ギターエフェクターの正しいつなぎ方
ギタリストが使用するエフェクターペダルは様々な種類がある為、実際にエフェクターを使用してシグナルチェイン(配置順番)を設定するときに混乱する可能性があります。
ディストーションやディレイ等の色んな効果のあるエフェクトがあるので、正しく繋がないと効果が上手く発揮されなかったり、場合によってはサウンドが劣化してしまうこともあります。
とはいえ、繋ぎ方次第で異なる音響結果が得られることもあるため、求めているサウンドと違う場合を除いては、基本的にはやってはいけない繋ぎ方というのはありません。
今回は、基本的なシグナルチェインのセオリーに沿った正しい繋ぎ方についてご紹介します。
エフェクターをギターとアンプにつなぐ
ギター用エフェクターを正しく使用するためには、アンプとギターの両方に接続する必要があります。
エフェクターはギターとアンプの間にセットすることで、ギターからの音声信号がアンプから出力される前にサウンド変化させ、エフェクト効果を最大限に発揮することができます。
エフェクターをギターとアンプに接続するには、通常は2本のシールドケーブルを使い、エフェクターを複数個繋げるときにはパッチケーブルと呼ばれる短いケーブルを使用します。
手順としては以下の通りです。
- アンプの電源が切れていることを確認してください。
- ギターシールドをギターに接続します。
- 反対側をペダルの「入力」側に接続します。
- 2本目のギターシールドでペダルの「出力」側に接続します。
- 次に、反対側をアンプの「入力」に接続します。
一つのエフェクターを繋ぐ場合はこれでOKですが、複数のエフェクターを繋いだり、効果の違いエフェクターを繋ぐ場合には、繋ぐ順番に気を付ける必要があります。
複数のエフェクターをつなげる
複数のエフェクターをアンプやギターに接続する場合には、パッチケーブルを使ってエフェクターとエフェクターを繋ぎ合わせた「エフェクトチェーン」を作成する必要があります。
エフェクト同士を接続するときは15~30cmほどの短いパッチケーブルを使用することで、配線をスッキリとさせて、音の劣化も最小限に抑えることができます。
一つ目のエフェクターには通常のシールドを使ってギターに接続し、エフェクトチェーンの最後のエフェクターからアンプに接続します。
エフェクターの正しいつなぎ順
さっそくですが、以下が一般的なエフェクターボードの最も一般的なエフェクトの配置の順番です。
- ダイナミクス(コンプレッサー)、フィルター(wah)、ピッチシフター、ボリュームペダルは、通常、シグナルチェインの最初に配置されます。
- 次に、オーバードライブ/ディストーションペダルなどの歪み系のエフェクターを配置します。
- コーラス、フランジャー、フェイザーなどのモジュレーション系のエフェクターを配置します。
- ディレイやリバーブなどの空間系エフェクターはシグナルチェインの最後に配置することで、最も効果を発揮します。
- ボリュームペダルは位置によって目的とする効果が変化するので、使用エフェクトを考慮して効果的な場所に配置します。
ギター→ダイナミクス系→歪み系→モジュレーション系→空間系→アンプの順に繋ぐことで、それぞれのエフェクト効果を最も効果的に発揮させることができます。
ボリュームペダルは目的によって配置場所を変える必要があります。
ボリュームペダルを繋ぐ場所 : 例えばシグナルチェーンの先頭近くに配置することでエフェクトやアンプに送られる音声信号量をコントロールします。例えばオーバードライブを使用している場合に音量を少し下げることでギタートーンをクリーンにしたり、激しくドライブさせたりといったような使い方ができます。
エフェクトループ(センドリターン)につなぐ
【初心者向け】ギターアンプの基本的なシールドの繋ぎ方でも解説しましたが、多くのアンプにはセンドリターン端子が備わっており、プリアンプの後ろに繋いだ方が良いいくつかのエフェクト(リバーブ、ディレイ等)を繋ぐ際にはアンプの後ろ側にある「FX Loop Send Return」に接続することで、より効果を発揮します。
