ラップソングを作る為の7つのステップ
ラップソングの制作は音程感が薄いので簡単なイメージがありますが、実際にはリリック制作や歌いまわし等に多くの時間と労力を必要とする大変な作業です。
一般的な歌メロよりも韻とリズムに気を配る必要があり、キャッチーでありながらも日常を反映したリアリティ溢れる歌詞が共感を呼びます。
もちろんラップ以外にもビートの選択やボーカルミックスといった技術的なことも含まれるので、個人ですべてをクリアするのはある程度の音楽的知識も必要となります。
今回は、そんなラップソングの作り方についてお話します。
1. アイディアを練る
ラップに限らず、作曲をするにはどんな曲を作りたいか?とのようなメッセージをラップに込めたいか?といったことをある程度固めておく必要があります。
すでに書きたいメッセージがあれば大丈夫ですが、そうでない場合は、日頃から頭に浮かんだことをすべて書き留めるようにしたり、好きなラップソングを聴いてインスピレーションをストックする癖をつけておきましょう。
アイディアを練るためのいくつかの方法があります。
- 感情やストーリーを考える
作曲の出発点として、特定の感情やストーリーをテーマに据えると良い場合があります。自分の気持ちや実体験を表現することでよりオーディエンスに伝わりやすくなります。 - 練習や実験
作曲は創造的なプロセスなので、試行錯誤が必要です。様々なコード進行やリズム、メロディの組み合わせを試してみてください。 - 楽器に触れる
楽器を演奏することで、新しいメロディーアイディアや、コード進行が生まれることがあります。イメージだけではなく、実際に楽器を手に取ってみてアイディアを探ってみるのも良いでしょう。 - 自然や日常生活からインスピレーションを得る
自然の音、街の喧騒、人々の会話など、身の回りの音や風景からインスピレーションを得ることもあります。公園を散歩したり、ランニングにでかけてみるのもおすすめです。 - コラボレーション
他のアーティストやビートメイカー達と協力することで、新しいアイディアが湧き出ることがあります。複数人でプロジェクトを進めることを"コーライト"と呼び、特に海外のヒップホップ界隈では一般的な方法です。
上記の内容を実践して、ラップミュージックで表現したいと思える内容をまとめておくことで、次の歌詞を書く段階でより効果的に作業を制作を進めることができます。
2. 歌詞を書く
歌詞を書くことはラップソング制作において最も重要なパートです。
ビートを繰り返し聴きながら、自由に口ずさんでみたり、スタジオを借りてフリースタイルで大声で出したりしてみて、なるべくクリエイティブなやり方を模索しましょう。
ドンと腰を据えてノートとペンを用意して書き溜めるよりも、よりストレートで人の感情を揺さぶる歌詞が生まれやすいです。
少しずつ形になってきたところで、頭に浮かんだイメージをメモしたりスマホで録音しておいて、自宅に帰ってから、さらに洗礼された歌詞を作成します。
→【ラップ用語】海外で使われているスラングワード
フックから書き始める
人によって作り方は様々ですが、なるべく曲のメインテーマとなるキャッチーでユニークなフックを先に決めてしまったほうが作りやすいです。
あまり長くならないように、パンチラインとなる単語や印象的なメロディーフレーズを決めて、何回か繰り返すことでリスナーの頭に残ります。
→【HIPHOP】フックパートの作り方。印象に残る楽曲に仕上げる
3. ビートを選ぶ
歌詞やメロディーを書き込む前に、トラックを用意して完成イメージを膨らませます。
すでに完成されたビートを先に決めておくことで、ビートの雰囲気に合わせて楽曲のテーマが絞られるので、ゼロからボーカルパートを作るのが難しい場合にもおすすめです。
→ヒップホップトラックの入手方法について【ラップ向け】
韻を踏む為にビートのリズムと、音楽と言葉数が完璧に一致するように楽曲を仕上げましょう。
ビートの入手方法としてはネット上からフリートラックを見つけてきたり、本格的に活動する場合はビートリースを利用したり、プロデューサーに直接連絡して作成依頼しましょう。
4. ビートを作る
最近では音楽制作が身近になり「自分でカッコいいビートを作りたい!」というラッパーの方も多いのではないでしょうか。アーティスト自身がオリジナルビートを作ることができれば、よりイメージした楽曲に近づけることができます。
オリジナルビートを作るには専門的な知識と経験が必要になりますが、現在ではLoopCloudのようなビートメーカー向けのオールインワンサービスを利用することで、簡単にビート制作が可能となっています。
自分でビートを制作するのか、もしくはプロデューサーに提供してもらうのかということは、今後の活動の方向性を決める重要な要素でもあるので、慎重に判断しましょう。
ヒップホップビートの作り方【Beat Making】
5. 構成を決める
完成したビートが手に入ったら、構成を考えます。
イントロ、ヴァース、フック、コーラス、ブリッジ、アウトロといったセクションに小節ごとに分けて、メロディーや歌詞に統一感を持たせます。
大体ワンセクション8~16小節ほどの長さで構成されていることが多く、特に海外ヒップホップだとシンプルにイントロ→ヴァース→フックをループさせるパターンが多くみられます。
6. 実際に歌ってみる
曲が形になったところで、実際に歌詞を暗記してビートに合わせてラップしてみてください。
実際に歌ってみると語呂が悪かったり、息継ぎポイントが少なすぎた、といったような制作の段階では気付けなかったことが見えてきます。
ラップが上手い人ほど何回も歌い込んで修正を重ねています。
実際にラップを確認するときには、スマホやDAWを使って録音して客観的に自分のラップを聴く習慣をつけると良いです。
7. ミックスする
最後はビートトラックとボーカルトラックを上手く馴染ませる為のミックス作業です。
少し専門的な知識も必要になってくるので難しい部分でもありますが、ミックスされた音源とそのままラップを乗せただけの音源ではクオリティにかなりの差が生まれます。
YouTubeで活動されているラッパーの方を見ているとフリートラックにそのままラップを乗せただけの音源も多いので、ボーカルミックスを施すだけでもワンランク上のラップトラックが入手できます。
→ラップボーカルのミキシングに関する3つヒント【DTM】
まとめ
ラップソングを作る為の5つのステップについてお話しました。
- アイディアを練る
- 歌詞を書く
- ビートを選ぶ
- ビートを作る
- 構成を決める
- 実際に歌ってみる
- ミックスする
もちろんアーティストによって制作方法は異なりますが、早い段階で自分のやりやすい作り方を見つけて、制作にかかる時間と労力を削減することもアーティスト活動においては重要です。
完璧を求めるのもいいですが、納得いかなかったとしても音源が出来上がったらYouTubeやSoundCloudにどんどんアップしていきましょう。
以上、「ラップソングを作る為の7つのステップ」でした。
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