イギリスのミュージシャンの平均年収は25,881ドル(約380万円)国勢調査で明らかに
国勢調査により、英国のミュージシャンの平均年収が日本円にして約380万円と発表されました。
これは、Help Musicians and the Musicians' Unionが調査機関Walnutと共同で行ったプロジェクトで、ミュージシャン約6,000人を対象とした調査により、収入、ライフスタイル、給与格差の詳細を明らかにすることで、英国のアーティストが業界でどのようなキャリアを築いているのかをマッピングしています。
ミュージシャンとして生活するのは厳しい
報告書によれば、イギリスのミュージシャンの平均年収は「わずか2万700ポンドである」と表現されています。日本の感覚では、平均年収380万円と聞くとミュージシャンとして生活するには十分な額だと感じてしまいますが、イギリスは物価が高い国です。
物価の基準を計るためにマクドナルドの「ビックマック指数」がよく使われますが、日本ではビックマックは450円ですが、イギリスでは766円です。
家賃や生活費も同じように価格が上がるので、実際、調査に参加した回答者の23%が「音楽のキャリアだけでは自身や家族を養うことが難しい」と回答しています。
副業しているミュージシャンが多い
この収入不足の問題から、ミュージシャンは音楽収入を補うために副業としての収入源を模索するようになりました。フリーランスとして働いたり、正規雇用を見つけて働いている人もいます。
イギリスでは、活動しているミュージシャンのうちの62%は「音楽業界以外で追加の収入を得ている」と回答しました。音楽以外の収入源を持つ人のうち75%は、その主な理由は家計を支えるためであると報告されています。
収入不足で音楽活動を続けることが難しい…
報告書によると、ミュージシャンの46%が、経済的な問題が音楽活動の妨げになっていると報告し、44%が安定した収入が不足していることがキャリアの成長を制限していると述べました。
自身の音楽キャリアを築く上での経済的な問題として、30%のミュージシャンが機材コストを最大の問題として挙げており、続いて27%が交通費の高さ、18%が練習費用(スタジオ料金)に困っていると報告されています。しかし、それでもミュージシャンの音楽への情熱は変わることはありません。
音楽だけで稼ぐミュージシャンも!
もちろん、収入の100%を音楽から得ているアーティストもいます。ミュージシャンの40%は、収入の全てを音楽から得ており、年間平均で3万7,510ドル(約550万円)を稼いでいると報告されています。
この中の25%は年間に51,262ドル(約750万円)以上を稼いでおり、3%は年間87,521ドル(約1,300万円)以上を稼いでいると回答しています。
しかし、フルタイムで音楽活動をしている多くのミュージシャンは、自己雇用の音楽プロジェクトに取り組んでおり、そのスキルからの平均総収入は約700万円と報告されています。しかし、こういった音楽活動を行うアーティストも、副業を見つける必要があると考えると、現実は厳しいものです。
フルタイムの音楽キャリアでも経済的安定は保証されておらず、多くの回答者が不安定な収入を補完するために副業を持っています。さらに、ミュージシャンの全体の17%が借金があるとの回答もあります。
まとめ
イギリスのミュージシャンの収入調査についての報告書をまとめてみました。
調査によれば、平均年収は約380万円であり、これは日本円に換算しても相当な額に思えるかもしれませんが、実際には高い物価と生活費の影響を受けています。音楽活動だけで生計を立てることは難しく、多くのミュージシャンが副業やフリーランスのプロジェクトで収入を補っています。
収入の不足により、音楽キャリアの成長が制限されており、機材コストや交通費、練習費用などがミュージシャンにとって課題となっています。それでも、多くのミュージシャンは音楽への情熱を持ち続けており、一部のアーティストは音楽だけで十分な収入を得ていますが、その割合は決して高くありません。
日本でも経済的な安定を求めるために、ミュージシャンは創造力と才能を活かし、音楽業界以外の収入源を模索している方は多いかと思います。音楽への情熱と信念を持ち続け、現実と向き合いながら音楽キャリアを築いていることが、この報告書から浮かび上がってきます。