ボーカルコンプレッサーのかけ方【DTM】
ミックス作業中、非常に使用頻度の高いエフェクトである「コンプレッサー」
コンプレッサーによる圧縮は多くのトラックに使用され、その使い方も様々ですが、今回はボーカルトラックに対しての正しいコンプのかけ方について、解説していきます。
ボーカルコンプの役割
ボーカルへのコンプレッサーの使用例として、ボーカルのもっとも大きい音量と小さい音量の差(ダイナミクスレンジ)を少なくし、トラック全体のボリュームを均一化する目的で使用します。
現代のプロが作る楽曲の多くは、ボーカルのダイナミクスレンジがほとんど無く、小さなささやき声も、シャウトに近いような叫び声も、一貫して同じ音量バランスに整えられています。
もしマイク録音されたボーカル音源を編集する場合には、ほぼ間違いなくコンプレッサーは使用することになるでしょう。
ボーカル用コンプレッサー
コンプレッサーには多くの種類があり、基本的な機能面は同じですが、メーカーや種類によってその音色は異なります。
代用的なボーカル用コンプとして大定番である
・ 1176をシミュレートした「FET-76」
・ DBX 160 の「VCA-65」
・ Gates STA の「TUBE-STA」などがあります。
これらはすべてARTURIAからリリースされており、ボーカルコンプレッサーとして長年プロスタジオで使用されていた大定番モデルをシミュレートした製品です。
それ以外でも多くのコンプを試してみる価値はあり、それぞれに感触や特徴に差があるので、複数のコンプを所持していることは大きな強みとなります。
ボーカルコンプの設定値
レシオ
一般的に2:1や3:1ぐらいの低いレシオ値は、自然な圧縮で原音のニュアンスを大きく潰すことはありません。
声の操り方が上手く、一貫して音量感が安定しているボーカリストに適応すべき設定値で、最終的に良い結果が得られます。
4:1や6:1以上の高い比率のレシオ値は、圧縮の効いた太いサウンドになりますが、繊細な歌声は失われ、個性が無くなります。
表現力が高く、大声とソフトな歌声を繰り返すようなボーカリストに役立ちます。
アタックとリリース
アグレッシブでエネルギッシュなロック調やラップのようなボーカルには、アタックの設定値を遅くし、トランジェントを残すことで、よりダイナミックな歌声を表現します。
反対に歌い出しや、言葉の破裂音を抑えたい場合はアタックを速くして、耳障りな音を圧縮する必要があります。
リリースタイムの設定を遅く設定することで、スムーズでなめらかなボーカルサウンドを得ることができます。
逆に速くすることで、コンプレッサーの効果がすぐに消え、攻撃的なトランジェントが聴こえてきます。
以上、ボーカルコンプレッサーのかけ方でした。