Spotify「過去12ヶ月間で再生数が1,000回未満」の楽曲の収益化を廃止
Spotifyは昨年末に、ストリーミングレートが低い楽曲への支払いを制限すると発表していました。この変更は2024年4月1日から適応され、今後「過去12か月間で再生数が1,000回未満の楽曲」の著作権料の支払いが停止されることになります。
停止された収益はストリームシェアに基づいて再分配されます。つまり、今回の新しいロイヤリティシステムを導入することで、収益化対象となっている楽曲で発生する収益は増加するということになります。
さらに、今回のポリシー変更でSpotifyが抱える問題点を解消して「より多くのアーティストに公平に収益を届けることができる。」と説明しています。
システム内の支払いの損失を防ぐ
Spotifyは、この新しい収益化システムにより、支払いの損失を防ぐことができるとしています。1~1,000回ストリーミングされている楽曲は数千万規模の数になり、平均して月額約0.03ドルの収益を生み出していると述べています。年間にすると約4,000万ドルです。
しかし、実際にはクリエイター側に取引手数料と出金手数料が発生するので、この4,000万ドルの収益が支払われることはありません。 Spotifyによると「レーベルやディストリビューターに出金ごとに2ドルから50ドルを支払い、銀行には取引手数料(通常、出金ごとに1ドルから20ドル)が請求される為」としています。
Spotifyが解決したい問題点
Spotifyは、アーティストのディストリビューター、メジャーレーベル、インディーズレーベル、アーティストとそのチームと協力して、以下の3つの問題点を解決する必要があるとしています。
- 人工ストリーミングの撲滅
悪質な人工ストリーミング (自動ボットなどを使用して再生数を水増しする方法) が発見された場合、レーベルとディストリビューターは、1曲ごとに料金を請求されます。 - 小規模なストリーミングをより適切に扱い、アーティストに支払いを届ける
大量の低品質な楽曲をアップロードしまくり、少しの収益を稼ぐといった悪質な手法を排除することで、アーティストに正しく支払いが行きわたるようにする。 - システムをノイズで操作しようとする人々の抑制
ホワイトノイズやクジラの鳴き声、環境音といったBGMも人気なこともあり、ノイズを使用して楽曲の長さを収益化のための最低ラインまで下げ、人為的に楽曲の再生数を伸ばす行為の抑制。
この目標を達成することで、今後5年間で「新進気鋭のアーティストやプロのアーティストにさらに10億ドルが支払われる」と予想しています。
1,000再生未満は全体の0.5%
Spotify内で年間ストリーミング再生数が1,000回に達しない曲は全体の0.5%だと発表されています。Spotifyは、1,000回再生に達成した楽曲の99.5%に対して引き続き料金の支払いを継続します。
再生回数以外にも、Spotifyは収益化のための最低要件を「最短30秒」から「最短2分」に伸ばすと発表しています。ただし、これはホワイトノイズ、自然音、機械ノイズ、効果音、非音声ASMR、無音といったノイズ関連のジャンルにのみ適用されるとのことです。
また、楽曲が収益化対象となる為に必要なユニークリスナーの最低人数が定められているため、ユーザーがシステムを悪用して楽曲を何百回も再生しても対象資格を得ることはできなくなりました。収益化に必要な最低人数については、違法行為者によるさらなる操作を防止するため、公開されていません。
「そもそも、悪質な人工ストリーミングを行う業者の意欲をなくすことができれば、業界はより良いものとなるでしょう。レーベルやディストリビューターが、誠実で勤勉なアーティストから資金を横取りしようとする既知の悪者の音楽を配信し続けることを、意味のある形で阻止できると我々は信じています。人工ストリーミングを検出して罰金として徴収された資金は、業界とプラットフォームを人為的な活動から守るための継続的な取り組みのサポートに利用されます」
Spotify
※収益化に関する詳細はSpotify公式サイトをご覧ください。
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