
ギターのノイズ対策完全ガイド:プロが実践する「原因特定」と「解消」のやり方【2026年最新版】
「渾身のソロを弾いている最中に、アンプから『ジジジ……』と耳障りな音が混じる」
「静かなバラードの曲間、ノイズのせいで雰囲気が台無しになってしまう」
ギタリストなら誰もが一度は直面する、「ギターのノイズ問題」。特にディストーションなどで深く歪ませるロックやメタルを愛する人にとって、ノイズは切っても切れない宿命のようなものだと諦めていませんか?
今回は、初心者の方でも今日から実践できる簡単な方法から、一歩踏み込んだ機材選びまで、これさえ読めばノイズ対策の全てがわかる決定版ガイドとしてお届けします。
なぜ発生する?ギターのノイズの正体を知る

対策を始める前に、まずは「原因」を知ることが重要です。一口にギターのノイズと言っても、実はいくつかの種類があり、それぞれ発生源が異なります。
1. 電源ノイズ(ハムノイズ)
コンセントから供給される電気そのものに含まれるノイズです。ギターアンプに供給される電力の不安定さが原因で発生します。
- 特徴: 「ブーン」「ウー」という低い唸るような音。
- 原因: 家庭用コンセント(交流電源)の周波数が干渉して発生します。東日本では50Hz、西日本では60Hzの音が鳴るため、「ハム(Hum)」と呼ばれます。古い建物や、冷蔵庫・エアコンと同じ回路から電源を取っている場合に顕著になります。
2. 電磁的干渉(外来ノイズ)
空気中を飛び交っている電磁波を、ギターのピックアップやケーブルが「アンテナ」のように拾ってしまう現象です。現代ではもっとも多いギターのノイズの原因です。
- 特徴: 「ジジジ」「ザザッ」という高めの音。スマホを近づけると音が変化するのが特徴です。
- 原因: スマホ、Wi-Fiルーター、パソコン、LED照明などが発する電磁波。特にシングルコイル・ピックアップはこの影響を受けやすい構造をしています。
3. グラウンドループ
複数の機材を接続した際に、電気の通り道が「輪(ループ)」になってしまうことで発生するノイズです。
- 特徴: 常に鳴り続ける「ジー」という鋭い音。
- 原因: 異なるコンセントからアンプとエフェクターの電源を取ったり、ステレオ接続で複数のアンプを繋いだりした際に、微小な電位差が生まれることで発生します。
4. 接点・パーツの劣化
物理的な接触不良や、内部パーツの消耗によるものです。
- 特徴: 弾いた瞬間に「バリバリッ」と鳴る、あるいは無音になる。
- 原因: シールドの断線、ジャックのサビ、ボリュームポットの汚れ(ガリ)。「消耗品」であることを忘れがちな部分です。
「ギターのノイズ」を消すための7つの実践対策
それでは、具体的な解決策を解説していきます。実際に現場で必ずチェックする順番に並べています。
1. 電子機器をギターから遠ざける(スマホ・PC対策)

最もコストがかからず、かつ劇的な効果があるのがこれです。ギターのピックアップは弦の振動だけでなく、周囲の微弱な電磁波もキャッチしてしまいます。
- スマホをポケットに入れない: スマホが通信(5G/Wi-Fi)を行うたびに、ピックアップがその信号を拾い「プププ……」という規則的なノイズを発生させます。
- パソコンのモニターとの距離: 宅録(DTM)をする際、液晶モニターの真正面でギターを構えると、画面から出るノイズをダイレクトに拾います。1メートル離れるか、向きを90度変えるだけでノイズが激減します。
- LED照明やエアコン: 調光機能付きのLED照明や、稼働中のエアコンの近くもノイズの宝庫です。アンプ周辺にこれらの家電を置かない、あるいは電源を切る工夫をしましょう。
2. 電源の「質」を見直す(フルアイソレートの推奨)

電源ノイズを抑えるには、安定した電力供給が不可欠です。特にエフェクターを複数使っている方は、電源供給の要である「パワーサプライ」を見直してみてください。
2026年現在のスタンダードは「フルアイソレート」タイプです。
各出力端子が電気的に完全に独立しているため、デジタルエフェクターのノイズが歪み系エフェクターに回り込むのを防げます。安価なACアダプターを分岐させて使うタイプは、ノイズの観点からはおすすめできません。
おすすめはFenderの「Engine Room」シリーズや、国内ブランドの信頼性が高いモデルです。これらに変えるだけで、「サー」という残留ノイズが驚くほど消えることも珍しくありません。
3. 低品質なシールドを使わない(遮蔽性能の重要性)

