サンプル音源を使うときに気を付けるべき3つの事
音楽制作する際にサンプル音源を利用するという方も多いと思いますが、サブスクリプションやサンプルパックを購入して、そのまま直接DAWに貼り付けて使っていませんか?
サンプル音源は波形によっては少し修正が必要な場合も多く、必要に応じてタイムをズラしたり、位相を整えないとパンチが無くなったり、ボリュームが下がったりすることもあるので注意が必要です。
そこで今回は、サンプル音源をDAWで使用する際に気を付けるべき3つのことについてお話します。
1. 波形の頭を揃える
特にドラムのような打楽器系のサンプルを使う際には、波形の頭を揃えることで、より迫力のあるサウンドにすることができます。
サンプル音源によっては波形の頭の部分に不要な音や、一番大きく鳴るポイントが少し後ろにズレている場合があるので、まずはそれらを修正します。
この小さな波形部分をカットして、波形の一番大きい部分が頭にくるようにすると、拍の頭から最大音量を鳴らすことができます。
他の楽器もこのようにして、なるべく波形の頭を揃えるようにすることで、微妙なタイミングのズレや位相の相殺し合うことが無くなります。
ただし、ビーターが打面に当たる時の「バチ!」としたおいしい部分が含まれていることもあるので、カットする部分を実際に鳴らしてみて不要かどうかの判断はしっかり行いましょう。
2. 位相の向きに気を付ける
位相というのは周期的に繰り返される音の波のことで、エンジニアの間ではよく「位相がズレる」なんて言い方もします。
分かりやすい例でいうと、サイン波を鳴らしたときに、上向き波形の正位相と下向きの逆位相をまったく同じタイミングでぶつけると音が相殺されて消えます。
実際、音の波形というのはもっと複雑なので無音になるということはありませんが、場合によってはアタック感が弱まったり、こもって聴こえたりすることもあります。
位相のズレを避けるために、波形の頭を揃えるときには上向きスタートになるように統一しておけば、ぶつかり合うことが少なくなります。
ほとんどのサンプル音源は上向きスタートになっていますが、自分で録音した音源や、タイミングがほんの少し後ろにズレていることで位相がぶつかってしまっている状態になることもあるので注意しましょう。
特に最近使われることが多い808ベースのような重低音の波形は、サイン波のように規則正しく波打っているので、位相の影響を受けやすいです。
なんか抜けが悪いな。と思ったら位相を反転させてみると解消することもあるので、一度チェックしてみましょう。
3. 加工済みサンプル
サンプル音源によっては既にコンプレッサーで強く圧縮されたものや、歪みを加えられている音源も多いです。
これに気付かずに「キックにはコンプとサチュレーション処理が必要・・・」と考えてさらに圧縮を加えてしまっている方も多いのではないでしょうか?
耳でハッキリ圧縮された音と分かる場合はまだいいですが、ナチュラルにかかった音源なども存在するので、波形を目でみて加工済みの音源かどうかの判断をしておくことも大切です。
上の画像のように同じサンプルパックに同封されている音源でも、コンプレッション処理されているものとそうでないものがあるので、必ず目と耳で判断してからエフェクト処理が必要かどうかを決めましょう。
DTMのハウツー系の記事や動画では「キックには4:1のレシオ値でゲインリダクションは・・・」みたいな解説も多いですが、音源サンプルによって最適な数値は変化するので、あくまで参考程度にしておくといいです。
まとめ
サンプル音源を使うときに気を付けるべき3つの事についてお話しました。
- 波形の頭を揃える
- 位相の向きに気を付ける
- 加工済みサンプル
サンプルを使用するときはこれら3つのことを意識すれば、不用意に濁ったり、アタック感が損なわれることも無くなるので是非試してみてください。
「Loopmasters」のような大手の信用あるサンプル販売サイトであれば、修正なしでそのまま使用できるような綺麗に整ったサンプル音源が多いですが、個人プロデューサーが販売している中には圧縮比率を変えただけの音源やコピペしてかさ増ししているサンプルパックもあったりするので気を付けましょう。
以上、「サンプル音源を使うときに気を付けるべき3つの事」でした。