レイヤーを使用してサウンド強化する為の10のヒント【DTM】
DAWを使用した音楽制作では複数の音源サンプルを重ねる「レイヤー」を取り入れることがよくあります。
レイヤーを効果的に取り入れることで、足りない部分を補ったり、サンプルをより強化することを目的として、よりクリエイティブなサウンドメイクが可能になります。
今回はレイヤーを行う時に役立つ10のヒントをご紹介します。
1. マスキングに注意する
複数の音源サンプルを重ねる場合、特に2つの音源が類似した周波数特性を持っている場合は、マスキングに注意する必要があります。
同じ周波数が干渉し合うことで、強化する目的のはずのレイヤーが、ミックスを濁らせる原因となってしまうこともあります。音の立ち上がりであるトランジェント部分は特に注意する必要があり、アグレッシブさを奪いやすいです。
2. レイヤーに執着しない
すべての音源を重ねる必要はありません。
単体で優れている音源の場合はレイヤーは必要としないので、単体で使用するべきか、レイヤーするべきかの判断も重要です。
3. レイヤーの数
組み合わせるレイヤーの数は最小限に抑えることで良い結果が得られやすいです。たくさんのサウンドを積み重ねてはいけないとうわけではありませんが、重ねる数が増えるほどもちろん難易度は上がります。
各レイヤーチャンネルをミュートして、それぞれがどのように影響を与えているのかを定期的に確認して、不要な音源は思い切って削除しましょう。
4. レイヤーされている音源も多い
一般的に市場に出回っているサンプルパックの多くは、すでに高密度でレイヤー化された音源も含まれています。
すでに飽和していて、強化する余白のない状態でさらに重ねてしまうと逆効果になってしまう可能性があります。
5. トランジェントに気を付ける
2つ以上の音源をレイヤーさせて、パンチのあるパーカッションを作成した場合は、トランジェント量に気を付けましょう。
トランジェントが高くなりすぎて、ヘッドルームを大幅に消費してしまう可能性があります。
6. 音程を揃える
ドラム系の瞬間的な音を鳴らす楽器であっても、レイヤーする場合には音程に気を付けましょう。
特にテールが長い音源はテール部分に音程感が出ている音源も多く、これらを異なる音程で重ねてしまうと違和感の原因になります
ピッチシフトさせるか、同じ音程のサンプルを重ねるようにします。
7. 住み分けをする
複数の音源を重ねる場合は、周波数ごとに分けて、それぞれが担当する帯域をきっちりと住み分けすることで、解像度が上がります。
例えば低音に迫力のあるキックサンプルと、高音にパンチのあるキックサンプルをレイヤーする場合は、イコライザーを使って分離してから重ねるようにします。
8. パラレルコンプレッション
元となるドライ音源とエフェクト加工されたウェット音源をレイヤーする方法です。
ダイナミクスを上方修正するテクニックで、ドライ信号とコンプで圧縮したウェット信号を並列処理することで、元の音源のダイナミクスを維持したまま、コンプレッションされたエネルギーを付加することが可能になります。
→パラレルコンプレッションの使い方
9. 接着させる
音源同士を重ねたあとは、バスコンプを使用して適度に圧縮することで「接着剤」的な使い方がおすすめです。
2つのトラックをバストラックにルーティングさせて、両方を圧縮することで統一感が生まれて、サウンドにまとまりが出ます。
10. 時間を節約する
レイヤーは所持しているサンプル数によっては無限の組み合わせが存在する為、「もしかしたらもっと他に良い組み合わせがあるかもしれない…」と堂々巡りになってしまうことがあります
直感的に気に入った組み合わせを見つけたら、そこで確定させてしまって、作業を次に進めることも非常に重要です。
まとめ
レイヤーを使用してサウンド強化する為のヒントをご紹介しました。
- マスキングに注意する
- レイヤーに執着しない
- レイヤーの数
- レイヤーされている音源も多い
- トランジェントに気を付ける
- 音程を揃える
- 住み分けをする
- パラレルコンプレッション
- 接着させる
- 時間を節約する
特にエレクトロ系のジャンルではレイヤーは一般的なテクニックとして多用されています。
レイヤー非常に便利なテクニックではありますが、やり方を間違えてしまうと逆に弱々しいサウンドになってしまう可能性もあるので、正しく重ねることが大切です。
今回のヒントを参考にして、様々なレイヤーを試してオリジナルサウンドを生み出してみてください。
以上、「レイヤーを使用してサウンド強化する為の10のヒント【DTM】」でした。