで小さな音は大きく、大きな音は抑えられるということです。その結果、そっと弾いても強く弾いても音の大きさが変わらなくなり、表現力が下がってしまうんです。

それに、ピッキングした瞬間(アタック感)の「ジャキッ!」という鋭い音(トランジェントと言います)も潰れてしまいます。そのせいで、音が前に出てこなくなり、バンドの中で引っ込んだように聞こえてしまうこともあります。
3. 倍音による高域成分の増加
歪ませると、「倍音(ばいおん)」という元の音と一緒に発生する高い音の成分が増えます。

この倍音(ハーモニクスとも言います)は、音を豊かで派手にしてくれるのですが、増えすぎると高い音の成分(高域)が必要以上に多くなってしまいます。
適度な歪みなら良いのですが、やりすぎると「キーン」とか「ジージー」といった耳障りな音になりやすいので注意が必要です。
4. ノイズとフィードバック

歪ませると音量が上がるので、もともとあった小さなノイズも一緒に大きくなってしまいます。特に高域の「サー」とか「シー」といったノイズが目立ちやすくなります。
ケーブルやエフェクターが持っている普段は気にならないくらいの小さなノイズも、ディストーションで一気に増幅されてしまうんです。
それに、アンプの近くで弾くと「キーン」とか「ホー」と鳴ってしまう「フィードバック(ハウリング)」も起こりやすくなります。これは、スピーカーから出た音がギターの弦を再び震わせてしまう現象で、歪みが大きいほど起こりやすいです。
一般的なノイズ対策
ロックやメタルのように激しく歪ませるジャンルでは、「ノイズゲート」というノイズ除去エフェクターを使用することが一般的です。
これは、ギターを弾いていない時の「サー」というノイズだけを自動でカットしてくれる便利な機材です。設定した音量(スレッショルド値)より小さい音を、まとめてシャットアウトする仕組みです。

ただし、ノイズを消し去るのではなく、ノイズが聞こえる「無音状態」の時にギターからくる信号をオフにするイメージです。なので、ギターを弾いている最中のノイズが消えたり、音質がキレイになったりする訳ではありません。
ギターを弾いていない時の「ジージー」「サー」といったノイズが気になる人には、とてもおすすめです。
5. ミスが隠れる

歪ませると音が圧縮され、ノイズも増えるので、ピッキングのミスや、弾かなくていい弦に触ってしまった音(ノイズ)がごまかされやすくなります。
一見、ラクに弾けて良いことのように思えますが、ギターが上手くなりたい初心者にとっては、実は大きなデメリットです。
ピッキングの強弱で表現をつけたり、正確に弦を弾くピッキングを身につけたりしたい場合は、あえて歪みを少なくして練習するのがおすすめです。その方が、自分の本当の音の癖がよく聞こえるようになります。
まとめ
ディストーションは、エレキギターの音をカッコよくしてくれる素晴らしいエフェクターですが、過剰な歪みはサウンドの質や表現力(ダイナミクス)に悪い影響を与えることもあります。
歪ませすぎると、音が潰れて聞き取りにくくなったり、ギター本体が持つ良い音や、弾き手の表現力が隠れてしまいます。また、耳障りな高い音が増えたり、ノイズやハウリングが増えたりすることにも注意しましょう。
自分の出したい音に合わせて、「ちょうどいい歪み具合」を見つけることが、ギターの魅力を最大限に引き出すコツです。
以上、「エレキギター初心者がやりがちな「歪ませすぎ!」問題なぜか音がショボくなる5つの理由」でした。