この繋ぎ方はディストーションペダルではなくアンプからオーバードライブやディストーションをかける場合に特に役立ちます。
アンプで歪みを作るのに足元のボードに空間系を組み込んでしまうと、ディレイとリバーブの雰囲気をアンプのオーバードライブとディストーションに送り込むことになってしまうので、濁って色褪せたサウンドになってしまう可能性があります。
その他にもモジュレーション系をアンプのエフェクトループに配置することでも、通常とは異なるサウンドを作ることができるので試してみてください。
エフェクトループはプリアンプを含めた音のシグナルを完成させた物の後ろにエフェクト効果を加えることができるので、プリ前に繋ぐよりも綺麗にエフェクトが作用します。
直列と並列
エフェクトループには、直列と並列の2種類があります。
直列
直列のエフェクトループはアンプのセンドから送られる信号は、プリアンプセクションからのすべての信号をリターン入力からパワーアンプセクションを介して送信されます。
並列
並列の場合、アンプのパワーアンプセクションに送られる信号のうち、通常通りプリセクションから通過する信号と、パラレルループに送られる信号の両方をコントロールできます。
このタイプのエフェクトループには、通常、エフェクトループの信号量をダイヤルできるエフェクトレベルコントロールが備わっているので、ドライ音とウェット音のミックス量を調節可能です。
パラレルエフェクトループ内に配置する場合は、エフェクトのMIXコントロールを100%に設定することでセンドリターンに繋いだエフェクト効果をそのまま使用できます。
センドリターンにつないだ方がいいエフェクター
「センドリターンのことは大体わかったけど、実際にどういったエフェクトを繋ぐべきなの?」という方の為に、一般的にセンドリターンに繋がれることが多いエフェクターをいくつかご紹介します。
センドリターンは、アンプの中のプリアンプとパワーアンプの間にエフェクターなどの機器をつなぐための回路です。
わかりやすく言うと、アンプの歪みやEQつまみの後に手持ちのエフェクターを繋ぐ為の端子なので、センドリターンの仕組みとエフェクトの作用を理解することで、どういったエフェクトをセンドリターンに送るべきかが分かります。
空間系エフェクター(ディレイ、リバーブ等)
先ほども紹介しましたが、ディレイやリバーブのような空間系は歪みの後ろに繋いだ方が効果的なので、アンプのゲインつまみを使う場合には、ほとんどはセンドリターンに接続することになります。
アンプ自体にリバーブが付いていることも多いので、そちらを使用するというのもありです。
モジュレーション系(コーラス、トレモロ等)
モジュレーションは音に揺らぎを加えるタイプのエフェクトなので、これもなるべくシグナルチェインの後ろのほうに繋いだ方が効果的なので、センドリターンを利用する方が多いです。
EQ(イコライザー)
アンプ自体にもEQつまみは備わっていますが、10バンドEQ等でさらに細かく最終的な音質を調節したい場合にはセンドリターンに繋ぎます。
ディストーションで歪ませると倍音が膨らむので、それを整える目的で使用したりします。
コンプレッサー
ダイナミクス量をコントロールする目的ではなく、最終的に音を「均す(ならす)」ことを目的としてセンドリターンを使う場面もあります。
イメージとしてはマスターコンプのように音質をなじませるといったようなイメージ。
ボリュームペダル
エフェクトのかかった最終的な出音を足元でコントロールする為にボリュームペダルを繋ぐこともあります。
B'zの松本孝弘さんもセンドリターンにボリュームペダルを繋いで最終的な出音をコントロールしてます。
まとめ
ギターエフェクターの正しいつな方について解説しました。
ある程度のセオリーはあるものの、これらの繋ぎ順番は必ず守らなければならないルールというわけではないので、求めているサウンドによっては順番の前後が入れ替わることもありえます。
例えばEQで音質を整えたあとにコンプで圧縮するのか、コンプで圧縮した後にEQで整えるのかでは、音質が変化するので、実験的に色々な繋ぎ方を試してみるのもサウンドメイクの楽しみの一つです。
以上、「ギターエフェクターの正しいつな方」でした。