DTMで役立つギターのボイシングについて【コードの響き方】
打ち込みの際にギターらしさを出す為に重要になるのが、音の並びであるボイシング。
ギターはその構造上、ボイシングに特徴があり独特のサウンドトーンを得ることが出来ます。
特にコードを鳴らしたときには弦楽器特有の響きを得ることができ、同じ音でもピアノのような鍵盤とは違ったトーンになります。
基本的には6本の弦のどこかを指で押さえて、ピックを使って順に「ジャラーン」と弾くことになるので、物理的にも音の広がりが出やすく、これらの要素を考えた上でピアノロール上でボイシングアレンジする必要があります。
そこで今回はギターのボイシングの考え方について解説していきます。
ギターは6音発声のポリフォニック楽器
ギターには6本の弦が張られており、4度の間隔で並んでいます。
ギタリストにとっては当たり前かもしれまんせんが、ピアノ奏者のような違う楽器をメインで扱っている方からすると意外と見落としがちなポイント。
実際にコードを鳴らすときには、6弦すべてを鳴らす場合と、4~5音をつかったコードボイシングも存在するので(ロックだと2音しか使わないこともあります)ジャンルや演奏するスタイルに合わせて変化させるのが一般的です。
MIDIを使って打ち込みするときには6音以内に収めることで、不用意に音が分厚くなったり濁ったりすることを防ぐことができます。
このようによりリアルなギタートーンを再現する為には、MIDI打ち込みもギターと同じようなボイシングを再現する必要があります。
押さえる指の限界
ギターはネックを握り込むようにして弦を押さえるので、指板の上には左手の4本の指しかありません。
つまりこの4本の指の届く範囲がボイシングの限界ということになります。
どんなに指が長くて柔らかい人でも大体左右に6フレット分ぐらいだと思います。
ピアノロールを使って打ち込むときにも、この範囲の中から音を選択するようにするとギターと同じボイシングを再現することができるようになります。
弦の並びによる制限
最初の章でギターの開放弦の並びは4度間隔になっていると言いましたが、1弦Eから6弦Eまで縦に並べると音高差が2オクターブになります。
→作曲に必要な基礎知識【音程、音階、和音】
この範囲の中から4本の指でコードを組み立てるので、ギターの構造的にも鍵盤楽器で使われるクローズドボイシング(1オクターブ内で収まる形)の音の並びをそのままギターで再現することは難しいです。
また転回系(オンコード)や7thやテンションを付け加えた4和音コードになってくるとさらに制約が厳しくなります。
以上のことからギターは自然とオープンボイシングを選択せざるを得ないということになるので、この辺りにも注意しながら打ち込んでいきましょう。
ドロップ2ボイシング
ギターでよく使われるボイシングアプローチとして「ドロップ2」というものがあります。
ドロップ2ボイシングとは元となるクローズドボイシングの上から2番目の音を1オクターブ下に配置した形のことで、ギターのコードボイシングの基本となっています。
このドロップ2の考え方もMIDI打ち込みの際にギターらしさを表現するためには欠かせない要素です。
このようにオンコードでも押さえやすい形になるので頻繁に使用されます。
打ち込むとこんな感じ。
また、ドロップ2ほどではありませんがドロップ3というのも使われることがあるので、覚えておくと役に立ちます。
ここからギターのコードボイシングで最も多い3つの押さえ方を紹介します。
ローコード(オープンコード)
6音発声のポリフォニック楽器の項目でも少し触れましたが、開放弦を絡めたこのローコードまたはオープンコードと呼ばれるコードの形です。
押さえるのが簡単で、オクターブで重複する音が多いので厚みのある和音を鳴らすことができ、ギターを始めたばかりの初心者が覚えるボイシングの形としても有名です。
アコースティックギターを使った弾き語りの伴奏やアルペジオにもよく使われます。
ハイコード(セーハコード)
ハイコードは人差し指で1~6弦をセーハするスタイルの押さえ方で、ローポジションにおけるFコードです。
ギターでは初心者キラーとも呼ばれている押さえ方で、ここで挫折する人が非常に多いことで有名です。
人差し指がカポタストの役割を果たしているので、フレットを横にずらしていけば色んなコードボイシングに対応することができるので、実は非常に便利な押さえ方です。
6弦ルートの押さえ方ともう一つ5弦ルートの押さえ方もあります。
これらのハイコードもローコードとおなじくらい頻繁に使用されるコードボイシングなので覚えておきましょう。
パワーコード
パワーコードは主にロックのような激しい音楽ジャンル使用されるルート音+5度の形の押さえ方です。
オーバードライブやディストーションと呼ばれる「歪み」を加えることが前提の押さえ方なので、ロックギターを打ち込む際には必須のボイシングです。
歪みによって倍音成分が大きく膨らむので、ディストーションを加えた状態でローコードのような多くの弦を鳴らしてしまうと、響きが複雑になりすぎてしまい、コード感が損なわれます。
逆にアコースティックギターのようなクリーンな音でパワーコードを使うと、音圧の足りないさみしい音になっていまうので、ロックやメタルのようなジャンルのみに限定されるボイシングスタイルです。
テンションコード
テンションノートと呼ばれる9th、11th、13thの音を加えた形で、ギターの場合音数が多いので、必要最低限の音を押えた独特の響きになります。
ルート音や5度を省略した形になることもあるので、他の楽器に補ってもらうということも考える必要が出てきます。
一般的にはルート音はベースにまかせてしまうという方法を選択します。
まとめ
DTMで役立つギターボイシングについてご紹介しました。
ギター音源ソフトを使って実際に演奏しているかのようなリアルな打ち込みを表現したいときに役立つと思うので、参考にしてみてください。
ソフトによってはそもそもギターで再現できるボイシングしか鳴らないように設定されている音源もあったりするので便利です。
以上、「DTMで役立つギターのボイシングについて【コードの響き方】」でした。
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