
【DTM】音楽制作を進化させる。AI搭載プラグインソフト5選
音楽ソフトウェアに限らず、人工知能によるAIテクノロジーはますます多くのソフトウェアに組み込まれつつあります。
音楽分野のAIについて考えるとき、AIに頼ることで人間のインスピレーションの邪魔になるのではないか?または、AIで自動化してコーヒーを飲みながらでも勝手に曲が出来る。といったことを想像するかと思いますが、実際には少し異なります。
音楽ソフトウェアに搭載されているAIは、バックグラウンドで目に見えない補助的な役割をしている製品もあれば、ミックスの正しい開始点や着地点を「提案」してくれるような役割を果たしていることがほとんどです。
AIプラグインのメリット
音楽制作において、AI導入のメリットは制作速度と正確性の向上です。
音楽ジャンルごとのセオリーや、正しいミックスバランスを知ることは、長年の経験が必要になるため、特にこれから音楽制作を始める方には非常に高いハードルとなってしまいます。
さらに熟練のエンジニアであっても、長い作業で疲労することで、正しい音量バランスの判断がずれてしまうこともよくあります。そういった音楽制作で起こりやすい「ヒューマンエラー」を回避する為にも、AIを利用することによるより正確で素早い判断を下すことができます。
特に作曲、レコーディング、ミキシング、マスタリングなど、自分ですべてを行う独立タイプのプロデューサーにとっては、作業の負担を減らし、生産性を向上させるという意味でもAIプラグインは注目を集めています。
ここからはAIを利用している人気プラグインのいくつかをご紹介します。
iZotope Ozone 9

iZotopeによる人気マスタリングソフト「Ozone」には、バージョン8以降、マスターアシスタントが含まれるようになりました。
アシスタントボタンをクリックして曲を再生すると、トラックのEQバランス、ダイナミクス、その他さまざまなパラメーターの分析が開始され、希望に沿ったマスタリングテンプレートが作成されます。
マスターアシスタントが最適なバランスを提供してくれますが、必ずしもそれが完璧なマスターであるとは限りません。もちろん、希望どうりならそのままでも構いませんが、ほとんどの場合はそこを出発点として使用し、そこから独自に調整することをおすすめします。
Zynaptiq Adaptiverb

ADAPTIVERBは反響音に依存しない革新的なリバーブプラグインで、従来の反響に基づく音響空間モデリングとは異なり、ADAPTIVERBはソースを不明瞭にすることなく、音の深さ、倍音の豊かさ、滑らかなテイルを付加します。
さらにレイトレーシングリバーブ、アダプティブシミラリティフィルタリング、およびリバーブテールが他の楽器との衝突を回避できるようにする革新的な新しいAI技術を使用しています。
先進的なテクノロジーで自動的に魔法のようなサウンドを作り出すプラグインとして人気ですが、CPU使用率が高めな為、スペックの確認は必須です。
Focusrite Fast Bundle

Focusriteから最近リリースされたAI搭載プラグインバンドル。トラックにあわせて自動でパラメータを調節してくれるEQ、コンプレッサー、リバーブに加え、音被りを回避する為のダッキングプラグインを収録しています。
AIを利用した「smart:engine」テクノロジーは、オーディオを分析し、最適なエフェクト効果を自動的に追加して、クリエイターの音質調整を支援し、オーディオがミックス内に完全に適合するようにします。
FASTシリーズはクリエイティブな制作の流れを維持できるように設計されているため、ミックスに頭を悩ませることなく音楽制作に集中することができます。
Hexachords Orb Composer Pro S

Orb Composer Pro Sは、完成度の高い音楽作曲支援ソフトウェアとして支持を得ており、その独自のテクノロジーにより、素早くプロ品質の音楽を作成するように促します。人工知能を使用して、指示に基づいてコードやメロディーの作成を手助けするスタンドアロンプログラムとして機能します。
プロの編曲者と同じような編曲スタイルやその他のストリングスのようなクラシック要素の追加を実現するのに役立ちます。
ムード、テンポ、その他の重要な要素を指示することで、プログラムがさらに洗練された音楽を作成できるようになります。リファレンスとしてMIDIまたはオーディオデータをDAWにエクスポートすることもできます。
Algonaut Atlas

Algonaut社の話題のドラム生成ツール「Atlas」はサンプルコレクションを自動分析し、マップレイアウトに楽器タイプとキャラクターに分けて配置してくれます。
簡単にサンプル音源を見つけだして、ドラムサンプラーのようにして使うことができます。また、様々なタイプのマップを複数作成することもできるので、ドラムサンプルコレクションを視覚的に分かりやすく整理する為にも役立ちます。
Atlasはプログラミング用の16個の正方形MPCスタイルのグリッドを備えたサンプルプレーヤーとしても機能し、サンプルはDAWにドラッグアンドドロップすることも可能です。
さらに、独自のドラムキットを作成することができ、プラグイン内にはSampleMagicからのドラムワンショットのサンプルセットも含まれています。今後のアップデートでシーケンサーも追加される予定です。
まとめ
AI搭載のプラグインソフトを5つご紹介しました。
- iZotope Ozone 9
- Zynaptiq Adaptiverb
- Focusrite Fast Bundle
- Hexachords Orb Composer Pro S
- Algonaut Atlas
AIテクノロジーを利用することで、ミックスで頭を悩ますことが少なくなり、より多くの時間を制作に当てることができるようになります。
提案された内容をそのまま使用することもできますが、基本的にはミックスの開始地点として、そこからさらに自分なりに微調整を加えることで、より独自性の高いサウンドを入手することができるようになります。
制作速度と生産性を向上させたいプロデューサーは、AI搭載ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
以上、「【DTM】音楽制作を進化させる。AI搭載プラグインソフト5選」