ヘッドホンのオープンバック型とクローズドバック型の違いとは?
ヘッドホンは、音楽用のリスニング機器としてはもちろん、ゲームプレイや映画鑑賞など、日常に欠かせないアイテムの一つとなっています。スマートフォンやコンピューターに接続したり、ストリートで個性を表現するアイテムとして使われたりと、ファッションの一部として取り入れる人も多いです。
しかし、いざ自分に合ったヘッドホンを選ぼうとすると、どれが良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?特にヘッドホンの「オープンバックタイプ」と「クローズドバックタイプ」は、ヘッドホン選びの中でも重要な要素の一つで、サウンド品質やリスニング環境を左右します。
そこで今回は、ヘッドホンのオープンバック型とクローズドバック型の違いについてご紹介します。
そもそもオープンバックとクローズドバックってなに?
ヘッドホンを選ぶ際、「オープンバック」と「クローズドバック」という言葉を目にすることがあるかと思います。(開放型、密閉型という場合も)これ2つの違いは、ヘッドホンのハウジング(耳を覆う部分)の構造の違いによるものです。
簡単に言うと、 ハウジングに穴が開いているか、いないかの違いです。オープンバックヘッドホンは、ハウジングに穴が開いている構造になっているため、音が外に漏れやすく、クリアな音質が特徴です。一方、 クローズドバックヘッドホンは、ハウジングが密閉されているため、音漏れが少なく、低音が強調されたサウンド傾向になります。
オープンバックタイプ(開放型)の特徴
オープンバックタイプのヘッドフォンは、外側のハウジングに穴が空いているため、空気と音がイヤーカップを自由に通過することができます。このような"穴あきハウジング"は音のこもりを解消することで、よりクリアかつ自然なサウンドを鳴らすことができます。クローズドバックに比べると軽量で、長時間着用しても快適です。
オープンバックタイプの登場
オープンバックタイプの歴史を辿ると1968年、SennheiserのHD414ヘッドフォンが登場し、最初のオープンバックヘッドフォンとして注目を集めました。密閉型ヘッドフォンほど箱型感がなく、軽量で薄型のデザインが特徴的でした。
ユーザーやエンジニアはすぐにそのデザインとサウンドに魅了され、それからもBeyerdynamic、Focal、AKGなどの多くのブランドが、オープンバックヘッドフォンのパフォーマンス、手頃な価格、快適さを追求し、新たなレベルに押し上げてきました。
オープンバックタイプの使用感
オープンバックヘッドフォンは、遮音性を犠牲にすることでクリアかつ自然なサウンドを得られるような構造になっています。ただし、音漏れがするので電車や静かな場所でのリスニングには不向きです。音を閉じ込めずに開放的な構造にすることによって、より原音に忠実なサウンドが得られます。
オープンバックタイプのヘッドホンは、まるでスピーカーで音楽を聴いているかのような、自然で広がりのある音場を体感できるのが特徴です。オールジャンル対応できますが、特にクラシック音楽やジャズなど、音の広がりや奥行きを感じたい音楽に最適です。
レコーディング現場のような、ボーカリストのモニター用ヘッドホンとして使用する場合は、音漏れした音がマイクで拾ってしまうので不向きとなります。
クローズドバックタイプ(密閉型)の特徴
クローズドバックタイプのヘッドフォンは、ハウジングが密閉されているため、高い遮音性と迫力あるサウンドが特徴です。低音レスポンスがわずかに向上し、高い遮断効果で音楽に集中することができます。
クローズドバックタイプの登場
クローズドタイプの歴史は古く、1937年以前主に軍隊やラジオ/電話オペレーターによって使用されていました。Beyerdynamicは、最初の消費者向けヘッドフォンである「DT48」 ヘッドフォンを発表しました。このヘッドフォンは驚くほど人気を獲得し、それ以来、メーカーはヘッドフォン設計の限界を押し広げ、よりリアルなサウンドとより優れた遮音性を生み出し、アクティブノイズキャンセリングを実現してきました。
クローズドバックタイプの使用感
クローズドバックタイプのヘッドフォンは、ハウジングが密閉された作りになっており、低音域をしっかりと感じることができ、迫力のあるサウンドを楽しめます。外への音漏れを防ぎ、反対に外からのノイズにも優れた遮音性が得られるので、騒がしい場所でのリスニングや、音楽に集中したい時に最適です。
