まずは1曲作ってみよう!10ステップで分かる簡単な作曲のやり方
作曲のスタート地点として、まずは「曲を作ってみたい」という思いを形にする為に、まずはシンプルな短い曲を作ってみましょう。ここでは作曲についての難しい内容は極力抜きにして、曲作りに必要な最低限の知識や手順を解説していきます。
1. 歌を作る
まず、今回は歌(ボーカルメロディ)のあるポップス・ロックなどのポピュラー音楽を作っていきます。その上で、「歌」を作るにあたって最も大切なことはメロディーを歌いながら作るという点です。
鼻歌でメロディーを作る
ボーカル曲の主役は文字通り「ボーカル=歌」であり、歌メロディーを作ることが作曲の中心的な作業となります。最初は鼻唄でもいいので、常に歌いながらメロディーを作ることで、歌いやすいメロディーになっているのかを確認しながら作曲を進めることができます。
つまり、歌のメロディーには実際に歌っていて気持ち良いかどうかが重要になります。この点が歌以外の楽器で奏でられるメロディーとの大きな違いになります。これから作曲を進めていくにあたって、まず第一にメロディーを歌いながら作曲を進めていくことを意識するようにしてみてください。
2. 「弾き語り」スタイルでの作曲
作曲にはいろいろなやり方がありますが、伴奏を鳴らしながら鼻歌でメロディーを奏でるという、楽器を使った弾き語り形式による作曲を実践してみます。
楽器(ピアノまたはギター)でコード(和音)を演奏し、それをいくつか切り替えながらコード進行を作り、それを伴奏としてメロディーを歌いながら考えていく作曲方法です。
通常、ポップスで使われるコードの場合は、3~5音が重なってできており「C」「Am」などのコードネームで表されます。作曲の手順としては
- 楽器でコードを演奏する
- コードの展開を作る
- メロディーを歌って考えていく
という手順によって、作曲を進めていくことができます。では、作曲を進めるにあたって、まずは簡単なコードをいくつか覚えていきましょう。
伴奏楽器には何を選ぶべきか?
楽器経験がなく、これから始める場合は「ピアノを使った作曲」をおすすめします。理由は以下の通りです。
- 鍵盤を押すだけで簡単に音が出せる
- 他の楽器と比べて、コードとメロディーを同時に鳴らすのが簡単
- PCに繋ぐMIDIキーボードであれば、安価ですぐに入手できる
- ヘッドホンを繋ぐことで周囲に音を漏らさずに作曲ができるる(電子系の場合)
これらの理由から、ピアノは作曲の入門に適していると言えます。
3. 完成形をイメージする
作曲中は、常に曲の完成形をイメージしながら進めることが重要となります。
一般的な楽曲であれば、ドラムやベースなどの様々な音が複雑に混ざり合っているサウンドを連想できますが、今回の場合は「弾き語りスタイル」のような伴奏+歌で完成とします。
弾き語りの状態で完成させた曲は、あとで他の楽器を加えたりして、DTMなどで編曲することができます。
4. コードを使って演奏する
実際に使用するコードについてなのですが、今回使用するコードは、
コードネーム | 構成音 | 度数 |
C | ド・ミ・ソ | Ⅰ |
Dm | レ・ファ・ラ | Ⅱ |
Em | ミ・ソ・シ | Ⅲ |
F | ファ・ラ・ド | Ⅳ |
G | ソ・シ・レ | Ⅴ |
Am | ラ・ド・ミ | Ⅵ |
の6つのコードのみを使用します。楽器の経験が無い場合には、まずこれら6つのコードを習得する必要がありますが、コードフォームもそこまで複雑ではないため、少しの練習で弾けるようになるはずです。
5. 歌について
続いて歌ですが、ここでは音楽の授業で習った「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7音を使用します。具体的には、作曲の最中に鼻歌で歌いながら「ドレミー」 「ソラソミー」といった具合に、音階を作りながら歌ってみましょう。
ピアノを使用している場合は、Cコードを鳴らしながら白い鍵盤を適当に鳴らすだけでも、音を外すことなく作曲ができます。
6. 楽器でCコードを鳴らしてみよう
ここからは、具体的な作曲の手順を解説します。まず、手順の1つ目として、先ほど紹介した6つのコードを参考に、まずは「C」のコードを鳴らしてみてください。この「C」の響きが、これから作る曲の土台となります。※楽器が手元に無い場合はこちらのバーチャルピアノで鳴らしてみましょう。
次に、上記Cコードを伴奏に歌を乗せるような感覚で、歌のメロディを自由に歌って考えます。このときには、先ほどの「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音階を活用します。色んなリズムパターンや組み合わせを試してみましょう。
7. コードをCから展開させる
冒頭で伴奏として弾いていた「C」のコードを、次に別のコードに切り替えます。ここでも使えるのは「C、Dm、Em、F、G、Am」の6つのコードで、既に「C」を使っているので、残りの5つが次のコードの選択肢となります。
2つ以上のコードを繋げることで「コード進行」が生まれて、より音楽的な流れを作ることができます。Cから繋げる場合は、
- C → G
- C → F
- C → Am
