エレキベースの音作り | 正しいサウンドメイクに必要な基礎知識
エレキベースは楽曲全体を支える重要な役割を担っているパートです。制作やバンドアンサンブルにおいて、ベーストーンを改善することでワンランク上の安定感のあるサウンドを入手することができます。
今回のエレキベース音作りの内容では、より優れた低音を得るための基礎的な知識と手順をご紹介します。
エレキベースの「良い音」とは?
結論から言うと「良い音」に答えはありません。すべてはベーシストの個人的な好みと楽曲のニーズに関係しています。
とはいえ、エレキベースの長い歴史の中で愛され続け、多くの音楽ファンが心地よいと感じるベーストーンはたくさん存在しています。
例えばファンクのミッドヘビーなワウや、メタルの包み込むような重厚なローエンド、途切れるファズ、レゲエのパンチと深さなど、ジャンルに合わせた最適なベースサウンドにサウンドメイクする方法は無数にあります。
これらの楽曲ニーズに合わせたトーンを再現する基礎的な方法についてお話していきます。
欲しい音を明確にする
まずはベーストーンに関して、目的としている特定のサウンドを念頭に置く必要があります。
鳴らしたいサウンドが明確にない場合は、ランダムに機材を購入することになり、その機材で鳴らせる音の範囲で模索することになります。
なので、もしこれからベースを始めようと考えている方は、機材を購入する前に憧れのベーシストや好きな楽曲を探して、サウンドメイクに関して下調べすることをおすすめします。
音作りを自分の理想に近づける為の最も近道は、目的のサウンドの為に必要な機材を揃えることです。
ベース本体によるサウンドの違い
ベースの音作りにとって、エレキベース本体が重要なことはいうまでもありません。ベースの木材、弦、ピックアップ等の様々なパーツが最終的な出音に大きく影響します。
多くのベーシストが低音をカスタマイズする最も一般的な方法として、ベースのタイプ、弦の種類、そしてピックアップの配置です。
ベースのタイプ
ベースのタイプは大きく分けて
- プレシジョンベース
- ジャズベース
の二つに分類されます。
プレシジョンベース
人気のあるプレシジョンベースタイプは、1951年に生まれた世界で始めてのエレキベースです。フレットのないウッドベースに対し、フレットを打つことにより正確な音程での演奏が容易になったことからプレシジョン(正確な)ベースと名づけられました。
ピックアップがひとつで、ヴォリューム、トーンもひとつずつというシンプルな構成で、ローエンドを中心とした厚みのあるパンチの効いたサウンドが特徴的です。
ジャズベース
一方でジャズベースは1960年にエレキベースの市場が拡大したことを受け、フェンダー社のエレキベースの上級モデルとして発表されました。
各ピックアップに対応したヴォリュームがふたつ、そしてトーンがひとつという構成になっています。ふたつのピックアップの音量バランスを各ヴォリューム・ツマミで調節することで音のバリーションが生まれます。
2つのピックアップを使用するとことで、幅広いさまざまなトーンを引き出すことができ、あらゆるジャンルに対応できるオールラウンドベースとして人気です。
弦の種類
エレキベースに使用する弦の種類を変更することで、全体的な音色に影響を与えます。
基本的にはフラットワウンド弦とラウンドワウンド弦のどちらかを選択します。
フラットワウンド弦
フラットワウンド弦を使用すると、低音がより厚く丸みのあるサウンドになります。
ジャズ、ブルース、R&Bのような音楽ジャンルとの相性が良いです。
ラウンドワインド弦
一方でラウンドワインド弦は明るいトーンが特徴的です。高音域も出力されることでエッジ感のある音抜けの良いサウンドになる傾向があります。
ラウンドワインドはロックやポップといったい音楽ジャンルに最適です。
どちらを選ぶかはベーシストの演奏スタイルによって変化します。
ピックアップの配置
ピックアップは弦からの振動を電気情報に変換するという重要な役割があります。ベース本体とアンプの間を繋ぐ為、ベースの全体的なトーンに最も影響するとも言えます。
ピックアップ自体の性能も重要ですが、ピックアップの配置場所も大きくサウンドに影響します。
ネック側に配置されたピックアップは、より深くブーミーなサウンドになり、ブリッジ側のピックアップはエッジのある硬いサウンドになります。
ほとんどのジャズベースは両方のピックアップの音をミックスすることができます。
ベースアンプ
続いてベースからの音声信号を増幅、出力する為のベースアンプについて見ていきましょう。
ベースアンプを選択する上でまず重要なのは、どういった環境でプレイするかということです。
主に自宅や小さなスタジオで演奏する場合や、移動や持ち運びの利便性も考えるのならコンボアンプが最適です。一方でライブハウスや大規模なフェスでプレイする人は、アンプキャブとヘッドを備えたスタックタイプも必要になってきます。
そこからさらに目的のサウンドに合わせて真空管アンプとトランジスタ(ソリッドステート)のどちらを使用するかを選択します。
真空管アンプ
真空管アンプは心地よい歪みと温かみのある滑らかなサウンドが特徴です。
真空管アンプでは信号増幅時に歪みによる倍音成分が多く付加されることが挙げられます。音のコシや粘りのあるサウンドになります。
トランジスタアンプ
ソリッドステートアンプは真空管タイプよりクリーンに鳴ります。
信号の増幅にトランジスタという電子部品を使っているので、真空管アンプのようなメンテナンスは必要無く、故障しない限り半永久的に使い続けることができます。
調整できる周波数帯域も幅広く、サウンドメイクの幅も広いのが特徴です。
エフェクター
次にエレキベースで使用する一般的な3つのエフェクトをいくつかご紹介します。
エレキベース本体とアンプの間に挟むことで、さらにサウンドメイクの幅を広げることができます。
EQ(イコライザー)
EQは周波数帯域をコントロールし、必要なトーンに近づけるための便利なツールです。
ベースにとって不要な周波数をカットしたり、クリアで明るいサウンドが欲しい場合には高音域を上げたりすることもできます。
多くのアンプにはオンボードEQが付属しているので、周波数をより細かくコントロールしたい場合には、グラフィックEQ等の導入をおすすめします。
コンプレッサー
ベースにとってコンプレッサーは重要な要素の一つです。
ベースは楽器全体の中でも安定した音量感が必要な楽器なので、圧縮によってダイナミクス(音の大小)をコントロールして、ベースをミックス内にうまく収まるのに役立ちます。
もう一つはトーンコントロールの目的で使用することもあります。コンプをかけることでアタック感や音の厚みをコントロールして目的の音色に近づけます。
超低音域は過度な圧縮を引き起こす原因にもなり得るので、コンプレッションペダルを探している場合はハイパスフィルターが付いているエフェクターをおすすめします。
オーバードライブ、ディストーション、ファズ
ファズ、ディストーション、オーバードライブは信号を歪ませる為に必要です。
倍音を付与することで、太く攻撃的なサウンドになるので、多くのベーシスト、ギタリストが使用しています。
オーバードライブは微量な歪みでコシがあり、ディストーションはより攻撃的、ファズは多くの歪みをベーストーンに加えることができます。
まとめ
エレキベースの基礎的な音作りについてお話しました。
冒頭にもいいましたが、ベースサウンドは楽曲を支える非常に重要なパートです。
今回の内容を参考にトーンを変更することで、よりジャンルに合った最適な音作りが手に入るかと思います。
以上、「エレキベースの音作り | 正しいサウンドメイクに必要な基礎知識」でした。