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シンセサイザーの音色を自由に操る!ADSRエンベロープの活用術

シンセサイザーの音色を自由に操る!ADSRエンベロープの活用術

DTMやシンセサイザー等の電気楽器を扱うときに必ず出てくるのが、「エンベロープ」とそれをコントロールする「ADSR」というパラメーターです。

シンセサイザーの魅力の一つとして豊かな音色バリエーションが挙げられるかと思いますが、その中でもADSRエンベロープ(Attack,、Decay、Sustain、Release)は音色を形成するための重要な要素の一つです。

今回は、ADSRエンベロープの基本から応用までを紹介し、シンセサイザーの音色を自由自在に操るための活用術についてご紹介します。

エンベロープとは?

エンベロープ


エンベロープとは簡単にいうと「音量を時間変化させる装置」のことです。

電子楽器を扱わない方からすると全く聞きなれない言葉かもしれませんが、ピアノやギター、ドラムにもこのエンベロープの概念は当てはまります。

エンベロープを使うと音の立ち上がり継続時間鳴りやむまでの時間を調整でき、楽器の持つ特性をより強化したり、まったく違うサウンドに変化させることも可能になります。

そして、それらを調整するパラメーターのことを「ADSR」と呼びます。

ADSRパラメーター

ADSRとはそれぞれの各パラメーターAttack,、Decay、Sustain、Releaseの頭文字をとったもので、それぞれの役割は以下の通りです。

Attack(アタック)

音声信号が入力されてから最大音量なるまでの時間を調節するパラメーター。短いアタック時間は鋭い音、長いアタック時間は滑らかで柔らかな音を生み出します。

Decay(ディケイ)

最大音量から持続音に移行するまでの時間を調節するパラメーター。アタックが終わった後、音がどれくらい速く減衰するかを指定します。ディケイ時間が短いほど、初期の音がすぐに減衰します。

Sustain(サステイン)

ディケイ後の持続音量を調節するパラメーター。サステインが高いほど、持続音量が大きくなります。

Release(リリース)

音声信号を止めてから音量がゼロになるまでの時間を調節するパラメーター。リリース時間が長いほど、音が滑らかに消えていきます。

ADSR値の活用方法

ここからは、音量のエンベロープのADSRの値がどのように設定すればどのような音になるのか、いくつかの楽器を例に挙げながら探ってみましょう。

まず、音の減衰をADSRで再現する場合、以下の順序で考えるようにすると把握しやすいかと思います。

  1. 初期値: A=0、D=0、S=10、R=0(パラメーターの値は10段階で表現されるとします)
  2. 鍵盤を押しているときに音が持続するか、あるいは消えていくかを判断。消えていく場合はS=0
  3. どれくらいの時間をかけて音が消えていくか、または一定のレベルになるかを決定するためにDの値を使用します。
  4. 鍵盤を離したときの音が完全に消えるまでの時間をRで調節。
  5. 最後にAの値で鍵盤を押した瞬間の立ち上がり部分を調節。

それでは実際に、楽器タイプごとの設定をご紹介していきます。※ここでの波形はサイン波で統一しています。

オルガン

A=0、S=2、S=8、R=0

オルガンの音を最もシンプルなエンベロープで再現できます。オルガンは鍵盤を押し続けていると音が持続し、音量も最大のまま保たれることが一般的です。その特性を考慮してADSRの値を設定します。

鍵盤を押した瞬間の「カッ!」とした感じを再現する場合は、Sを8くらいにしてDを1~2にすることでアタック感を出すことができます。

この設定により、オルガンの特有のアタック音と持続音が再現され、鍵盤を押すとすぐに音が出現し、離すと即座に音が終了するようなサウンドを得ることができます。

管楽器

A=1、D=3、S=6、R=2

管楽器は吹奏楽器であり、人の肺活量には限界があるので厳密には永遠に音が持続するわけではありませんが、デジタル環境では永遠に音を持続させることも可能です。

特にブラス系楽器では、アタック部分で強い音を鳴らし、持続音はやや小さくしたいので、D=3くらいにしてS=6くらいにすると再現度が上がります。

息を吐いて音を出す楽器なので、音の立ち上がりはやや緩やかになるようにA=1~2くらいにして、音が切れる時も、次の音に被らない程度にRを上げると自然な音の切れ味が表現できます。

ストリングス、PAD

A=3、D=4、S=8、R=5

ストリングスやPAD系の音色を再現するためには、柔らかいサウンドにする為にアタック感を緩やかにするのが重要です。持続音を活かし、音量の調整やリリースの長さを慎重に設定します。

曲によって異なるアタックを求められるため、柔らかな雰囲気を保ちつつ、早いフレーズにも対応できるようにA=2~4の間で調整するのが良いでしょう。

音が切れる際にはゆったりとした残響音を演出するため、R=5くらいが適しています。リバーブエフェクトをかける場合は、エフェクトの残響音も考慮するようにしましょう。

アコースティックギター

A=0、D=8、S=0、R=3

アコースティックギターの音を再現するためには、音の減衰感の再現が重要となります。指を離すと音はスーッと消えていくイメージを表現するため、R=3くらいに設定して、鍵盤を抑えている時はゆっくりと減衰するような自然なサウンドを得るためにD=8のS=0にします。

また、弦を弾いた時のギターの特有の立ち上がり感を表現するために、Aは0にしています。ブツっとした音が気になる場合は、0.1~0.2くらいに僅かに上げるのがおすすめです。

アコースティックギター特有の音の減衰が再現され、リアルな演奏感を得ることができます。ギターには様々な演奏スタイルがあるので、個々の好みやスタイルに合わせて微調整してみてください。

木琴、Pluck系

パーカッション的な要素を持った木琴や鉄琴のような楽器は音が持続しないため、S=0に設定して打楽器としての特性を再現します。

打楽器なので立ち上がりはA=0にして、音量感は一定にはならないようにして、持続音もすぐに減衰するのでD=4くらいを目安に。

Rによってキャラクターが変化するので、3~5の間くらいで好みに合わせて設定しましょう。

まとめ

シンセサイザーの音色を自在に操るための基本的な要素であるADSRエンベロープに焦点を当てました。各楽器の特性を考慮してADSRの値を設定することで音色を自由に操ることが可能になります。

ADSRエンベロープで音の波形を直接変化させることで、シンセサイザーの持つ瞬間的なパワーや持続エネルギーをより有効的に活用でき、ミキシングバランスを向上させることができます。

音楽制作やシンセサイザーの操作において、ADSRの使い方をマスターすることで、よりクリエイティブで多彩な音楽表現が可能になります。

以上、「シンセサイザーの音色を自由に操る!ADSRエンベロープの活用術」でした。


【ADSR】エンベロープを使いこなそう

【超簡単!】シンセサイザーのサウンドはたった3つの要素で出来ている?シンセサイザーの音作りの流れ

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