カノン進行とは?【ヒットソングを生み出す魔法のコード進行】
カノン進行は「ヨハン・パッヘルベル」によるDメジャー楽曲である「Canon」から来ています。
最近だと2006年にアップロードされた「Canon Rock」という韓国人ギタリストによるロックアレンジバージョンの動画を観たことある人も多いかと思います。
ポピュラー音楽でもよく使われるこのコード進行は「使うと名曲になる」と言われるほど、世界中の多くのヒットソングに使われていることで有名です。
有名どころでいうと「MONGOL 800 - 小さな恋のうた」「スピッツ - チェリー」「The Beatles - Let It Be」等、最近だと「Official髭男dism - Pretender」にも使用されています。
I – V – VI – III – IV – I – IV – V
コード進行は原曲通りのDメジャーキーだと「D-A-Bm-F#m-G-D-G-A」となります。
カノンは最初のメロディーの始まりから、ハーモニー関係にある連続するメロディーラインを追加し、コード進行を使用して各メロディーラインを輪唱するこで、非常に美しい音楽効果を与える音楽形式の楽曲でした。
なぜ綺麗に聴こえるのか?
綺麗に聴こえる理由についてはバッハ、ベートーヴェンと共に、ドイツ音楽における三大Bとも称されるブラームスはこう言っています。
カノンの低音部分にあたるルート音の動きは、4度下行進行(Ⅰ– V、VI – III、IV – I)が使われており、次の音への非常に強い結びつきがある関係の音とされています。
さらに進行の最後の部分であるIV-Ⅴの流れから、頭のⅠに戻るケーデンスの動き「Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ」となり、楽曲全体にハーモニーに効果的な要素が多く含まれていることで、綺麗に聴こえる響きになっています。
カノンは音楽ジャンルの一つ
Canonは楽曲名として使われていますが、複数の声部が同じ旋律を異なるポイントから開始して演奏する様式の曲全般を指す言葉です。
現代のポリフォニーの一つの典型的な形で、一般に輪唱と言われることが多いですが、輪唱は「かえるのうた」のような全く同じ旋律を追唱するのに対し、カノンは異なる音で始まるものが含まれるのが特徴。
その他にもリズムが2倍になったり、上下が逆になったり、進行を逆にした(反行カノン、逆行カノン)のような特殊なパターンも含まれています。
今回のパッヘルベルのカノンは、3つの声部が全く同じ旋律を追唱し、それに伴奏が付けられたものです。
カノンの歴史
このカノンの技法はルネサンス時代の合唱曲において頻繁に使用されていました。
メインとなるメロディー以外にも自由なメロディーが許されているフーガと、厳密にメロディーを繰り返すカノンがあり、その二つは住み分けされています。
18世紀以降には、単一のメロディー要素をもとに複数のパートが和声を構築するホモフォニーの音楽が主流になったため、このような技法が使われることは少なくなるが、曲の一部として取り入れられることはありました。
モーツァルトの交響曲41番やベートーヴェンの交響曲第9番の終楽章の一部では、カノンが効果的に取り入れられた部分があったり、フランクのヴァイオリンソナタの最終楽章ではカノンのテクニックが完全に使われています。
20世紀に入り、現在の12音階の音楽が発展して対位法が使われることが多くなると、再びカノンの技法が注目を集めることとなり、これまでに様々な名曲を生み出すこととなります。
まとめ
今回はヒットソングを生み出す魔法のコード進行「カノン進行」について深堀りしました。
作曲された経緯については不明とされていますが、300年以上もの間多くの人々に感動を与え続けてきた黄金級のコード進行です。
ミュージシャンの方は大切な節目やここぞという場面で使ってみてはいかがでしょうか。
以上、「カノン進行とは?【ヒットソングを生み出す魔法のコード進行】」でした。
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