プロギタリストによるノイズ解消法:演奏時に気を付けているの7つの対策
ギターアンプから「ジジジ・・・」といったノイズ。嫌ですよね。演奏中は気にならないけど、曲間や休符時にノイズだけが鳴り響いていると、気になる人も多いかと思います。
特にディストーションのような歪みエフェクターを使用していると、必要なノイズなのか、不要なノイズなのかを判断するのも難しくなります。不要なノイズを最小限に抑えることで、よりクリアでパワフルなギタートーンを実現することができます。
ノイズの発生原因はさまざまあり、ノイズ対策の方法もいくつかあります。そこで、今回はアンプを使う時に気を付けているの5つの対策についてご紹介します。
ノイズの原因を知る
対策を施す前に、まずはノイズの原因を特定することが重要となります。ギターアンプのノイズは、さまざまな要素によって引き起こされますが、一般的なノイズの原因は以下の通りです。
電源ノイズ
電源ノイズは、ギターアンプに供給される電源回路からのノイズや干渉が原因で発生します。これは、電力供給の不安定さや他の電子機器からの干渉によって引き起こされることがあります。
電源ノイズの一種となるハムノイズは、電源回路のグラウンドループや近くの電力線からの誘導による、交流電源からの周波数の低いノイズです。一般的なハムノイズの周波数は50Hzまたは60Hzであり、これは電力供給の周波数に対応しています。
ケーブルの問題
ギターアンプのノイズの原因として、ケーブルが関係しているケースが多いです。
ケーブルの外皮が破損している場合や内部の導体が断線しているような劣化したケーブルを使用すると、ノイズの発生源となります。特に長期間使用された古いケーブルは、劣化が進んでいることがあるので注意が必要です。
同じく、アンプに接続するプラグ部分が劣化していることで、接触不良が起こり、ノイズやクリック音の原因となります。
エフェクターの問題
足元のエフェクターがノイズの原因となっている場合も多いです。電源や接続の順番、パッチケーブルをチェックし、ボリュームペダルのようなそもそもノイズが発生しやすいエフェクターもあります。
ケーブルと同じように、長い期間使用されたエフェクターは、内部的に劣化が進んでいることがあるので注意が必要です。
ギターとアンプを直アンで繋いでみて、ノイズが鳴らなかった場合にはエフェクター部分が原因である可能性が高いです。
グラウンドループ
グラウンドループは、異なる電子機器やコンポーネント間でのグラウンドポテンシャルの違いによって引き起こされる現象です。
微小な電位差がアンプ回路に混入し、ブズノイズ(高周波のジージーとしたノイズ)として聞こえることがあります。特にデジタル機器や高いゲイン設置のときに発生しやすいです。
電磁的干渉
電磁的干渉は、電子機器や通信システムにおいて、周囲の電磁波が不要な信号やノイズとして影響を与える現象です。
電磁的干渉の主な発生源は、通信機器、テレビ等の家電、電力線、スマートホン等があり、これらの発生源から放射される電磁波は、周囲の電子機器やケーブルに誘導されることで干渉を引き起こします。
デジタル機器が増えた現代では、ノイズの原因として一般的です。
7つのノイズ対策
ここからは、実際に自分がスタジオやライブハウスでギターを演奏している時に、気を付けているいくつかのことをご紹介します。
1. 電子機器を近くに置かない
ギターの音というのは弦の振動をピックアップと呼ばれる機器で電気信号に変換してアンプから出力されています。このピックアップは弦だけの信号をキャッチするわけではなく、ギター本体以外の微量の電気信号もキャッチしてしまうので、アンプ周辺に電子機器が無いか確認しましょう。
- スマホ
- ノートパソコン
- エアコン
- 扇風機
- 電気ストーブ
これらが原因でアンプからノイズが発生していることがあります。
ちなみにピックアップだけじゃなく、シールドやアンプ本体も外部の電気信号の影響を受けるので、アンプの上にスマホやノートPCを置くのはあまりよくないです。
2. 電源の品質を確保する
安定した電力供給はノイズを軽減する上でとても大切なことです。安定した電源タップや品質の高いケーブルを使用することで、電源ノイズを減らすことができます。
エフェクターを使っている場合は、エフェクターに電力を供給するパワーサプライを高品質なものに交換することで、よりクリアな電源を供給することができるようになるので、同じようにノイズを低減させる効果が期待できます。
3. 低品質なシールドを使わない
ギターシールドもノイズの原因となるので、低品質なギターシールドや長年使用して劣化してしまったシールドを使っているとノイズが発生しやすくなります。シールドも弦と同じように「消耗品」なので、音質劣化やノイズが目立つようになってきたら交換するようにしましょう。
