DTM GUITAR

「クリップ」してヒビ割れてしまったオーディオデータを修正する方法【DTM】

「クリップ」してヒビ割れてしまったオーディオデータを修正する方法【DTM】

音楽制作をしていると、誰でも一度は経験するであろう「クリッピング」現象。クリッピングとは、オーディオ信号が強すぎて、録音機器やソフトが処理しきれずに音が歪んでしまう現象のことです。

DAWソフトを使っている時に、音量メーターが赤くなってしまっている状態は、まさにクリッピングが発生しているサインです。また、外部から受け取ったオーディオファイルがクリッピング状態になっている場合もあります。これは、録音時に適切な音量設定がされていなかったことが原因です。

今回は、クリッピングが発生してしまった場合、どのように対処すれば良いのか?そして、そもそもクリッピングを避けるにはどうすれば良いのか?について詳しくご紹介します。

クリッピングとはどういう状態ですか?

オーディオのクリッピング現象は、オーディオ信号が実行しているシステムで、許容される最大レベルを超えたときに発生します。システムは主にアンプ、オーディオインターフェイス、DAWソフトウェア等です。オーディオ信号がこれらシステムのしきい値を超えると、波形の上部が切り取られ、歪みが発生してしまいます。

クリッピングしたピアノ音源

限界を超えて失われた波形は、基本的には修正することが不可能なので、クリッピングしないおうにゲインコントロールすることが非常に重要となります。

すべての「クリッピング」が悪いわけではない?

音量が限界値を超えて歪み始める現象のすべてが悪いわけではありません。例えば、エレキギターのオーバードライブやディストーション、DAWの世界でもソフトクリッパーやサチュレーション等、クリッピング現象による「歪み」を利用して、オーディオ的に良い効果を得られるものもあります。

アナログとデジタルにおけるオーディオクリッピングには大きな違いがあり、アナログ信号が最大レベルを超えた場合は、オーディオ信号は比較的穏やかで、それほど激しくないタイプのクリッピングとなり、場合によっては望ましい倍音が付与されて、トラックに温かさやパンチを加える効果を期待できます。

一方で、デジタルクリッピングによる歪みは、単純に耳障りで不快なものが多いです。先ほどのひび割れたピアノ音源のように「ジリジリ」としたタイプの歪みで、これは完全に避けるべきクリッピングです。

オーディオクリッピングの原因は何ですか?

オーディオクリッピングの一般的な原因には次のものがあります。

  • 音源の音量が大きすぎて、マイクに過剰入力となっている
  • オーディオインターフェースの入力ゲインが大きすぎる
  • 過剰なゲインブーストやエフェクト処理
  • シグナルチェーン全体でゲイン量が高い(マスタートラックでクリップ)
  • マスター出力レベルを高く設定しすぎる


クリッピングを回避する為の対策は?

DAWソフトでたくさんのトラックを扱う場合、個々のトラックの音量は適切でも、マスタートラックで大きくなりすぎてクリッピングしてしまうことがあります。これは個々のトラックの音量が合わさったことで、全体の音量が限界を超えてしまうことが原因です。

これを防ぐには、「ゲインステージング」という作業が必要になります。ゲインステージングとは、各トラックの音量バランスを調整し、最終的な出力レベルが適切な範囲に収まるようにすることです。

具体的には、各トラックのエフェクト(リバーブやディレイなど)の前後で音量が適切かを確認したり、特定の部分で音量が大きくなりすぎる場合は、オートメーション機能を使って音量を自動調整したりしてコントロールします。

各トラックの最適な音量目安として、ピークを-9dB、平均的な音量は-15~-18dB程度に抑えておくと、ミックスダウンやマスタリングの際に余裕を持って作業することができます。さらに、音量のダイナミクスを調整できる「コンプレッサー」や「リミッター」等も、クリッピングを抑えるのに効果的です。

クリッピングしてしまった時の修正方法は?

