【ラップ用語】海外で使われているスラングワード
洋楽ラップで使われている歌詞の意味を深く理解したい場合は、今回のラップスラングリストが役に立ちます。
今回は海外ヒップホップシーンで良く使われるスラングワードをいくつかご紹介します。
スラングワードとは?
スラングワードとは、普段の言葉では使われない、または一般的ではない言葉や表現のことを指します。スラングワードは、文化や年代、地域、職業、性別、年齢、業界などによって異なることがあります。
スラングワードは、ラップだけでなく、特に若者やアーティスト、スポーツ選手などがよく使うことがあります。また、特定のグループや集団でのみ使われることがあり、そのグループ外では理解されない言葉もたくさんあります。
ラップ界隈では常に新しいスラングが生まれているため、最近知った言葉でも、現地ではもう誰も使っていないような時代遅れのワードもあるので注意が必要です。また、言葉の使い方やニュアンスは、話す人や聞く人によって異なることがあるので、スラングワードを使う場合は、相手がどのように受け取るかも十分に考慮する必要があります。
1. Beef(ビーフ)
Beefはラッパー同士の対立やライバル視しているような関係性を表す用語です。
1990年代の東海岸と西海岸のラッパーの間の大規模な紛争に始まり、「Jay-Z vs. Nas」「Drake vs. Meek Mill」のような確執のことを指します。
この言葉に関して多くの語源が語られていますが、その一つに「19世紀後半のアメリカ兵が牛肉の配給量の質や量について不平を言っていること」から来ているという説が有名です。
2. Clowning(クラウニング)
ピエロや道化師のようなおかしな行動をすることや誰かをからかうときに使う言葉です。
人に使う時は誰かをいじって楽しんでる感じの意味合いになります。
語源はそのままサーカスのピエロのようにおかしな振る舞いをすることからきています。
3. Cheddar(チェダー)
Cheddarはチェダーチーズのチェダーで、お金に関することによく使われる言葉です。
「お金を稼ぐ」「お金を使う」といった意味合いが含まれています。
「ゴーダ」「チーズ」も使われるので、歌詞の中でチーズ関係のことを言っていたら、お金関連を連想すると言葉の意味が繋がるかもしれません。
語源はガバメントチーズと呼ばれる政府からの福祉の支払いから来ており、1960年代頃には文字通りプロセスチーズだったそうです。後に政府からのお金を意味するようになり、より一般的にお金を意味するようになりました。
4. Diss(ディス)
ディスは日本でも一般的に通じることが多いです。正しくは「軽蔑」や「侮辱」するといった意味になります。
もしあなたが特定のアーティストとBeef状態にあるのなら、ディストラックで侮辱することもあるかもしれません。
実際にはそこまでマイナスな言葉ではなく、ラッパー同士がディスり合うことはコミュニケーションとして成立しています。
もともとの語源は1980年頃のジャマイカ英語またはアフリカ系アメリカ人の言葉に由来しています。
5. Popo(ポポ)
かわいらしい単語ですが「警察」を意味するスラング用語です。
ラッパーは様々な理由で、公的機関と対立することが多く、警察に関するラップスラングは進化し続けています。
語源は南カリフォルニアの1980年代の警察官からきています。
自転車パトロール中の警官は「PO」と書かれたシャツを着ていました。警官は通常ペアで行動することが多かったので、2枚のシャツの綴りは「POPO」となることから、いつしかポポと言われるようになりました。
6. Crunk(クランク)
Crunkはアメリカ南部、特にマイアミやアトランタなどの都市にルーツを持つヒップホップのサブジャンルのことです。
Three 6 Mafia、Lil Jon、Juicy J等のアーティストに広く人気があり、ラップスラングとして使われる「クランク」は、パーティーのようにエネルギッシュで非常に興奮している様子を表しています。
日本でもよく使われる「クランクアップする」という言葉に近く、パーティーをクランクアップするというような使い方もします。
7. Baller(ボウラー)
お金持ちで贅沢なライフスタイルを送る人達のことをBallerと言います。
派手な車を運転し、派手な服を着て、派手な食事をして富を誇示しているのならボウラーと呼ばれるかもしれません。
ボウラーの語源はストリート人生を送っていた若者がプロバスケットボール選手になって大金を稼ぐことに由来しています。
現在は贅沢な自由人全般を指す言葉で、成功している状態を「Baller Status」と言ったり、誰かを指して「He’s ballin’」と言ったりします。
8. Jiggy(ジギー)
興奮している状態を表す言葉で、一般的にはクラブやパーティで踊っているときに使われます。