オープンバック型に比べると、迫力のあるサウンドではありますが、音場がやや狭く、音がこもって聞こえる場合もあります。ロックやEDMのようなベースミュージックや映画鑑賞にも最適です。
レコーディング時のモニターヘッドホンとしてもクローズドバックタイプが採用されています。
それぞれの特徴まとめ
特徴 | オープンバック | クローズドバック |
---|---|---|
ハウジング | 穴が開いている | 密閉されている |
音漏れ | あり | 少ない |
遮音性 | 低い | 高い |
音質 | 自然で広がりのある音場。低音は軽め。 | 低音再生能力が高く、迫力のあるサウンド。 |
装着感 | 長時間使用でも蒸れにくい | 蒸れやすい場合がある |
用途 | 静かな室内での音楽鑑賞 | 騒がしい場所での使用、ゲーム、音楽制作など |
メリット | 自然な音質、長時間使用でも快適 | 遮音性が高い、音漏れが少ない、迫力のある低音 |
デメリット | 音漏れしやすい、遮音性が低い | 蒸れやすい、音場が狭く感じる場合がある |
オープンバックタイプの定番製品
オープンバックタイプヘッドホンの定番&人気製品をご紹介します。
audio technica ATH-R70x
ATH-R70xは、プロフェッショナル向けに設計されたオープンバック型ヘッドホンです。原音に忠実なサウンドを追求し、高解像度再生を実現する大口径ドライバーと、自然で広がりのある音場を再現する設計が特徴です。
オープンバックらしいクリアで自然な高音域、正確でバランスの取れた中音域、タイトでクリアな低音域と、全音域に渡り原音に忠実なサウンドを提供します。スタジオでのモニタリングやミキシングはもちろん、音楽鑑賞用としても高い評価を得ています。
Sennheiser HD 660S2
Sennheiser HD 660S2は、オーディオ愛好家やエンジニアから高い評価を得ているオープンバック型ヘッドホン「HD 660S」の後継機として、2023年2月に発売されました。HD 660Sの優れた点はそのままに、新開発のトランスデューサーによる繊細でクリアな高音、自然かつ豊かな中音域、そして強化されたパワフルな低音を実現します。
軽量で人間工学に基づいたデザインになっているので、長時間のリスニングでも快適な装着感で、高品質な素材は耐久性と高級感を両立しています。
クローズドバックタイプの定番&人気製品
クローズドバックタイプヘッドホンの定番&人気製品をご紹介します。
Sony WH-1000XM5
Sonyの「WH-1000XM5」は、いくつもの賞を受賞している業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を誇るワイヤレスヘッドホンです。8つのマイクとQN1プロセッサーの組み合わせにより、騒がしい環境でも静寂に包まれたような没入感を体験することができます。
専用設計の30mmドライバーユニットは、クリアで伸びのある高音質を実現し、LDACに対応することでワイヤレスでもハイレゾ音源を楽しめます。また、柔らかくフィット感のあるイヤーパッドとヘッドバンドで長時間の使用でも快適感を損ないません。
Sennheiser MOMENTUM 4
MOMENTUM 4 Wireless は、快適性と高音質を両立させた人気のワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンです。従来モデルからデザインを一新し、より洗練されたミニマルな外観になっています。周囲の騒音レベルに合わせて自動調整される「アダプティブノイズキャンセリング」を搭載し、最大60時間の再生時間のバッテリーと快適性も向上。
さらに、クリアな通話品質、直感的なタッチコントロール、スマートポーズ機能など、移動用ヘッドホンとして音楽以外の便利機能も満載です。
まとめ
オープンバックとクローズドバックの違いを中心に、それぞれのメリット・デメリット、代表的な機種などを紹介しました。
「音質重視で、静かな環境で音楽に浸りたい!」 という方は、オープンバック型。「周囲の音を気にせず、迫力のあるサウンドを楽しみたい!」 という方は、クローズドバック型がおすすめです。
今回の内容を参考に、自分にぴったりのヘッドホンを見つけて最高の音楽体験を手に入れてください。
以上、「ヘッドホンのオープンバック型とクローズドバック型の違いとは?」でした。
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