ベースにステレオ感を与えてワイドに広げる3つの方法
ベースやキックのような低音楽器はセンターに配置するのが基本ですが、場合によってはステレオ感を与えて左右に広げることで立体感が生まれます。
ただしギターやシンセサイザーのような楽器よりも、ステレオ感を持たせたときの位相の問題等のトラブルも発生しやすいので慎重に設定する必要があります。
そこで今回はベースや808のようなサブベースにステレオ感を与えてワイドに広げる方法について解説します。
超低域はセンターに配置
ベースを左右に広げるといっても80~100Hz以下の超低域はセンターに配置することが多いです。
理由としては、超低音には音の指向性が無い為どこから鳴っているかを判断することができないので、左右に広げるメリットが薄れます。
逆に位相の問題や不安定さのほうが目立ってしまうので、結果的にはセンターに配置したほうが無難です。
クラブのような大音量で鳴らす環境や、スマートスピーカーのようなモノラル再生の機器でも濁りの少ないパンチのある低音を再生できます。
低域のみをセンターにする方法
80~100Hzの低域のみをセンターに振る方法は、「Maximus」のような周波数帯域ごとにパンニング機能が付いたマルチバンドコンプレッサーを使用したり、
センドアンドリターンで別トラックに送った信号をEQで分離するといった方法があります。
センドで別トラックにベース信号を送り、送った先のトラックで低音をカットしてから広げることで、低音はセンターに、中音から高音にかけてワイドに広げるといったことが可能になります。
ベースにステレオ感を与える方法
では実際にモノラル状態のベースにステレオ感を与える方法について紹介します。
ちゃんと左右に広がってるのか不安な方は、ステレオイメージャー系のプラグインで確認すると安心です。
1. ハース効果を利用する
ハース効果についてはハース効果を利用してミックスをワイドに広げるでも紹介しましたが、40ms以内の2つの音が鳴っている時、人間は一つの音と認識する作用を利用した方法で、左右にPANした同じ音を少しズラすことでステレオ感を演出します。
非常にシンプルな方法で、最も効果的にステレオ効果を得られやすい方法なので、広く使用されているテクニックの一つです。
ハース効果の作り方
ハース効果を生み出す方法はトラックを二つに分けてほんの少しだけズラしたり、
ディレイエフェクトを使ってドライ音を左、ウェット音(ディレイの音)を右に振ることでハース効果を再現することができます。
設定が難しい方は「MicroShift」のようなプラグインソフトを使うと簡単にハース効果が得られるのでおすすめです。
2. 音程をズラす
ハース効果は音が鳴るタイミングをズラすことで得られるステレオ効果でしたが、音程をわずかにズラすことでもステレオ効果が得られます。
やり方は色々ありますが、単純に2つに分けたトラックのそれぞれの音程を変更する方法が一番わかりやすくて簡単です。
トラックの音程の変更方法はDAWごとに違うので、お使いのDAWのやり方に従ってください。
シンセベースを使っている場合はシンセサイザーに「Detune」機能が備わっているかと思いますので、これを使うと簡単です。
ちなみに発声数(Voice)を2以上に設定しないと、デチューン効果が得られないので注意です。
→ステレオ音像を大きく広げる為のミキシングテクニック
3. コーラスエフェクトを使う
コーラスの原理は原音を複製したものにモジュレーション(音程の揺らぎ)をかけることでサウンドに厚みや奥行きを演出ためのエフェクトです。
先述した「音程をズラす」ことと原理的には同じことなので、ベースにかけることでステレオ感が得られます。
他の方法に比べると設定によっては少し特殊なサウンドになりますが、ジャンルによっては使えるサウンドとして武器になります。
低音にかけるとかなり違和感がでるので、必ず100Hz以下はカットして使用するようにしましょう。
まとめ
ベースにステレオ感を与えてワイドに広げる方法について紹介しました。
- ハース効果を利用する
- 音程をズラす
- コーラスエフェクトを使う
モノラル音源をワイドに広げる方法なので、ベース以外の楽器にも応用できるテクニックです。
シンセベースを使用する場合は、シンセ内の設定で完結することも多いので色々試してみてください。
以上「ベースにステレオ感を与えてワイドに広げる3つの方法」でした。