直訳すると「最高」や「楽しい」を意味する単語で、スタイリッシュにカッコ良くきまったような場面でも使われます。
1997年にウィル・スミスの「Getting jiggy with it」で使われたことで有名になった言葉です。
9. Swag(スワッグ)
Swagはかっこいいものに対してよく使われる「cool」や「dope」などに似た意味を持っています。
自信を持って堂々としている態度や立ち振る舞いに対して使われることが多いです。
「Swag」は「swagger」の略で、おしゃれなファッションやおしゃれな人によく使われていた言葉が、一般的に使われるようになりました。
場合によっては「威張った態度」や「傲慢な人」のようなあまり良くない意味合いで使用されることもあります。
10. Trill(トリル)
TrueとRealが合わさった言葉で「本物」といった意味合いのある言葉です。
イケてるモノや人に対して偽りじゃなく"ホンモノ"である、という感じでよく使われており、日本語だと「本物」「本当」「マジ」のような言葉に近いです。
ラッパーのBun Bの話では「Trill」の始まりは刑務所で使われていた言葉で、その後テキサス州ポートアーサーにまで及んだといいます。
現在は幅広いラップカルチャーに使われるようになりました。
11. Biscuit(ビスケット)
Biscuitは"銃"、"銃弾"を表現するスラングワードですが、それ以外にも"お金"や"綺麗な女性"を表すこともあります。
アメリカのスラングワードとして使われることが多く、他の地域ではあまり使われることがありません。表現としては、銃を使った暴力や犯罪、または、武器を持った危険な人物を指す場合に使用されます。
攻撃的な意味合いを持つ単語なので、Biscuitを使う場合には、相手がどのように受け取るかを考慮する必要があります。
12. Dog(ドッグ)
Dogは様々な意味合いを持つスラングワードですが、ラップで使われる場合には「信頼できる親しい友人」という意味合いになります。
その他に意味として、仕事やプロジェクトを頑張ってやり遂げることを表すことがあります。例えば、「I'm gonna dog this project until it's done.」(このプロジェクトを完了するまで頑張るようにする。)というように使われることがあります。
また、「He was dogging on me all day.」(彼は私を一日中ひどく扱っていた。)というように人をひどく扱う時に使用することもあるので、ポジティブとネガティブな2面性のある言葉です。
13. Ice(アイス)
Iceは"ダイアモンド"を意味するスラングワードです。
「That guy is wearing a bracelet with a lot of diamonds.」(あの男はたくさんのダイヤモンドが付いたブレスレットを身に着けている。)のように表現します。
その他にも、メタンフェタミン、強力で中毒性の高い覚せい剤。お金、特に大金や100ドル札の額面のこと。暴力団や組織犯罪の文脈で、誰かを激しく攻撃する行為に対する俗語として使われることもあります。
ラップスラング使われる数字の意味
海外のヒップホップではスラングとして「数字」を使って、何かを表現していることがよくあります。
以下は、よく使われている数字表現のまとめです。
- 187 : 殺人
- 24/7 : 終日大騒ぎしている
- 411 : 情報。411は米国の番号案内の電話番号。
- 420 : 大麻と大麻の使用に関連する番号。4月20日を「マリファナの日」と呼んでいます。
- 5-0 : 警察について。海外TVドラマシリーズ「HAWAII FIVE-0」から。
- 1096 : 精神障害の容疑者の警察コード(映画「THE SUGARLAND EXPRESS」より)。テキサス州で一般的に使用されています。
- 5150 : カリフォルニア州福祉施設の精神障害の数字。Van HalenとEazy-Eのアルバム名としても。
- 730 : クレイジーな人を表す数字。精神病患者が午前7時30分と午後7時30分に薬を受け取ったことに由来している説。
- 211 : 強盗
まとめ
海外で使われているヒップホップスラングを13個ご紹介しました。
- Beef
- Clowning
- Cheddar
- Diss
- Popo
- Crunk
- Baller
- Jiggy
- Swag
- Trill
- Biscuit
- Dog
- Ice
音楽の中でも比較的使いやすいスラングワードです。
もちろんスラングワードの中には日本人の感覚を超えて忌避されているスラングもたくさんあるので、気を付けましょう。
以上、「【ラップ用語】海外で使われているスラングワード」でした。