コンプレッサーのレシオ値を理解する【DTM】
コンプレッサーのレシオ値の設定をしっかりと理解することは、正しくトラックを圧縮するためには欠かせない知識です。
コンプレッサーの中でも最も誤解が多いパラメーターの一つで、レシオがどのようにサウンドに影響するかを理解することなく、なんとなく4:1とか3:1くらいに設定して使っていませんか?
正しく圧縮を加えて、楽曲全体のダイナミクスやトランジェントコントロールする為にも、今回はコンプレッサーの正しいレシオ値の設定について解説します。
コンプレッサーレシオとは?
以前のコンプレッサーの基本的な使い方の記事でも触れましたが、オーディオコンプレッションというのは音声の入力信号がスレッショルド値で決めた範囲を超えたオーディオ信号をレシオ値の比率に従って圧縮します。
つまり、レシオの値は信号がスレッショルドレベルを超えたときにコンプレッサーが適用するゲインリダクションの量を決定します。
たとえば2:1のレシオ比率の場合、スレッショルドを超えたオーディオ信号を50%圧縮するといった具合です。
1:1ではまったく圧縮せず、20:1を超えたあたりからリミッターとして機能するようになります。
コンプレッサーの製品ごとにレシオ値の数字や圧縮の際のトーン変化に違いがあり、ダイナミクスをコントロールする以外にも、この圧縮したときのトーンキャラクターの変化も製品選びの判断基準となります。
レシオ値ごとの使い方
- 2:1 > 非常に緩やかな圧縮です。
トーンやトランジェントを残しつつ、ソフトなダイナミクスコントロールができます。 - 3:1 > 適度な圧縮を加えます。
自然なダイナミクスと適度な圧縮感のあるサウンドになります。 - 4:1 > 中程度の圧縮。
適度なトランジェントコントロールが可能になり、パンチを加えたり、太いサウンドにできます。 - 6:1 > 強い圧縮を加えます。
ダイナミクスレンジは大幅に減少し、強い圧縮感のあるサウンドになります。 - レシオ最大 > リミッター
すべてのオーディオ信号を遮断します。
他のパラメーターとの組み合わせ
もちろんレシオを操作しただけでは目当ての効果を得ることはできません。
スレッショルド、アタック、リリース、ニーをコントロールすることで、オーディオ信号に対して最適な圧縮を加えることが可能になるので、レシオ値による効果はあくまで目安程度に留めておきましょう。
例えば一瞬だけ飛び出したオーディオ信号を潰したい場合には、飛び出した部分にだけ圧縮がかかるようにコントロールします。
オーディオ信号のダイナミクスコントロールが目的で、全体の音量差を減らしたい場合には、深めのスレッショルドで2:1のような浅いレシオ値に設定することで、全体を「ならす」ように圧縮します。
さらにアタックとリリースも組み合わせることで、横の時間軸のコントロールも可能になるので、どのようにコンプレッションをかけたいかを考えて、最適な値に設定することが重要です。
特定のサウンドに最適なレシオ設定というのは実は存在しません。
すべてのサウンドの波形とコンプレッサーの特性は異なるため、設定値による効果は参考程度にして、誤解してしまわないように注意しましょう。
一番良い方法は波形を見て、最終的には必ず耳で判断することです。
まとめ
コンプレッサーのレシオを理解することは、オーディオに対して最適なコンプレッションを加える為に必須です。
多くの教則本やサイトに書かれているレシオ値による効果は参考程度にして、圧縮を加えるときには耳を使い、波形を確認しながら行うことを忘れないでください。
過度な圧縮はオーディオ本来のパンチ、明瞭さ、存在感に悪影響を与える可能性があるので、どの程度圧縮を加えるかの判断を間違えないようにしましょう。
以上、「コンプレッサーのレシオ値を理解する【DTM】」でした。