
6弦ギターと7弦ギターの違いは?7弦のメリット&デメリットを徹底解説
7弦ギターは、6弦ギターと比べてより重厚な低音域を鳴らすことができ、主にヘヴィメタルやラウドロックのようなジャンルで多用されています。
とはいえ、7弦ギターの購入や、6弦からの移行を考えている人にとっては、弦が1本追加されることによってどのような違いがあって、どういったメリットが得られるのか?ということが気になるかと思います。
そこで今回は、7弦ギターを使用するメリットや6弦ギターとの違い、そして弾きこなすためのポイントについてもお話します。
7弦ギターが登場した背景

7弦ギターの登場は、よりヘヴィな重たい音域を求める音楽ジャンルの進化と関係しています。7弦ギターが広く普及しはじめたのは、ギタリストのスティーヴ・ヴァイがIbanez社と共に開発したモデルがきっかけですが、一般に広まったのは1990年代のヘヴィメタルやラウドロックといった音楽ジャンルの発展が背景にあります。
メタル系の音楽では、より重厚で迫力のあるサウンドが求められ、6弦をダウンチューニングして使うのが一般的でした。しかし、過度にダウンチューニングすることで弦のテンションが緩くなり、音がビビったり、サウンドが濁りやすくなったりと、問題点も多くありました。

そこで、7弦ギターの登場です。7弦ギターであればレギュラーチューニングのまま低い音域をカバーできるため、ダウンチューニングの必要がなく、演奏性を維持したまま重厚なサウンドを実現できるようになりました。
最近では、プログレッシブメタル、Djent系だけでなく、ジャズやフュージョンの世界でもその広い音域を活かした独創的なプレイが生まれており、その可能性は広がり続けています。
6弦ギターとの違いは?
それでは、まずは6弦ギターとの大きな違いについてみていきましょう。
弦が1本多く、チューニングが異なる
7弦ギターは6弦ギターの一番低い弦(E弦)の下に、さらに低い音(B弦)が追加されます。これにより、標準的なチューニングは低音弦から「B-E-A-D-G-B-E」となります。

また、7弦のみをさらに1音下げたドロップAチューニング(A-E-A-D-G-B-E) もよく採用されます。これにより、人差し指1本で押さえるパワーコードのフォームを低音側に拡張でき、複雑なリフをより簡単に演奏できるメリットがあります。
音域が広い
7弦ギターでは、7弦の5フレットが「E音」になります。つまり通常の6弦ギターと比べて、完全4度下(半音5つ分)まで音域が広がることになります。

ネック幅が広い
弦が1本追加されるということは、ネックの幅も少し広くなります。このことによって握った感覚や、余弦のミュートの感覚が変化します。ただし、最近のモデルはテクニカルな演奏に対応するため、幅は広くても厚みは薄い「薄型ネック」を採用しているものが多くなっています。

弦長(スケール)が長いモデルが多い
7弦の太い低音弦に適切な張り(テンション)を持たせるため、6弦ギターの一般的なスケール(約628mm~648mm)よりも長い、「ロングスケール」(約666mm~686mm)が採用されることがあります。これにより、低音を鳴らした際の音の輪郭がぼやけず、クリアで芯のあるサウンドが得られます。
7弦ギターを使うメリットとデメリット