つい一昔前までは、クリッピングしてしまっていたり、不要なノイズが入ったりするオーディオデータがあった場合、もう一度録音しなおすか、諦めて不要な音を我慢するかの2つしか選択肢がありませんでした。

嬉しいことに最近では、クリッピングの問題を解決したり、オーディオデータ内の不快なサウンドを修正したりできるツールが数多くリリースされています。

iZotope RX

iZotope RXは、オーディオ修復とエンハンスメントのための業界標準のソフトウェアです。機械学習テクノロジーを含んだ高度なデジタル信号処理技術を使って、ノイズの除去、クリッピング修復、音質改善など、様々なオーディオ編集作業を強力にサポートします。

RXは、音楽制作以外にも、配信、放送、ゲームなど、幅広い分野で活用されており、コンテンツ制作における一般的なオーディオの問題から最も難しい音響修復まで、あらゆる問題に素早く対処します。



iZotope RX

Waves Restoration

Restorationは、クリック音、クラックル音、ノイズ、ハム音、損傷した録音を復活させたり、劣化した映画やテレビのサウンドトラックを修復したり、ライブ録音をクリーンアップしたりする為のいくつかの修正ツールがセットになっています。

このバンドルに収録されたプラグインは、どれもXから始まり、それぞれに処理に適したノイズの名称が付けられています。突発的なノイズにはクリックまたはクラックル、静的なノイズにはハムノイズを選択することで、それぞれのノイズに特化した処理にフォーカスして進めることができます。

Waves Restoration

まとめ

DTMにおけるクリッピング現象について解説しました。クリッピングとは、簡単にいえばオーディオ信号が強すぎて音が歪んでしまう現象です。デジタルクリッピングは耳障りな歪みを生み出すため、可能な限り避けるべきです。

クリッピングを避けるには、録音時の入力レベルから、DAWソフトでのミキシングまで、様々な段階でゲイン調整を正しく行うことで不要なクリッピングを回避することができます。マスタートラックの最終段階にリミッターを設置することも効果的です。

もしクリッピングが発生してしまった場合は、iZotope RXやWaves Restorationのようなオーディオ修復ツールを使って修復を試みてみましょう。

以上、「「クリップ」してヒビ割れてしまったオーディオデータを修正する方法【DTM】」でした。


レコーディングの正しい音量設定は?余白部分「ヘッドルーム」の重要性について

音楽をマスタリングする時は「どれくらいの音量」で書き出せばいいの?

※本サイトには、アフィリエイトリンクまたはプロモーション記事が含まれている場合があります。

人気記事

1

人気VSTプラグインソフトおすすめ12選【DTM】 これからDTMを使った作曲を始める方に向けて、人気のあるおすすめプラグインソフトをご紹介します。海外の最大手プラグイン販売サイト「Plugin Bo ...

2

EDMの作り方【DAWを使った打ち込み方法】 DAWを使ったEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)の制作は、シンセサイザーのようなソフトウェアの操作、各種エフェクト関連、ミキシングテクニック等、覚 ...

3

ヒップホップビートの作り方【Beat Making】 世界の音楽シーンはHiphop一色となっており、最近では国内のHiphopシーンでも海外プロデューサーのType Beatを使用した楽曲が目立つよ ...

4

はじめてのギターエフェクター【最初に揃えるべきはコレ!】 エレキギターを購入した後に必要になるのが、ギターのサウンドを変化させる為の「エフェクター」と呼ばれる機材。ギターの音作りにおいて必須の機材では ...

5

オリジナル楽曲をサブスク配信する方法【Spotify、Apple Music】 何日もかけて完成した自分のオリジナル楽曲を、できるなら世界中の人に向けて発信してみたいと思いませんか?一昔前は個人が全国 ...

-DTM, GUITAR
-, ,

Copyright© TRIVISION STUDIO , 2024 All Rights Reserved.