また、必要以上に長すぎるシールドを使っているとハイ落ちやノイズを拾ってしまう原因になるので、不便にならない程度に、出来るだけ短いシールドにすることでノイズ対策に繋がります。
新しいシールドを買うときは、もちろん高級な製品ほど良質で安心感はありますが、低価格で高品質な製品を提供している信頼あるメーカーもたくさんあるので、調べてから購入することをおすすめします。
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4. エフェクターをチェックする
エフェクター類がノイズの原因となっている場合もよくあります。電源や接続の順番、パッチケーブル、その他にも、ボリュームペダルのようなそもそもノイズが発生しやすいとされているエフェクターもあります。
エフェクターの中からノイズの原因を特定する方法としては、一つ一つ繋いでみて確認するという方法が確実ですが、たくさんエフェクターを繋いでいる場合は、原因を特定するのに時間がかかります。
最初にギターとアンプを直アンで繋いでみて、ノイズが鳴らなかった場合にはエフェクターをチェックしてみましょう。
5. グランドループに気を付ける
グランドループが原因でノイズが発生することがあります。グランドループとは、配線がループ状になっている状態のことを指し、この現象は信号回路や電源でも同じくトラブルの原因となります。
グランドループの問題を解決するためには、不要な回路を遮断することが大切で、一般的にはDIボックスの導入、電源の統一などで解消できることが多いです。また、異なる電源から電力を取っている場合は、グランドループを解消するためにアイソレーターやノイズフィルターを使用すると効果的です。
色んな要因があるので、すべての現象に対処するのは難しいですが、ノイズをもらわないように配置や接続方法を変えてみたりするのが基本の対処方法です。
6. 立ち位置を変える
楽器の位置や立ち位置を変えるだけでノイズがピタっと止まることもあります。アンプの方を向いたり近づきすぎると、アンプから出た音を再びピックアップが拾ってしまいノイズ増幅やハウリングの原因にもなります。
本人が動けない場合は、ギターアンプの向きや電子機器の配置を変えることで、ノイズの影響を最小限にすることができます。試しに立ち位置や機材配置を変えながら、ノイズの発生が最も少ないポイントを見つけてみてください。
ただし、環境や演奏状況によっては、ある程度は妥協せざるを得ない場合も多々あるので、ギターのみのノイズを過剰に気にするよりも、バンド全体で最適になるようなポジションを探してみましょう。
7. ノイズゲートの導入
アンプやエフェクターで激しくドライブさせると、どうしてもノイズが大きくなってしまうのは仕方ありません。そういった場合に役に立つのが"ノイズゲート"や"ノイズサプレッサー"と呼ばれるエフェクターです。
ハードロックやメタルのような激しい歪みを扱うジャンルでよく使用されており、動作原理的にはノイズ自体を除去しているのではなく、一定のレベルを下回った電気信号をすべて除去してくれるエフェクターです。→ノイズゲートの正しい使い方と設定方法
ノイズゲートより手前のノイズを根こそぎカットしてくれるので非常に便利なのですが、設定を間違えるとサスティーンを消してしまったり、クリーントーンに干渉してしまったりするので気を付けましょう。
まとめ
ギター演奏時の7つのノイズ対策は以下の通りです。
- 電子機器を近くに置かない
- 電源の品質を確保する
- 低品質なシールドを使わない
- エフェクターをチェックする
- グランドループに気を付ける
- 立ち位置を変える
- ノイズゲートの導入
電子機器である以上ノイズを完全の除去するのは難しいですが、そもそもノイズを過剰に気にしすぎないというのも大切です。
バンドをやっている時はノイズは「敵」だと思い込んでいましたが、違う音楽ジャンル、特にDTMで制作するようなデジタルミュージックは音質が綺麗過ぎるのでノイズを付加して汚すという行為が頻繁に行われます。
「ジジジ・・・」というヴァイナルノイズや「サー」というホワイトノイズまで、あえてトラックに加えることで温かみのあるアナログ感を付与する効果があります。
もちろんギターにおいて不要なノイズ対策をすることは重要であることには間違いないですが、ノイズはアナログ特有の"味"と思えるだけでも、そこまで神経質にならなくて済みます。
以上、「プロギタリストによるノイズ解消法:演奏時に気を付けているの7つの対策」でした。