ASIOドライバーとは?その仕組みと使用メリットついて
DTMのようなデジタル環境での作曲や、電子楽器を扱ったことがある人なら、おそらく「ASIO」という言葉を目にすることがよくあるかと思います。
今回の記事では、ASIOとは何か?ASIOがどのように機能するのかを分かりやすく解説します。
ASIOとは?
ASIOドライバーとはAudio System Input/Output(オーディオ・システム・インプット/アウトプット)の頭文字をとった言葉で、人気DAWの「Cubase」を開発しているドイツの音楽会社"Steinberg"によって作成されたサウンドカードドライバープロトコルです。
ASIOドライバーは、オーディオインターフェイスとソフトウェアの間を低遅延で直接的なやり取りを可能にするドライバ規格です。これにより、ソフトウェアにオーディオデータを送信する際のレイテンシーが大幅に削減され、リアルタイムで音楽を演奏したり録音したりすることが可能になります。
ASIOドライバーの特徴を3つにまとめると、
- 低いレイテンシー
ASIOドライバーは、非常に低い遅延時間でオーディオデータを処理することができるので、リアルタイムのオーディオ録音や演奏において重要となります。ASIOドライバーはミリ秒単位のレイテンシーを実現できます。 - マルチチャンネルサポート
複数のオーディオチャンネルをサポートしています。例えば、複数のマイクを使って楽器を同時に録音する場合などに便利です。 - 高品質なオーディオ
ASIOドライバーを使うことで、ノイズや音飛びを最小限に抑え、クリアで正確なオーディオストリームを実現します
ASIOとライバーは、プロのミュージシャンやオーディオエンジニアにとって、リアルタイムのオーディオ録音や演奏において優れたパフォーマンス発揮するのに役立ちます。
Windowsで使用される音の入出力装置
プロ以外の一般ユーザー向けの中間信号経路としてMicrosoft社の「DirectSound」が利用されることが多いですが、ASIOを使用することで、ミュージシャンやサウンドエンジニアは外部の音楽機器に直接アクセスすることができます。
オーディオインターフェイスを直接PCに繋いでも動作しないのはこの為です。付属のASIOドライバーをインストールすることでDAWとシームレスにやり取りができるようになります。
ほとんどのプロフェッショナルサウンドカードと音楽ソフトウェアには、独自のバージョンのASIOがプリインストールされていますが、ASIOドライバーを個別にインストールすることもできます。
ASIOはWindows以外で利用できない?
ASIOドライバーは現在、Windowsでのみ利用できますが 「WineASIO」と呼ばれる実験的なバージョンを使用することで、LinuxシステムにASIOをインストールできます。
Macシステムでは「Core Audio」と呼ばれるAPIを使用しているため、MacOSではASIOを利用することはできません。※Core AudioはASIOと同水準の技術とレイテンシー(発音遅延)を持つと言われています。
Macの「Core Audio」
Macコンピュータは、標準ドライバーである「Core Audio」が搭載されており、低レイテンシで高品質なオーディオストリームを処理するためのドライバーとAPIを提供します。このため、MacユーザーはASIOドライバーを別途インストールする必要がありません。
また、ほとんどのオーディオインターフェースやオーディオデバイスとの互換性が高く、多くのデバイスはMac OSにネイティブでサポートされており、専用のドライバーをインストールしなくても直接認識されます。
ASIOドライバーのメリット
- ソフトウェアとデバイス間の直接的なアクセス
- レイテンシーの減少
- デバイスのマルチチャンネル使用
- 高音質
ソフトウェアとデバイス間の直接的なアクセス
繰り返しになりますが、ASIOはDirectSoundを介して通常のオーディオ経路をバイパスすることにより、オーディオソフトウェアがオーディオデバイスに直接アクセスできるようにします。
レイテンシーの減少
さらに、DirectSoundの不要なレイヤーをスキップすることで、オーディオデバイスからコンピューターへのルートのスピードバンプを減少させ、レイテンシーを大幅に削減する効果があります。
デバイスのマルチチャンネル使用
ASIOを使用することで音の遅延が短くなるだけでなく、オーディオデバイスで使用可能なすべてのチャンネルを表示できます。この機能を使用することで、オーディオデバイスのマルチチャンネル機能のロックを解除できます。
高音質
4つ目のASIOを使うことの大きなメリットとして、トランスペアレント出力を提供することです。ASIO を介して受信したオーディオ信号は圧縮も再サンプリングもされないため、標準ドライバーを使用している場合よりも高音質になります。
ASIOドライバーのない機器を動かすには?
ASIO4ALLは、Windows OS上で動作するオーディオストリーミングの為のASIOドライバーエミュレーターです。ASIO4ALLを使うことで、一般的なオーディオインターフェースやサウンドカードに対してASIOドライバーを提供することができ、低レイテンシーで高品質なオーディオ処理を実現します。
ただし、ASIO4ALLはあくまでエミュレーションの為、本物のASIOドライバーに比べるとパフォーマンスや安定性で劣る可能性があります。また、特定のオーディオインターフェースに搭載された高度な機能が利用できない場合もあります。
ASIOドライバーの代替手段として便利ですが、本物のASIOドライバーが利用可能な場合は、そちらの方が最適なパフォーマンスを発揮することができます。
まとめ
ASIOドライバーの仕組みと使用メリットついてお話しました。
ASIOドライバーはオーディオデバイスと音楽ソフトウェア間のやり取りを簡単にして、かつレイテンシーが少なく、高音質であることで、音楽クリエイターにとって欠かせない便利なシステムとして定着しています。
最近は大手メーカーであれば、基本的には付属でASIOドライバーを提供してくれているので、ASIOについて知らなくても、自動的にインストールして使用することができるようになっています。
その一方で、安価な製品や無名のメーカーの製品を購入する際はASIOドライバーが提供されていないこともあるので、Windowsで音楽制作する場合はASIOドライバーが付属しているか確認した方がいいでしょう。
以上、「ASIOドライバーとは?その仕組みと使用メリットついて」でした。