【これで完璧!】自宅でも出来るアコースティックギターの録音方法を徹底解説
アコースティックギターのレコーディングでは、ギターのサウンドはもちろん、その場の空気感まで捉えたような、生々しいリアルなサウンドが求められます。
その為には、高価なマイクを複数本使って、防音設備の整ったスタジオが必要になるような気もしますが、しかし、高品質なサウンドを収音するのに、必ずしも大掛かりな機材が必要というわけではありません。
自分で録音する場合でも、マイクを数本とピックアップ、そして録音環境を整えるだけで、プロ顔負けのクオリティを実現できます。そこで今回は、実際にレコーディング現場で多用されている、いくつかのアコースティックギター録音方法をご紹介します。
録音する場所を決める
アコースティックギターのレコーディングでは、部屋の形や材質がサウンドに大きく影響するので、マイクを設置する前に、録音する場所の選び方が非常に重要となります。
音の反響に関しての基本的な考え方としては、家具が少なく、表面が固い空間(バスルームなど)は音が反射しやすく、広がりと響きのあるサウンドが得られます。一方で、家具が多く、柔らかい物が多い部屋(寝室など)は音を吸収しやすいため、タイトでまとまったサウンドになります。
どちらが良いかは一概には言えませんが、求める音によって最適な環境は異なります。とはいえ、音響に関して深く調べるよりも、自分の耳を頼りに最適な音がする場所を探す方が簡単かつ確実です。
プレイ環境を整える
プレイ環境を整えることで、良質なギターサウンドを録音することができ、曲の全体的な音質向上につながります。ここでのプレイ環境とは、ギターを演奏する部屋やスタジオの環境を指します。
この環境が良くないと、ノイズやエコー、共鳴などが発生し、ギターサウンドが不自然になってしまいます。具体的には、以下のような内容です。
- 音の反射を抑える
部屋にカーペットや布を敷くなど、音の反射を抑えることで、ノイズやエコーを軽減することができます。 - ギターアンプの位置を調整する
ギターアンプを部屋の壁に寄せたり、角に置くなど、アンプの位置を調整することで、部屋の共鳴を避けることができます。 - 環境音に注意する
周辺の騒音やエアコンの空調の音、PCの動作音など、余計な音がマイクに入らないように環境音に注意しましょう。
以上のようなことに注意して、プレイ環境を整えましょう。
ギタリストが演奏しやすい環境作り
ギタリストが最高の演奏をする為の環境を整えることも重要です。例えば、椅子を弾きやすい高さに合わせ、可能ならば肘置きが上下するタイプや、取り外しできるものを選び、ギターのスペースを確保します。
マイクスタンドを使う場合は、なるべくブーム型の製品を使用し、マイクが垂れ落ちないようにしっかりと固定します。
演奏前には袖のボタンやネックレス、指輪等のアクセサリー関係もしっかりと取り外し、録音に関係のない音を拾わないように注意します。
マイクの特性を知る
アコースティックギターの録音では、使用するマイク選びが非常に重要です。マイクの種類によって、捉えられる音質や特性が大きく変わるため、録音したいサウンドに合わせて適切なマイクを選択する必要があります。
※もしマイクの種類や特性について詳しく知りたい場合は、こちらの記事を合わせてご覧ください。→理想的な音質を手に入れる!最適なマイクを選ぶ為の完全ガイド
アコースティックギターの音は非常に繊細で、特に高音域の情報が多く含まれています。そのため、一般的にはダイナミックマイクよりも繊細かつ高音質で、細かい音まで拾ってくれる「コンデンサーマイク」がよく使用されます。しかし、マイク選びに決まったルールはありません。色々なマイクを試して、最適な組み合わせを見つけるのもアコースティックギター録音の楽しいところです。
コンデンサーマイクの中でも、ラージダイアフラムマイクは音の厚みを捉えるのに優れ、スモールダイアフラムマイクは繊細な表現や高音域を捉えるのに優れています。これらのマイクを組み合わせることで、より正確でバランスの取れたサウンドを目指します。
代表的な4つのマイク設置方法
1. 1本のマイクで録る
人が演奏する生のアコースティックギターは、広い音域と広いダイナミックレンジ(音量の幅)が特徴的な楽器で、さまざまな音量レベルと周波数応答を収音することになります。
