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ボーカルリバーブのかけ方 :「歌ってみた」をよりプロフェッショナルな質感に仕上げる

ボーカルリバーブのかけ方 :「歌ってみた」をよりプロフェッショナルな質感に仕上げる

ボーカルトラックにリバーブを追加することで、サウンドに音の反響音が加わり、よりリアルかつ壮大なボーカルトラックに仕上げることができます。

上手くリバーブをかけることで心地よい響きを得ることができますが、ミックス全体になじむような滑らかな響きを得る為には経験とスキルが必要になります。

そこで今回は、ボーカルリバーブに焦点を当て、メインボーカル、ハモり、コーラス等、すべてのセクションで最適なリバーブを適用する為のヒントをご紹介します。

リバーブの必要性について

リバーブとは空間で起こる「残響音」のことで、カラオケのエコーを想像してもらうと分かりやすいと思います。通常、自然界で残響音がまったく発生しない音は無く、普段生活しているときに聴こえる音には、必ずどこかに跳ね返った音も一緒に混ざって聴こえています。

デジタル上の音源サンプルやシンセサイザーのみで作られたサウンドのように、残響音がまったく無い状態だと違和感を感じてしまうこともあるので、それを避ける為にもリバーブの付加は重要になってきます。

リバーブのパラメーター

リバーブには、オーディオ信号に様々な音響効果を付与するためのパラメーター設定が備わっています。今回はFL Studio標準搭載のリバーブを例に挙げていますが、一般的なリバーブプラグインであれば、基本的なパラメーターは同じになります。

  • Decay Time
    リバーブの残響音の長さを決めます。DecayやReverb Timeと表記されている場合もあります。
  • Size
    空間の広さを決めます。Sizeが広いと柔らかい質感になり、狭いと原音に近い硬めの質感になる傾向があります。
  • Predelay
    初期反射音の時間を決めます。速くするとより残響感を感じるボヤけた印象になり、初期反射を遅くすると原音に残響音が被りにくくなり、スッキリとしたリバーブ効果が得られます。
  • Filter
    ローカット、ハイカットフィルターで余分な残響音をカットすることができます。
  • Mix
    残響音の音量を決定します。


4種類の代表的なボーカルリバーブ

異なるタイプのリバーブによって、ボーカルトラックに独自のキャラクターを追加します。ボーカルによく使用される代表的な4つの種類は以下の通りです。

プレートリバーブ

プレートリバーブは、クラシックなロックで聴くことができる、独特の温かみのあるレトロな雰囲気が特徴的です。プレートリバーブは滑らかな減衰を持ち、リバーブ信号にアナログ感のある温かみを与えます。

ホールリバーブ

ライブ会場のような没入感のあるボーカルトラックが必要な場合は、ホールリバーブを適用することで広々とした空間演出が可能になります。一般的によく使用されるリバーブの一種で、大きなホールやライブスペースをエミュレートしたものが多く、さまざまなボーカルスタイルに最適です。

チェンバーリバーブ

チェンバーリバーブは、特定の音響特性を持つ残響空間を表現する為の人工リバーブシステムで構築される、より壮大で大きな空間のリバーブエフェクトです。リバーブテールが長く、ドラマチックな効果を得ることができるリバーブです。

ルームリバーブ

ボーカルリバーブの中でも、原音に対して最も繊細でリアルなリバーブ効果を持つのがルームリバーブです。一般的な小さな部屋をエミュレートするように構築されており、原音への影響が少ない微量なリバーブ効果を生み出します。

ボーカル録音時にはリバーブをかけない

空間の自然なリバーブをキャプチャする場合を除いて、録音時には基本的にはリバーブなどのエフェクトをOFFにした状態でボーカルレコーディングすることをおすすめします。

こうすることで、クリーンなドライボーカルとリバーブ処理されたウェットボーカルのバランスの調整がコントロールしやすくなります。

ボーカルトラックに最適なリバーブ量は?

ボーカルトラックに最適なリバーブ量は、原音となるボーカルのタイプ、ジャンル、曲のテンポや音価(音の長さ)によって異なるので一概には言えませんが、目安としてテンポの速い曲では0.5〜1.5ms、遅い曲では2.0〜4.0msあたりで探ってみましょう。リバーブタイムは、曲のテンポに合わせてしましょう。

また、単一のボーカルトラックと複数のボーカルのリバーブのバランスによって、サウンドが大きく変化することもあります。自然なサウンドが求められるジャンルでは、最小限のリバーブエフェクトを使うことがありますが、アンビエントやシューゲイザーのようなジャンルでは、より壮大なリバーブエフェクトが必要となります。

ボーカルリバーブを使用するときの6つのヒント

1. リバーブテールに注目する

リバーブの最も重要な要素として「リバーブテール」と呼ばれるものがあり、これは初期反射の後に続く減衰する音声を指します。リバーブテールの長さを調節し、不要なリバーブテールを削減することで、トラックが濁るのを回避することができます。

2. 異なるリバーブ設定を試す

市場には様々な種類のリバーブプラグインが販売されており、それぞれに異なるリバーブの質感や設定が可能になっています。トラックに最適なリバーブを見つけるには、色々なタイプのリバーブを試してみることも大切です。

3. 並列処理を試す

リバーブをセンドトラックに配置することで、パラレル処理が可能になります。パラレル処理ではリバーブ信号に対してより細かくコントロールすることが可能となり、EQなどを使った調整も容易になります。

4. リバーブをEQする

リバーブで処理する前に、EQでボーカルの主要な周波数を調整し、クリーンなサウンドを確保しておきましょう。特に広い周波数スペクトルを持つサウンドの場合はリバーブ成分に対してのEQ処理も重要となります。

5. パンニングする

リバーブとパンニングを組み合わせると、広がり感を生み出すことができます。異なるトラックに異なる量のリバーブを配置し、ステレオフィールド上で変化を生じさせましょう。

6. オートメーション化

リバーブのドライ/ウェット量を時間の経過とともに自動化することで、トラックの進行に合わせてリバーブ成分を自由にコントロールすることができます。特定のセクションでリバーブを強調したり、逆にOFFしたりすることで、ミックス内でのボーカルのポジションを調整することができます。

まとめ

ボーカルにリバーブを正しく使用することで、ボーカルトラックに深みと自然な響きを与えることができます。はじめのうちは異なるリバーブタイプを試し、プロジェクトに最適なリバーブエフェクトを探すことも大切です。

実際にミキシングを行うときには、リバーブテールに注意して調整することで、メインボーカルやハモリ、コーラスなどの各セクションで最適な効果を得ることができます。リバーブの種類やパラメーターを理解し、ボーカルのジャンルや曲の雰囲気に合わせて調整してみましょう。

以上、「ボーカルリバーブのかけ方 :「歌ってみた」をよりプロフェッショナルな質感に仕上げる」でした。


【ワンランク上の空間表現】リバーブエフェクトの3つのテクニック

リバーブVSTプラグインおすすめ12選【DTM】

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