メリット
- 低音域の拡張
最大のメリット。追加された低音弦により、ベースラインと絡むような重厚で迫力のあるリフを演奏できます。 - ダウンチューニング不要で安定したピッチ
ダウンチューニングをすることなくB音まで鳴らすことができます。弦のテンションが保たれるので、ピッチが安定し、張りのある7弦特有のサウンドが手に入ります。 - 重厚なコードボイシングと作曲の幅
追加された低音弦を絡めることで、6弦ギターでは表現できなかった厚みのある響きを持つコードを奏でられます。低音リフと高音のメロディをギター1本で両立できるため、作曲やアレンジの幅が格段に広がります。
デメリット
- ネックの幅が広く慣れが必要
6弦ギターに比べてネック幅が広いので、手の小さい人や6弦ギターに慣れている人は、最初は違和感を感じるかもしれません。特に、親指で6弦をミュートするようなフォームに慣れていると修正が必要です。 - ミュートが難しい
ギター演奏では、余計な音が鳴らないように弾かない弦を軽く触れる「ミュート」が大事ですが、7弦ギターではシンプルに1弦増えることによってミュートの難易度が上がります。特に低音弦のノイズコントロールが課題になります。 - 備品やアクセサリーがやや少ない
一昔前よりは格段に増えましたが、それでも6弦用に比べると、交換用の弦やピックアップ、その他パーツのラインナップはまだ少ない傾向にあります。
【重要】7弦ギターの演奏に慣れるためのコツ

デメリットを読んで不安になった方もいるかもしれませんが、心配ありません。以下のコツを意識すれば、誰でも7弦ギターを弾きこなすことができます。
1. ミュートを徹底的に意識する
7弦ギターのミュートは、右手と左手の両方で行います。右手の手刀(手のひらの側面)をブリッジ付近に置き、弾かない低音弦(特に7弦・6弦)に常に軽く触れておくのが基本です。リフを弾く際は、この右手の位置がサウンドの要になります。また、左手の人差し指の腹で真下の弦に触れたり、ネック上部から親指を少し出して7弦に軽く触れることで、不要な共振を防ぐことができます。
2. 6弦までの感覚を基準にする
最初は7弦を「追加された特殊な弦」と考え、まずは6弦から1弦までを「いつものギター」として捉えると混乱しにくくなります。通常のコードやスケールを弾く際は、7弦を意識の外に置く、あるいは左手の親指で確実にミュートする癖をつけましょう。そして、ヘヴィなリフを弾く時だけ7弦を登場させる、という風に頭を切り替えるのがおすすめです。
7弦ギターはどういう人におすすめなの?
7弦ギターは、サウンドメイク次第では幅広いジャンルにも適応できますが、やはりメタルやテクニカルに特化した作りになっている傾向があります。
例えば、よりパワーのある「アクティブピックアップ」や、低音弦側と高音弦側でスケールが異なる「ファンフレット」といったテクニカル向けの仕様が採用されていることも多く、そういったジャンルを突き詰めたいギタリストの方には非常におすすめです。
実際に有名な7弦ギタリストのプレイを聴いてみよう
イメージを掴むために、7弦ギターを効果的に使うアーティストの音楽を聴いてみるのが一番です。
KORN
TRIVIUM
Dream Theater
Chelsea Grin
これからギターを始めるような方にとっては、演奏難易度がやや高めであることと、YouTube等の教則コンテンツも6弦ギターに向けたものが多いため、最初は6弦でスタートしてみて「もっとヘヴィなサウンドが欲しい!」「好きなアーティストが7弦を使っている!」と感じたら移行する、という流れがスムーズかもしれません。
ピッチシフターという選択肢も

低音域を活かした重厚なサウンドを手に入れたいという方は、7弦ギターの他にもエフェクターの「ピッチシフター」で音域を下げる、という選択肢もあります。
こうすることで6弦ギターであっても、Drop Aのような7弦ギターの領域まで、弦のテンション感を保ちつつ音域を下げることができます。
まとめ
7弦ギターは、6弦ギターよりも重厚な低音域と幅広い音域を活かした表現力豊かなサウンドが魅力です。ヘヴィメタルやラウドロックといったジャンルでその真価を発揮しますが、アイデア次第で様々な音楽スタイルに対応することが可能になります。
これから実際に7弦ギターの購入を検討している方は、この記事を参考に、実際に楽器店などで試奏し、ネックの握り心地、スケールの長さ、そして何より音の好みを確認することをおすすめします。
以上、「6弦ギターと7弦ギターの違いは?7弦のメリット&デメリットを徹底解説」でした。