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音楽制作における4つの「サウンドテクスチャ」について

サウンドテクスチャ

音楽制作における4つの「サウンドテクスチャ」について

「サウンドテクスチャ」という言葉は、海外のサウンドデザインの分野で頻繁に使われており、音楽の持つ質感や空気感を表すために使われます。

すべての曲には独自の質感があり、EDMのような先進的なデジタルの持つ質感や、レコードやカセットテープにプレスされたアナログ感等、様々なテクスチャがあります。

今回は、音楽が持つ独自の「質感」を生み出す為の、4つの重要な要素についてご紹介します。

1. 音色

音色

音色は文字通り、楽器や音源ソースが持つ響き方として定義できます。まったく同じ作曲方法、テンポ、アレンジであっても「音色」の違いによってオーディエンスに与える印象は大きく異なります。

普段からシンセサイザーのような膨大な音色プリセットを持つ楽器を扱う方なら、音色が音楽に与える影響の大きさは実感していることかと思います。

音色の違いはアタック、ディケイ、サスティーン、リリース、レゾナンス、プレゼンス、 ブライトネス、ダークネス、 サチュレーション、その他多くの要素によって構成されています。

サウンドテクスチャを自分のイメージに近いものにする為には、まずは最適な音色を選択する必要があります。

正しい音色を選択する

たとえば80年代のロックミュージックを再現する場合、シンセサイザーよりも生音のエレキギターをマイク録りする必要があります。

ダブステップやトラップ系の攻撃的なジャンルでは、意図的に強い圧縮とサチュレーションを付加したパンチのあるキックドラムが好まれます。

このような音色の選択は、無意識に感じ取れる音楽が持つ「サウンドテクスチャ」の大部分を占めています。一般的な音楽リスナーは音色の違いをそこまで気にしていないかもしれませんが、誰もが多くの楽曲の中から「質感」を感じ取り、音楽のジャンル分けをしているといえます。

2. ダイナミクス

ダイナミクス

ダイナミクスは通常コンプレッサーによる「圧縮」によってコントロールされます。

圧縮を使ってトラックのダイナミクスをコントロールすることができれば、サウンドテクスチャに大きな変化を加えることができます。

コンプレッサーは通常「音量の均一化」を目的として使用されることが多いですが、トランジェント量のコントロールや圧縮による質感の変化をマスターすることで、様々な効果を得ることができます。

コンプレッサーの基本的な使い方

アタック量のコントロール

アタックの質感(音の立ち上がり)はサウンドテクスチャにおいて重要な要素の一つです。通常は音源のアタックとディケイの比率によってコントロールされます。

一般的なVCAコンプレッサー、SSLバスコンプレッサーのような「パンチの効いた」サウンドは、ディケイよりもアタックの比率を大きくすることで生成されます。

このような機種ではアタックタイムは音の立ち上がり部分のトランジェントを通過させるように設定され、その後に緩やかな減衰が続きます。

このような理由から、VCAコンプレッサーはミックス内で最も瞬間的なアタック感が重要な楽器であるドラムやパーカッション系によく使用されます。

3. 倍音

サチュレーション

倍音は歪みにより発生し、歪みと一言にいってもサチュレーション、オーバードライブ、ディストーション、またはクリッピングノイズ等、歪み量や用途によって様々な呼び名があります。

音の高さは周波数によって決まりますが、自然界のほぼすべての音には「基音」と呼ばれる基本となる周波数の他に2倍、3倍…と整数倍の周波数の振動がいくつも生じています。

倍音生成のサウンドテクスチャーに関しては、トラックやプロダクションの全体的の質感において重要な役割を果たし、特定の楽器同士を接着したり、低音楽器によりエネルギーを追加したりと様々な用途があります。

トラックにディストーション(歪み)を加えることで得られる5つのメリット

テープサチュレーション

「歪み」はまったくノイズの発生しないデジタルの世界に、アナログ特有のあたたかみのある質感を加える為の役割も果たします。

昔はノイズレスなクリアな音源を目指してエンジニアは奮闘していましたが、現代音楽ではテープサチュレーションをはじめとする「ノイズ」を付与することが広く見られます。

実際に高品質な音源サンプルやシンセサイザーのようなデジタル楽器のみで音源制作を完結させると「冷たさ」を感じ、どこか物足りないようなトラックに仕上がります。

マスタリングの段階でプロジェクト全体にサチュレーションを加えたり、トラックに高周波を追加することで、生の質感やエアー感を演出することができます。

4. 空間演出

空間演出

アンビエンス(空間表現)は、トラックに使用するディレイやリバーブのみだけでは無く、サウンドソースをステレオ空間の最適な場所に配置することにより演出されます。

この空間演出がよりリアルに聞こえるほど、トラック全体でより豊かな質感が得られます。

例えば、実世界で発生した音は必ず床、天井、壁に反響し、その反響音も一緒に聴いています。また、真横から鳴っている音でも、反対側の耳から音は入ってきます。

なのでDAWのようなデジタル環境のみで制作する場合でも、リバーブ無しの残響音がゼロの状態であったり、極端なパンニング(L、Rに100振り)は状況によっては違和感を覚えてしまうことがあります。(意図して行うこともありますが。)

音量、パンニング、音域、リバーブ

音量で前後、パンニングで左右、音域で高さ、リバーブによって奥行きをコントロールすることができます。

ミキシングの3大要素【音量・定位・音質】について

これらの要素を使用して楽器とサウンドを異なるスペースに配置すると、サウンドのマスキングが無くなり、解像度が上がるのでミキシングにおいての基礎的なテクニックとして使用されています。

前面に張り付くようなサウンドにしたり、リバーブとディレイの処理で遠くの別の空間で鳴っているような空間演出も可能になります。


まとめ

これらの4つの要素を使用してミキシングに適用することで、作品の品質を向上させるだけでなく、自分の理想とするサウンドテクスチャをデザインすることができるようになります。

音楽ジャンルごとに求められている質感は異なる為、まずは作りたいジャンルの音楽を聴き込んで、どのようなサウンドテクスチャを取り入れているかを学ぶことも重要です。

以上、「音楽制作における4つの「サウンドテクスチャ」について」でした。


ミックス品質向上の為に学んでおきたい音響心理学

DTMを始めるなら覚えておきたい7つのミックステクニック


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