ギターシールドは単なる「音を運ぶ線」ではなく、ノイズを防ぐ「シールド(盾)」の役割を果たしています。低品質なものや劣化が進んだものは、この遮蔽性能が落ちており、外来ノイズを拾いやすくなります。
- 適切な長さを選ぶ: シールドは長ければ長いほど「アンテナ」になりやすく、ノイズのリスクが増えます。自宅なら3m、ステージでも5m〜7m程度に抑えるのが無難です。
- 信頼できるメーカー製を: 2026年現在も、カナレ(CANARE)やモガミ(MOGAMI)といった定番メーカーは、低価格ながら非常に高いシールド性能を誇っています。
4. エフェクターの接続順と設定をチェックする

「アンプのノイズ」だと思っていたら、実は特定の「エフェクター」が原因だった……というのはよくある話です。
- 「直アン」で原因切り分け: まずギターとアンプを一本のシールドで繋ぎます。これでノイズがなければ、原因はエフェクターボード内のパッチケーブルや電源にあります。
- 歪ませすぎに注意: ゲイン(歪み)を上げれば上げるほど、本来聞こえないはずの微細なノイズまで増幅されます。特にコンプレッサーとオーバードライブの併用はノイズが増えやすいため、設定を見直しましょう。
5. グランドループに注意し、DIを活用する

特に宅録や複数の機材を繋ぐ環境で、どうしても「ジー」という音が止まらない場合は、グランドループを疑いましょう。
- 電源タップを一つにまとめる: アンプとPC、エフェクターの電源を同じ電源タップから取ることで、電位差をなくしノイズを抑えられます。
- グランドリフト・スイッチ: プロの現場では、DIボックスの「GND LIFT」スイッチを使って、物理的に電気のループを遮断します。これで一発でノイズが消えることも多いです。
6. 「立ち位置」と「向き」を微調整する

ライブやスタジオで即効性があるのがこれです。楽器の向きを変えるだけで、ノイズがピタッと止まるポイントがあります。
アンプのトランス(電源部)にギターを近づけすぎると、「ハウリング」や「ブザー音」の原因になります。ステージ上でノイズが気になったら、少し場所を移動したり、アンプに対して背を向けたりして、最も静かな「スイートスポット」を探してみてください。
7. 最新の「ノイズゲート」を導入する

どれだけ機材を整えても、ハイゲインサウンドではある程度のノイズは避けられません。そこで役立つのが「ノイズゲート」や「ノイズサプレッサー」です。
これらは「ノイズそのものを消す」のではなく、「音を弾いていない時に出力をカットする」魔法の箱です。2026年現在、特におすすめなのが以下のモデルです。
- BOSS NS-1X: 最新のデジタル技術で、原音の減衰(サスティーン)を一切損なわず、ノイズだけをスマートに消し去ります。
- tc electronic Sentry Noise Gate: 特定の周波数だけを狙ってカットできるため、クリーントーンのニュアンスも守ってくれます。
まとめ:ギターのノイズを克服して最高の演奏を
いかがでしたでしょうか。ギターのノイズ対策は、一つひとつの積み重ねが重要です。今回ご紹介した7つのポイントを振り返りましょう。
- 電子機器を遠ざける(スマホやPCとの距離を保つ)
- 電源の質を確保する(フルアイソレート・サプライの導入)
- 高品質なシールドを使う(遮蔽性能を重視)
- エフェクターの接続順とゲインをチェックする
- グランドループを遮断する(電源の統一やDIの活用)
- 立ち位置と向きを変えてみる
- 最新のノイズゲートを活用する
電気を使う楽器である以上、ノイズを完全にゼロにするのは難しいかもしれません。しかし、不快な雑音を最小限に抑えることで、ギターの「本当のトーン」が聞こえるようになります。クリアなサウンドは、弾き手のモチベーションを高め、聴き手にも熱量をダイレクトに伝えてくれます。