など、色々なパターンがあります。既に歌っているメロディーに最も合うと思うものをチョイスして、実際にコードを切り替えながら心地良い伴奏を探してみましょう。
※ここで注意すべきことはなるべく自然なメロディを目指すという点です。作曲の超初期のこの段階では細かいことは気にせず、とにかく心のままにメロディーを歌ってみてください。童謡のようなシンプルなメロディーでもOKです。
8. さらにコードをつなげてみる
2コードでも楽曲としては成立しますが、さらにコードを繋げていくことで、楽曲に幅を持たせることができるようになります。メロディーと一番心地良く調和するかということを重要視しながら、好みで好きなコードを選んでみましょう。
主によく使われるコード進行としては以下のものがあります。
- C→F→G→C
- C→G→Am→Em
- C→Am→F→G
- C→F→Am→G
- C→Dm→Em→F
これらのコード進行はあくまで基本的なもので、他にも様々なバリエーションが存在します。コードの順番やリズムを変えることで、全く異なる印象を与えることもできます。
コードを切り替えるタイミングについて
特定のコードから次のコードに切り替えるタイミングを変えることでも、楽曲の印象が大きく変化します。一般的には4拍(1小節)または8拍(2小節)、2拍(0.5小節)など色々なタイミングがあります。
例えば、8拍のように1つのコードを長めに鳴らす構成にすると、伴奏にはどっしりとした雰囲気が生まれ、バラードのような壮大さが生まれます。反対に2拍のようにコード移行のタイミングを短くすると、疾走感が生まれてロックな雰囲気に合います。
どのタイミングを選んでも曲として成立させることはできますが、ここでは初心者向けとして最も標準的な「4拍」でコードを切り替えるやり方をおすすめします。
9. メロディーを発展させる
次に、前述の手順によって切り替わったコードに合わせて、メロディーもさらに長く発展させてみましょう。同じく「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を活用しながら、心地良い雰囲気を探りつつ次なるメロディーを考えてみましょう。
音数が多すぎたり、リズムが複雑だったりすると、メロディーを追うのが難しくなったり、印象に残りにくくなるので、シンプルなメロディーになるように意識してみましょう。
→より印象的なメロディーを書くための7つのヒント
10. メロディーの音の役割
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7つの音には、一音目から七音目までの音の役割に応じて名前が付けられています。
①音目の「主音(トニック」は最も安定感のある音で、セクション終わりや楽曲の一番最後はこの音で締めくくることが多いです。
④音目の「下属音(サブドミナント)」は半音下の「中音(メディアント)」に強く引き付けられる傾向にあり、⑤音目の「属音(ドミナント)」に進みたくなる傾向もあります。
⑦音目の「導音(リーディングノート」は主音に強く進みたい特性のある音です。
これらは音の度数として表現されることもあり、このような音の特性を理解することで、より深いメロディー作成が可能になります。
実際の曲を使った例
ここからは実際に「きらきら星」をDAWのピアノロールを使って解説していきます。
このメロディーは①主音である「C」から出発し、⑤属音の「G」まで飛びます。5度音のドミナントはトニックの次に安定性があるので、メロディーの区切りや安定感を持たせたい場合によく使用されます。
その次に⑥下中音の「A」に上行しますが、下中音は安定した⑤属音に引き付けられる特性を持っているので、その次にまた「G」に戻ります。
他にも⑥下中音→⑦導音→①主音という流れもよく使われます。
3小節目の頭は④下属音の「F」から半音下の③中音である「E」に進み、そのあとは②「上主音」の「D」も不安定な音なので、安定の主音に解決しています。
→安定したメロディーを作る為の基礎知識【メジャースケール編】
まとめ
これで弾き語りスタイルによる短い曲を作ることができました。実際に曲作りを体験してみると、主に以下のようなことを感じたかと思います。
- メロディを自由に思い浮かべるのが難しい…
- コードをどうやって繋げていけばいいか迷ってしまう…
- 他にもいろいろなコードを使ってみたい…
- 1曲を通してメロディーやコードを展開させるのが難しい…
- もっと複雑な曲を作りたい…
本格的な一曲を作るにあたっても、基本的にやることはここまでの解説とほぼ同じです。そして、より長く展開があって聴きごたえのある曲を作るためには、上記で挙げた内容につながる以下の三点を主にこなせるようにしていく必要があります。
- より魅力的で柔軟なメロディーを自在に作れるようになること
- いろいろなコードを意図的に繋げていけるようになること
- 曲をAメロ、サビ等のセクションごとに緩急をつけて組み立てていけるようになること
これらはたくさん作曲を繰り返したり、既存の楽曲を聴くことで自然と養われていきます。まずは今回ご紹介した基礎的な内容を身につけて、慣れてきたら徐々に発展させていきましょう。
以上、「まずは1曲作ってみよう!10ステップで分かる簡単な作曲のやり方」でした。