この為、マイクを1本だけ使って収音するときにはコンデンサーマイクを使用するのが最適です。
マイクの設置方法
マイクの設置方法(マイキング)には様々なパターンがあり、マイクの特性を考慮しつつ最適なマイキングポジションを探しましょう。
シングルマイクの場合、最も一般的なのがネックとボディのつなぎ目周辺にマイクを置き、ピッキングポイントに向かってマイクを向けるポジションです。こうすることでピッキングニュアンスを拾いやすくなり、明るめのサウンドキャラクターになります。
マイクを本体の約30cm前方に配置し、ボディとネックの接合部に向けます。マイクをここに配置すると、ピッキングの手の邪魔にならなくなり、サウンドホールからの過度の濁ったローエンドを回避できます。
その他にも、部屋の環境がサウンドに大きな影響を与えるので注意しましょう。
例えば、平面で硬い反射面がたくさんある空間 (バスルームなど) では明るく空気感のある生々しいサウンドが得られますが、カーペット、ソファ、カーテンのある部屋では多くの反射が吸収され、ドライでパンチの効いたアコースティック トーンが得られます。
→アコースティックギターの録音時に注意すべき5つのこと
2. 2本のマイクを間隔を開けて設置(AB方式)
アコースティックギター録音の2つ目の方法は、間隔を置いて2本のマイクを配置する方法です。
2本のマイクを離して設置することで、ステレオ感のある広いサウンドをキャプチャすることができ、マイクの種類や設置方法を変えることで、様々な効果を得ることができます。
同じ距離感で左右に広げる
片方のマイクをブリッジとサウンドホールの間に置き、もう片方をフレットボードに向けます。ミキシング時にそれぞれのトラックを左右にパンニングして、音像の広いステレオ効果を実現します。
→アコースティックギターを上手にミックスする為の5つのヒント【DTM】
片方を離す
ダイナミックマイクをサウンドホールに出来るだけ近く、ボディと垂直向きにセットして、もう一つをコンデンサーマイクにしてダイナミックマイクの後ろ1.5メートルくらいに離してセットします。
こうすることで、ギター本体のダイナミックなサウンドと、部屋鳴りを含んだアンビエンスを分けて取得できます。
3. 2本のマイクをクロスさせて設置(XY方式)
この方法では同じマイクのペアを使用して、それぞれが拾う信号が等しくなるように、同じ距離感でマイクの先端がクロスするように配置します。
位相のトラブルを最小限に抑えるために、2本のマイクが等距離になるように、14フレット辺りの前面に配置しましょう。こうすることで左右の広がりがありつつ、センターの音像もハッキリしたサウンドを取得することができます。
マイク2本用意するのが難しい場合は、90°XY方式のステレオマイク搭載のハンディレコーダーも販売されているので、そちらを検討してみてはいかがでしょうか。
4. マイクとピックアップを混ぜる
エレアコタイプのようなピックアップが搭載されているギターの場合、ピックアップのサウンドとマイクのアンビエンスをブレンドすることで、2つの異なるトーンからそれぞれの良い部分のみをピックアップすることができます。
EQを使ったミキシングで2つのトーンを混ぜ合わせるので、録音段階ではEQを「フラット」にしておくことをおすすめします。マイク側は上記のどれかの方法を使用して、別のトラックにマイク信号を録音しましょう。
録音が完了したら、2つのトラックをパンニングしたり、EQを使って修正を加えるなどして、できるだけ互いに補完し合うようにすることで、より豊かなトーンを入手することができます。
まとめ
自宅でも出来るアコースティックギターの録音方法についてご紹介しました。録音環境、マイクの種類と設置方法、そしてギタリストにとって快適な演奏環境を整えることで、自宅でもプロ顔負けのサウンドを手に入れることが可能です。
それほど大規模な機材を必要とするわけでもないので、個人で活動しているミュージシャンの場合でも、簡単に実行することができものがほとんどです。ぜひ今回の記事を参考にしながら、自分だけの理想のアコースティックギターサウンドを追求してみてください。
以上「【これで完璧!】自宅でも出来るアコースティックギターの録音方法を徹底解説」でした。
【音色が変わる!】今すぐ試せるアコースティックギターの音色改善テクニック8選
アコースティックギターの4つの録音方法 | マイク&ピックアップの設置