音楽クリエイターの為のSNS戦略
音楽クリエイター、アーティスト、プロデューサーはSNSが世の中に普及する前まではフォロワーを気にする必要はありませんでした。音楽は品質とリスナーの評価、市場のランキングによって決まっていたからです。
しかし、現在は独立型のクリエイターや個人で活動する作曲家にとって、SNS戦略を使って自分の音楽ファンを獲得することは必須の項目になっています。
SNSがアーティストにとって不可欠なマーケティングツールである理由と、ミュージシャンに最適なプラットフォーム、ソーシャルメディアでファンを獲得する為のアイデアについてお話します。
ミュージシャンの為のマーケティングツール
SNSは自身の音楽キャリアに大きな影響を与え、一切コストをかけずに行える無料のプロモーションツールとして機能します。
新曲の発表やライブの集客、その他コンテンツの発信を自分とマッチする音楽ファンに向けて、簡単に素早く情報を広めることができます。
もちろん上手く機能するまでには多くの時間と労力を費やす必要があるかもしれませんが、ITの拡散力を手に入れることで、フライヤーや音楽情報誌では不可能な距離にまで、広く情報を拡散することができるようになります。
個性を発信する
音楽ファン、プロモーター、他のアーティストは、アーティストとしてのあなたをもっと理解するために、あなたのSNSプロフィールを見ます。プラットフォームごとのアカウントを使って、音楽情報はもちろんのこと、音楽の背後にある個性を表現できる場所が最適です。
クールなジャズピアニストでも、パーティー好きなEDMプロデューサーでも、アーティスト自身の人間性が見えることで応援するきっかけになりやすいです。
自分のブランドとイメージ、音楽がどう受け止められたいかを、たっぷりと時間をかけて一度考えてみることも大切です。
ミュージシャンに適したSNS
SNSは常に進化しており、新しいプラットフォームが次々と登場しています。
ここからは独立系のアーティスト、DJ、プロデューサーを目指す人たちに最適なプラットフォームを紹介します。
TikTok
TikTok(ティックトック)は今ミュージシャンにとって最も注目度の高いショート動画プラットフォームです。世界中の人達が利用しており、TikTokの月間アクティブユーザーが2021年9月には10億人に達したと発表され、前年比45%増の成長速度です。
→【200億回再生】2021年もTikTokの音楽への影響力が拡大
TikTokの注目すべき点はオーディエンス属性です。他のソーシャルメディア・チャンネルと比較して、TikTokのオーディエンスはほとんどが10代~20代の若い世代で、音楽を拡散力のある学生や若い人達にリーチすることができます。
新しい音楽やアーティストはTikTokから見つける時代に突入しており、アーティストだけでなく、音楽業界、特にレコード会社にとってTikTokはもはや必要不可欠なプラットフォームとして認知されています。
YouTube
最大規模のステージを狙うのなら間違いなくYouTubeを選択しましょう。
全世界に20億人を超えるYouTubeユーザーがいることからも、プラットフォームとしてのスケールの大きさが伺えますが、競合の数もトップクラスです。
ただ音楽をアップロードしただけでは誰にも観てもらえずに、星の数ほどあるデジタルコンテンツの山に埋もれてしまうのが普通です。かなりの労力とアルゴリズムの理解が必要ですが、上層に浮上できたときには驚くほどの音楽ファンにリーチすることが可能になります。
YouTubeは実験的なプラットフォームとしても機能します。音楽やミュージックビデオ、カバーなどをアップロードするだけでなく、何か新しいことにチャレンジするのもありです。多くのアーティストやミュージシャンは、YouTubeを使って自分のオリジナルコンテンツをファンに紹介し、独自のコミュニティを作っています。
ライブの盛り上がりを友人に共有したり、DJが満員のダンスフロアで楽曲をプレイしたりと、音楽体験を共有することは常にオーディエンスを増やすための大きな役割を担っています。
Instagramでは音楽そのものよりも、感動的な音楽体験を共有することを目的とし、制作過程や自分の音楽を世界中のファンと共有するツールとして機能します。
インスタグラムの潜在的なリーチは驚くべきもので、ユーザー数は10億人以上と推定されています。また、Instagramには、SpotifyやSoundCloudのアカウントに直接リンクできるストーリーズなど、プロデューサー向けの素晴らしい機能が組み込まれています。
SoundCloud
