【爆音から耳を守る!】ミュージシャンが知っておくべき5つの聴覚保護マニュアル
ミュージシャンや音楽クリエイターにとって最も大切にするべき「聴覚」ですが、活動上どうしても、ライブハウスやクラブ、スタジオ練習での爆音が鳴っているような環境に行く機会が多くあります。
一般的に聴覚は加齢や大音量による負担とともに悪化していく一方で、聴力自体の回復は難しいと言われています。つまり若いうちから耳を保護し、ダメージを少なくしておくことで将来的な聴力の維持に繋がります。
この記事では、ミュージシャンが聴覚を守るために知っておくべきいくつかのポイントについてご紹介します。
爆音のリスクを知っておこう
85dB以上の音量(例えば、掃除機のそば、走行中の電車の中)に長時間さらされると、聴力低下が起こる可能性があります。ライブハウスやクラブでは約100dB前後と言われており、15分~30分ほどで聴覚に影響がでるとされています。
そういった環境に長時間滞在したあとに外に出ると「キーン」という耳鳴りや、一時的な難聴のような症状に気付くことがあります。さらに、繰り返しそういった環境で耳を酷使していると、聴力自体が低下してしまう可能性もあります。聴力低下は一度起こると回復することが難しく、日常生活にも支障をきたすこともあるので注意が必要です。
まずは聴覚テストをやってみよう!
普段生活していて、自分の聴力が低下していることには意外と気付けないものです。 現在の聴力を知りたい方はパナソニックが行っている聴覚テストを受けてみてください。
筆者は、10代の頃からまったく聴覚保護することなく、大音量で音楽を聴いたり、ライブハウスのような空間に長時間いることが多かったので、実年齢よりも1ランク下の結果になってしまっていました。
まずは自分の聴覚の状態を把握して、音楽人としての寿命を延ばす為にも、早いうちからしっかり耳のケアするように心がけておきましょう。
1. 耳栓をする
ミュージシャンの方はスタジオ練習やライブハウスでは耳栓を着用することをお勧めします。大音量のスピーカーシステムは鼓膜に深刻なダメージを与える可能性が最も高いので、そういった環境では常に耳栓を携帯しておき、いつでも装着できるようにしておきましょう。
大音量のコンサート会場では105〜110dBのレベルに達する可能性があります。これは、わずか5分間聴いているだけで聴覚障害を引き起こす可能性があるレベルです。
音楽はちゃんと楽しみたいと、定期的にコンサートのような騒々しい環境に足を運ぶのであれば、カスタム成形された耳栓を試してみましょう。 高品質な耳栓であれば、音質はそのままで音量だけを下げてくれるように設計されており、耳を保護しつつ、いつもと同じ音で音楽を楽しむことができます。
2. 音楽は60%以下のボリュームで聴く
耳に優しいリスニング環境として、音量がデバイスの60%を超えないようにし、60分に1回は必ず休憩をとるようにしましょう。世界保健機関によると、世界中の10億人の若者が、想定よりも大きな音量によるリスニングにより難聴のリスクにさらされている可能性があると警告しています。
スマホのような小さなデジタルオーディオデバイスからでも、大きな音を出すことができるようになっている為、12〜35歳の人々のほぼ半数が、個人用オーディオデバイスからの危険レベルの音量にさらされていると言われています。
特に周りが騒がしいような場所だと、つい気付かないうちに音量を上げてしまいがちなので、デバイス内で「最大音量の制限」設定を行っておくことをおすすめします。
3. 耳の疲労に気付く
耳は、体の他の部分と比べると疲労に気付きにくいとされています。もちろん、他の部位と同じように休むことなく使い続けると疲れが溜まり、音を正しく認知することが難しくなってしまいます。
DTM等を使用して音楽制作をしているとき、長時間のミックス作業を終えて、最高のバランスに仕上がったと思い、次の日に確認してみると思ったよりも高音がきつかったり、低音が出過ぎていた、という経験がよくあるかと思います。これは耳にリミッターがかかり、音を正しく認知できていない状態といえます。
耳が疲れていると、音質バランスについて客観的な判断を下す能力が低下してしまうので、音楽を作る時には定期的な休息が必要になります。
4. 耳を休ませる
ミュージシャンであれば長時間にわたる音楽制作や演奏、高音量の音楽鑑賞が多くなりがちなので、聴覚疲労を引き起こす可能性が一般の人よりも高くなります。定期的に耳を休息させることで、耳の疲れを軽減し、感度を回復させることができます。
耳を休ませるには、単純に静かな場所で過ごすことが最も効果的な方法です。自然の中や図書館など、静かな環境でリラックスしましょう。もしくは、普段の生活の中でも、耳栓を使うことでほぼ無音状態にすることができるので休息効果が得られます。
たまに音をシャットアウトすることは、アーティストやミュージシャンにとって創造的なインスピレーションを得るためにも必要です。常にBGMを流していたいかもしれませんが、無音にすることで集中力が向上し、音楽制作や演奏においてより精密な作業が出来るようになります。
5. 低い音量レベルでも十分
人は大きい音ほど「良い音」だと錯覚することもあり、つい大音量で制作しがちですが、制作作業をするときには、スピーカーやヘッドホンの音量をできるだけ下げて作業することをおすすめします。これにより耳を保護するだけではなく、トラック全体のミックス品質を改善するのにも役立ちます。
小さな音量でもトラックが素晴らしく聴こえる場合は、正しくミキシングされているということになり、大音量で再生するとサウンドがさらに良くなります。
85dBでミックスをモニタリングすることは、「バランス」と「パワー」の最適な数値として認められていますが、自宅スタジオのような環境でこの数値に固執する必要はありません。
まとめ
ミュージシャンにとって、聴覚の保護は最も大切にするべきことの一つです。活動上、どうしてもライブハウスや音楽スタジオで爆音にさらされる機会が多くなりますが、しっかりと耳を保護することで聴力低下といった様々なリスクの可能性を減らすことができます。
聴覚は一度失うと回復することが難しいので、早い段階からしっかりと保護する癖をつけておくことがポイントです。今回の記事内容を参考に、自分にあった方法で耳を保護しましょう。
以上、「【爆音から耳を守る!】ミュージシャンが知っておくべき5つの聴覚保護マニュアル」でした。
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