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位相とは?「位相キャンセル」問題とその解決策【DTM】

位相問題

位相とは?「位相キャンセル」問題とその解決策【DTM】

位相による問題は、ミュージシャンや音楽プロデューサーが遭遇しやすいトラブルであり、位相について正しく理解していないと、気付かないうちにトラック全体に不具合を起こしてしまう可能性があります。

低音のマスキングや多すぎるリバーブといった一般的なトラブルよりも厄介であることもあり、理由としては、問題点を判別しずらかったり、解消するのが難しいことがあります。

今回は位相に関する問題、特に「位相キャンセル」とは何かということと、その問題の簡単な解決方法についてご紹介します。

位相キャンセルとは?

位相は、2つの音源ソース間の時間と振幅の差です。

すべての音波は、正と負の波の動きで構成されており、スピーカーコーンが音を出しているときにスローモーションで見ると、スピーカーコーンが前後に動き、空気圧の動きを生み出します。

位相

この波を人間の耳は音として解釈します。

位相キャンセルとは、同じ周波数の2つの正弦波が、1つまたは複数のピックアップソースに同時に到達しないことで、合計された信号の音が小さくなることです。

言葉よりも画像で見る方が簡単です。2つの信号パターン1と2があり、これらを合計するとパターン3が生成されます。信号Aは信号Bと正確に180度位相がずれているため、信号は打ち消しあってゼロになります。

位相キャンセル

アナログな実世界ではこれほど正確な正弦波は存在しないので、2つの音を重ねて音が完全に消えるということは考えにくいですが、デジタルのシンセサイザーや、まったく同じ音源サンプルをレイヤーする際には問題となることがあります。

具体的にはアタックが弱くなったり、音量自体が小さくなるといったトラブルが起こりえます。

位相がずれている

音楽制作に携わっていると「位相がずれている」という言葉もよく耳にするかと思います。

これは波形の開始点のずれと考えることができます。

波形のスタート地点の違い

「位相シフト」とも呼ばれており、コーラスやフェイザーエフェクトのような「シュワーン」といった干渉音や、音の揺らぎによるモジュレーション効果が発生します。この効果は意図して使用することもあります。

さらに位相が次第にずれていくにつれて、「位相キャンセル」の問題が発生し始めます。

実際に位相キャンセルについて知りたい場合は、DAW上で同じオーディオ波形を並べて片方を「位相反転」することで体感することができます。

位相反転

ハース効果のように左右に振った2つの音をわずかにずらすことで音像の広がりを得るときや、ディレイを使ったさまざまなテクニックで位相の問題が発生しやすいので、注意が必要です。

位相の問題に気が付かない状況

ここまでで分かるように、位相キャンセルは2つの類似した波形が重なるときに起こります。同じ波形が互いにわずかに遅れると、位相キャンセルが発生し始めます。

この問題はヘッドホンを使ったミキシングや距離の近いステレオスピーカーでリスニングしている場合、位相のずれを聞き取りにくい場合があります。

通常、音の波形は耳に届く前に空中を移動します。ヘッドホンを使用すると左右の音がまったく干渉することなく直接耳に届くので、ステレオ位相による問題に気付きにくいです。

左右の音が混ざるので気付きやすい
左右の音が混ざらないので気付きにくい

同じ再生システムであっても位相の問題が発生することがあります。

例えば、自宅で使うような小さな音量のスピーカーは、左右の音が混ざり合うことなく耳に届きます。しかし、ライブやクラブのような音が混ざり合う空間であれば、位相による問題がはっきりと聞こえます。

位相の問題を見つける方法

モノラルにする

位相の問題を見つけるために最も簡単な方法はモノラルでミックスすることです。

トラック全体の位相問題を確認するには、基本的にミックス内のすべての波形を重ねる必要があります。これはマスタートラックをモノラルにすることで、すべての要素を混ぜることができます。

左チャンネルと右チャンネルの間で起こりうる位相問題に限りますが、明白に聴き取ることができるようになるのでおすすめです。

専用プラグインを使う

位相の問題を警告するプラグインはたくさんあります。無料プラグインのSPANは周波数帯域を表示するスペクトラムアナライザーですが、位相の問題も表示してくれます。

右下にあるステレオ相関メーターで、トラックに潜む位相問題を警告してくれます。

さらに詳しく分析してトラブルを解消したい場合は、有料プラグインの「MAutoAlign」がおすすめです。修正したいトラックにMAutoAlignを挿し、分析ボタンを押すだけです。

自動で全てのトラックを分析し、数秒でオーディオの位相を最適化してくれます。

位相の問題を修正する方法

ここからは位相キャンセルの問題の修正方法についてご紹介します。

位相を反転させる

例えば、二つのサンプルをレイヤーした場合に、位相のトラブルに気づいたときは片方のサンプルを反転させることで解消することができます。

音がこもって聴こえる場合には、波形をズームアップして逆位相になっていないか確認しましょう。

少しずらす

どちらかのトラックのタイミングを少しずらすことでも位相の問題が解消することがあります。

場合によっては逆効果になることもあるので、必ず耳で聴きながら判断しましょう。

音程をずらす(デチューン)

位相キャンセルは波形が類似しすぎている場合に発生しやすく、まったく同じ波形を重ねるときには片方の音程をわずかにずらすことで、位相問題を減らすことができます。

問題を引き起こしているサンプルまたはレイヤーを数セントだけデチューンしてみてください。

低音をカットする

低音になるほど音の波が単純化する為、位相による問題を受けやすくなります。

低音と高音

ハイパスフィルターを使ってサンプルに含まれる不要な低音成分を取り除くことも、位相のトラブルを防ぐために有効です。

まとめ

位相で起こりうるトラブルは発見するのが難しく、すべてのトラックで問題を解消するには中々難しいこともあります。

今回の内容を参考にしながら位相問題を発見し、トラブルを解消することで、どんなサウンドシステムでもはっきりとした音像とパンチのある迫力のあるサウンドを鳴らすことができるようになります。

もちろん、プラグインを使って手軽に解消するのもいいですが、優れたエンジニアを目指すのであれば、まずは位相の仕組みとトラブルの原因を知ることも重要です。

以上、「位相とは?「位相キャンセル」問題とその解決策【DTM】」でした。


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