SoundCloudは、音楽に特化したソーシャルメディアで10年以上もの間エレクトロミュージックアーティストやDJの定番となっており、現在でも最大のオーディオ・プラットフォームの一つとなっています。
ユーザーはSoundCloudに音楽をストリーミングしたり、アップロードしたりすることができ、お気に入りのアーティストを登録することで、最新の音楽情報を得ることができます。
現在SoundCloudには2億曲以上の楽曲が登録されており、毎月約1億7500万人が利用しています。2021年3月には新人、独立系アーティストが収入を得るためのライフラインとして、ファンによるロイヤリティの使用を開始することを発表しています。
Bandcamp
Bandcampはアーティストが自分の音楽や商品を宣伝・販売するためのオンラインストアを作ることができるオンラインプラットフォームです。
アーティストは、デジタルダウンロード、レコード、カセット、衣類などを販売することができ、インディーズアーティストの支援を活動の中心としている為、多くの独立型のミュージシャンはBandcampをとても支持しています。
ファンがBandcampでアーティストの商品を購入すると、平均で82%がアーティストに支払われます。直接的に応援したいファンの方や、より公平に収益を受け取りたいミュージシャンにとってBandcampは最適なプラットフォームです。
コンテンツでフォロワーを増やす
利用するべきソーシャルメディアを決定したら、最初の投稿をする前に、自分のオーディエンスが誰であるかを知ることが重要です。ターゲットをより明確にすることで、どのプラットフォームを使うか、どのようにファンと関わるのがベストかを決めることができます。
まずは、ソーシャルメディア独自の空気感を把握するためにも、どういうコンテンツが注目を集めているのかを確認しながら、プラットフォームに合った形でうまく音楽を織り交ぜることでよりリーチが広まります。
最終的にはなるべく多くのプラットフォームを使いこなすことが理想ですが、まずは1つか2つから始めるのがベストです。さらにファンベースを増やすために、それぞれのプラットフォームの特性を理解することにたっぷりと時間をかけてみましょう。
プラットフォームの特性を理解する
特定のコンテンツをさまざまなプラットフォームで共有できるとはいえ、それぞれのプラットフォームには長所と短所があります。
TikTokやInstagram Reels、YouTube Shortsは、一口サイズのビデオクリップに最適なので、トラックのティーザー、簡単な制作のヒント、ライブクリップなど、その30秒~1分の短い時間で面白いアイデアを練ります。
SoundCloudやBandcampなら、純粋な音楽ファンの為に音源リリースに重点を置き、そしてグッズやライブチケットの販売、制作過程のライブストリーミング、プレイリストの作成などが考えられます。
もしくはこれらの特性の両方を組み合わせることで、音楽活動の為の収益源を得ながら、潜在するファンへのリーチを広めることもできます。
SNSで失敗しない為には
もちろん「こうやれば絶対成功する!」といった秘策みたいなものはありませんが、失敗しないための基礎的なことについてお話します。
コンテンツに統一感を持たせる
ターゲットを決めてコンテンツに統一感を持たせることは重要です。
例えば、音楽がメインのチャンネルでゲーム実況を混ぜてしまうことで、チャンネルの品質を下げてしまう可能性があります。視聴者の期待を裏切り、視聴維持率の低下やエンゲージメントの低下に繋がるので、どうしても別のコンテンツを配信したい時には別のアカウントを開設することをおすすめします。
スタート時が最も大変
SNS運用する時はアカウント立ち上げ時が最も大変です。
コンテンツを100個作って配信しても、まったく回らないこともあるので、あきらめずに継続してコンテンツを作り続けることは最低限必須です。一度回り始めると雪だるま式にリーチも増えていきますが、始めの一歩が大変です。
色んなコンテンツを混ぜる
ビデオをアップロードしたり、写真をシェアしたり、音楽のティーザーをシェアしたり、制作のプロセスや使用している機材について話したりと、統一感を維持しながら、様々なタイプのコンテンツを混ぜることで、より興味を惹くチャンネルに成長します。
まとめ
すべてのプラットフォームで音楽をメインとして、そしてアーティスト自身の個性を発信する為にうまく運用することで、着実にあなたの音楽を見つけてくれるファンが増えていきます。
自分らしく、クリエイティブに、刺激的なコンテンツを投稿することは中々難しいかもしれませんが、周りの意見は適度に受け止めながら、独自性のあるコンテンツを作成してみてください。
以上、「音楽クリエイターの為のSNS戦略」でした。