ノイズの効果的な使い方について
音楽制作においてノイズ=悪であり、出来る限りノイズを除去した低ノイズなサウンドが良しとされていますが、EDMやHiphopのようなコンピューター内で制作のすべてを完結させるような音楽ジャンルではノイズは必須の「サウンド」の一つとして扱っています。
筆者もエレクトロ系の前はロック系をずっとやっていたので、ノイズに対しては「出来る限り除去しなければいけない」対象だったので、ノイズを付加して音に温かさと厚みを加えるという発想がまったくありませんでした。
実際にシンセサイザーや打ち込みのドラムだけで仕上げたトラックは非現実的な冷たい印象を受け、不必要な倍音が含まれていないのでスッキリし過ぎていて、何か物足りなさを感じます。
現代のシンセサイザーや多くの音源サンプルはノイズレスで音がキレイ過ぎるため、あえてノイズを付加してウォームなアナログ感を再現するという作業を行います。
今回は制作において「ノイズ」の有効活用方法をいくつかご紹介します。
歪み
オーバードライブやディストーションと呼ばれるいわゆる「歪み」です。
一番有名なところでいうとエレキギターに使われるペダルエフェクトが有名ではないでしょうか?
この「歪み」もノイズの一種で音を強く圧縮しドライブすることで、倍音を発生させて音に厚みを加えることができます。
ロック系ではギターやベースに適用するのが一般的ですが、エレクトロの世界ではほぼすべての楽器に歪みが加えられています。
キックやスネア、リードシンセ等、多くの楽器に歪みは使われていて、マスタリングセクションでは「サチュレーション」と呼ばれる耳では判断できないぐらいの小さな歪みもよく使われます。
ホワイトノイズ
ホワイトノイズは「サー」というテレビの砂あらしのような同じ強度の全周波数帯域を持ったノイズのことです。
ドラムのクラッシュシンバルに近い性質をもっており、持続音が永続するので、バックで常にうっすら流すことでトラック全体の「音の隙間を埋める」といった使い方が一般的です。
もう一つはフィルターオートメーションを書き、ドロップに向かう盛り上げるを演出するためのライズアップ素材としてもよく使用されています。
ヴァイナルノイズ
英語だと「Vinyl Noise」と書き、ビニール袋のビニールを連想するのであえて「ヴァイナル」と呼ぶことが多いです。
アナログレコードを再生したときのような「ジジジ」というノイズを付加することで温かみを付加する効果と、最近のLo-Fiブームもありレトロな雰囲気が再び注目されています。
まとめ
ノイズの効果的な使い方についてご紹介しました。
- 歪み
- ホワイトノイズ
- ヴァイナルノイズ
ノイズを効果的に使うことで、音の隙間や音圧をあげることが可能なので、色々試してみてください。
以上、ノイズの効果的な使い方についてでした。