【Lo-Fi】ローファイミュージックにノスタルジックな質感を加える方法
ローファイ(Lo-Fi)は簡単にいうと品質をあえて劣化させた音楽のことで、通常は録音またはミックスの段階で欠陥と見なされる要素を効果的に使用することで、意図的な美的選択として聴こえるようにします。
ローファイミュージックの最も魅力的な要素の1つは、感情的でノスタルジックなサウンドデザインでレトロな感覚を呼び起こすことにあります。
今回は、Lo-Fiプロデューサーとビートメーカーに役立つトラックにノスタルジックな質感を加える方法をいくつかご紹介します。
ノスタルジックな感情を呼び起こす
ローファイ系のプロデューサーはさまざまな制作スタイルを使用して、ビンテージサンプリングから忠実度の低いミキシングテクニックまでを駆使して、リスナーに切ない感情を与えます。
通常のヒップホップビートの作り方に加えて、可能な限りノスタルジアな要素を追加することで、そのトラックを一度も聴いたことがなくても、リスナーは過去の思い出がよみがえるような切ない感情に駆られます。
駄菓子屋のお菓子の味、初恋の人の香水の匂い、そういったノスタルジックな感覚を呼び起こすために、音楽では古いレコードのザラザラした質感や、高音が削り取られたサウンド、針の音飛びといった現象までを再現します。
リズムトラック
ローファイビートの最も重要な要素の1つは、リズムトラックです。
通常のプロデューサーは高品質でジャストなタイミングで叩かれるドラムループを使用しますが、ローファイでは正反対のサンプルを使用することがよくあります。
タイミングの「よれた」ループサンプルや、こもったような質感のドラムトラックを使用することで、クリーンなドラムよりもローファイビートによく馴染みます。
Lo-Fiドラムサウンドにはレトロな「ブームバップ」スタイルのサンプルを使用して、80年代と90年代のビンテージドラムマシンからサンプリングされたトーンを採用することがよくあります。
手持ちのサンプルをローファイ化する場合は、打ち込みの各ノートをわずかにずらしたり、ドラムトラック全体にハイパスフィルター、サチュレーション、などのエフェクトを追加することで、トラックに懐かしさを加えるのに役立ちます。
テープエミュレーション
現代のテクノロジーからみると、昔のテープマシンやその他のビンテージハードウェアといったレコーディング機器は、非常に解像度の低いサウンドを生成していました。
その他にも、テープマシン特有のフラッターやワーブル、微妙な調性、さまざまなオーディオの欠陥によって、当時は避けるべき要素であっても、現在では貴重なビンテージ要素として追加されることがあります。
ピアノループでテープエミュレーションを使用すると、標準のモダンなピアノの音色を温かみのあるまろやかなトーンに変えることができます。
さらに、ローファイプロデューサー御用達プラグイン「RC-20 Retro Color」を使ってノイズや揺らぎ、微妙な音程の変化を加えることで、古いテープマシンやハードウェアから生成されたサウンドを忠実に再現することができます。
環境音を足す
音楽に懐かしさを感じさせるには、リスナーを完全に音楽の世界観に没頭してもらう必要があります。
これを実現する効果的な方法の1つとして「環境音」を使用することです。このテクニックはLo-Fiヒップホップ、Lo-Fiハウスで一般的に使用されているテクニックです。
メインビートの後ろでBGM的に流れる、静かでアンビエントな非音楽的なサウンドを用意し、例えば電車の通過音、降り注ぐ雨、鳥の鳴き声、浜辺の波などさまざまな環境音が使用されています。
環境音を使うことでトラックにノスタルジックな雰囲気を加えることができ、それがリスナーにとっては強い感情的な繋がりを生み出します。
サンプリング
サンプリングによるカット、リバース、テンポ及びピッチ変更は、ローファイに限らずエレクトロ系やヒップホップといったジャンルにおいて、音楽制作の基礎的な要素です。
ビートメイクの始まり自体がブレイクビーツのサンプリングとループから来ているため、サンプリングは長いヒップホップの歴史の中でも大きな役割を果たしてきました。
ローファイミュージックの制作においても、古い時代の既存のサウンドを使用することは、さまざまな創造的な可能性をもたらします。
たとえば、1950~60年代のジャズピアノやサックスメロディーをサンプリングすることで、当時の音色や音使いをダイレクトに取り込むことができるので、非常に効果的です。
まとめ
ローファイミュージックに含まれるノスタルジックな要素は、人生の大切な時期への感情的な憧れと考えることができます。
世代によって懐かしさを感じる要素に違いはあるかもしれませんが、それぞれの人達が青春時代を過ごした力強い感覚を思い起こすようなサウンドを取り入れることで、音楽を通してそういった感覚を呼び起こすことができます。
今回の内容以外にも、懐かしさを感じることができる感傷的な要素をトラックに取り入れることができれば、ローファイミュージックとしてさらに洗練された作品になるかと思うので、色々と実験してみるのも面白いのではないでしょうか。
以上、「【Lo-Fi】ローファイミュージックにノスタルジックな質感を加える方法」でした。
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