
EQもサチュレーションも迷わない!音のキャラクターを決める「周波数と倍音」の仕組みと応用
「自分で作った曲の音が、なんだかプロっぽくならない…」「イコライザー(EQ)をどう触ればいいのか分からない…」そんな悩みを抱えていませんか?その原因は、音の基本である「周波数」と「倍音(ばいおん)」の関係を知らないからかもしれません。
ミュージシャンやオーディオエンジニア、DTM(音楽制作)を始めたばかりの方にとって、この2つの仕組みを理解することは、理想のサウンドを作るための「最初の一歩」です。今回はDTM入門者の方に向けて、ミックスやマスタリングが劇的に上手くなる「周波数と倍音」の基礎知識を分かりやすく解説します!
そもそも「基本周波数(基音)」とは?周波数と倍音の基本
私たちが普段耳にしている様々な「音」は、1つのシンプルな音だけでできているわけではありません。実は、耳に聞こえるメインの音(基本周波数)と、その周りに複雑に絡み合う「倍音成分」が合体して、1つの音を作っています。

基本周波数(きほんしゅうはすう)とは、簡単に言うと「音の高さ(ピッチ)を決める中心となる音」のことです。音楽の世界では「基音(きおん)」とも呼ばれます。例えば、ギターやピアノで「ド(C)」の音を鳴らしたとき、私たちの脳が「これはドの音だ!」と認識できるのは、この基本周波数があるおかげです。
実は、自然界(人間の声や本物の楽器など)には、この「基本周波数だけ」で構成されている音は存在しません。シンセサイザーのようなデジタル楽器を使うことで、初めて人工的に作ることができます。これが「サイン波(正弦波)」と呼ばれる、ピーという電子音です。
※基本周波数のみのサイン波(倍音が全くないため、キャラクターのない無機質な音に聴こえます)
「倍音」とは?なぜ楽器によって音色が違うのかを周波数から紐解く
では、なぜ同じ「ド」の音なのに、ピアノとギター、あるいは人の声でこれほど明確に音の違いが生まれるのでしょうか?その答えこそが「倍音(ばいおん)」です。
倍音とは、先ほどの基本周波数の「2倍、3倍、4倍…」という、キレイな整数倍の高さで同時に鳴っている響きのことです。私たちの耳には1つの音に聴こえていても、裏ではたくさんの高い音が重なり合っています。この倍音が「どれくらい、どのように含まれているか」によって、音のキャラクター(音色・質感)が決まります。


シンセサイザーの「三角波」や「ノコギリ波」のように、規則正しく倍音が含まれるものもあれば、人間の声や楽器はもっと複雑に、不規則に倍音が含まれています。スマホの通知音、車のクラクション、鳥の鳴き声がすべて違って聞こえるのも、この周波数と倍音のバランスがそれぞれ異なるからです。

図解でわかる!基本周波数と倍音の数学的な関係性とDTMでの応用
「数学的」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、仕組みはとてもシンプルです。計算を分かりやすくするために、「100Hz(ヘルツ)」の音(基本周波数)を例にして考えてみましょう。
倍音は必ず整数倍で発生するため、以下のように無限に高い周波数の音が生まれます。
- 基本周波数(基音): 100Hz
- 2倍音(第2高調波): 100Hz × 2 = 200Hz
- 3倍音(第3高調波): 100Hz × 3 = 300Hz
- 4倍音(第4高調波): 100Hz × 4 = 400Hz

なぜミキシングでこの知識が必要なのか?
この関係を知っていると、イコライザー(EQ)の使い方がガラリと変わります。例えば、ボーカルの100Hzのモコモコした音が気になるからといって、100Hzだけを削ってもスッキリしないことがあります。それは、200Hzやく300Hzにある「倍音」側にも原因が残っているからです。
また、複数の楽器が同時に鳴るミキシングでは、「ある楽器の基本周波数が、別の楽器の倍音とぶつかって音が濁る(周波数マスキング)」という現象がよく起きます。この仕組みが分かれば、「ベースの200Hz(倍音)と、ボーカルの200Hz(基本周波数)がケンカしているから、ベース側を少し削ろう」といった、迷いのない的確な音作りができるようになります。
サチュレーションや歪みエフェクトを効果的に使って倍音をコントロールする
倍音は、もともと楽器が持っているものだけではありません。エフェクターを使って「あえて人工的に倍音を追加する」ことで、音を太くしたり、存在感をアップさせたりできます。
倍音を増やす代表的な方法が、音を適度に「歪(ひず)ませる」ことです。歪みと聞くとロックギターの激しい音を想像するかもしれませんが、音楽制作では「サチュレーション」「オーバードライブ」「ディストーション」など、歪みの強さや種類によって使い分けます。


【最新トレンド】デジタルな曲に「アナログの心地よさ」をプラスする理由
最近のDTMは、パソコンの中だけで非常に高音質でクリアな音が作れるようになりました。しかし、あまりに綺麗すぎるデジタルサウンドは、聴き手に「冷たい」「どこか物足りない、スカスカする」といった印象を与えてしまうことがあります。
そこで現代のプロのエンジニアは、マスタリングやミックスの段階で「アナログ機材をシミュレートしたプラグイン(サチュレーター)」を使い、楽曲全体に薄く倍音を加えています。これにより、昔のレコードやテープのような「温かみ」「ジューシーさ」「エアー感(空気感)」が生まれ、一気にクオリティがプロレベルへと引き上げられます。
近年では、AIが自動で楽曲の周波数と倍音のバランスを解析し、最適なサチュレーション量を提案してくれる賢いプラグイン(iZotope OzoneやFabFilter製品など)も主流になっており、初心者でも手軽に豊かな倍音を扱えるようになっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?音の高さの芯を作る「基本周波数」と、音のキャラクターや質感を決める「倍音」。この2つの関係性と仕組みを理解することは、思い通りのサウンドメイクを行うための強力な武器になります。
周波数と倍音の基礎知識を意識しながら、日々のミキシングでEQを調整したり、サチュレーションで歪みを少しだけ足してみたりしてください。今までなんとなく感覚で触っていたエフェクターが、意味を持ってコントロールできるようになり、あなたの作る楽曲のクオリティが劇的にアップするはずです!
以上、「【DTM初心者向け】サウンドメイクが変わる!音の周波数と倍音の基礎知識」でした。