MIDIとは?MIDIについての基礎知識
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)とは電子楽器の演奏データをパソコン等の機器の間で転送・共有するための世界共通規格です。
MIDI搭載の機器ならばどのような機種でも同じようにデータのやり取りが可能となるので、特にDAW(Digital Audio Workstation)のようなPC上で作曲をしたり、電子楽器を入出力する場合にはMIDIが役に立ちます。
※1983年から続くMIDIが2020年2月22日に正式にMIDI 2.0にアップデートされました。
MIDI 2.0規格は現行のMIDI 1.0規格の置き換えでは無く、互換性を担保したままの強化が目的です。
詳しくは38年ぶり!? 日米合意でMIDI規格が2.0にバージョンアップ!をご覧ください。
MIDIのデータフォーマット
MIDIデータを使用することで、様々な演奏動作情報を伝えることが可能になります。
MIDIデータを大きく分類すると
- チャンネルメッセージ
- システムメッセージ
の2種類があります。
チャンネルメッセージ
チャンネルメッセージは主に演奏動作情報で構成されています。
ノートオン・オフ
ノートオンは文字通り音を発声するための情報のことで、音の高さを表すノートナンバーと、音の強さを表すベロシティ情報が含まれています。
ノートナンバーは半音ごとに0~127の数字が割り当てられていて、音程の無いドラムのようなリズム楽器の場合には楽器の種類を区別するためにも使われています。
ピアノロール状で「C4」のように音名+オクターブ番号で表示されます。
音の強弱を表すベロシティは1~127の数値で表され、数値が大きくなるほど音も大きくなり、受信する音源によっては実際に強く楽器を鳴らした時のようなニュアンスも加わる。
例えばスネアを弱く叩いたときと、強く叩いたときではボリューム以外にも音の鳴り自体も大きく変化するので、強く叩いたときには「スコーン!」という明るく抜けの良い音に変化します。
ノートオフは実際にはあまり使われず、ノートオン+音の持続音の長さで扱われます。
プログラムチェンジ
プログラムチェンジは音色を切り替える為の信号です。
音色も同じく0~127の数字を使って指定しますが、一部機種によってA-〇〇といったような指定をする場合もあります。
もちろん最近の機器だと127の音色以上を搭載した機種も多く存在するので、その場合にはバンクセレクトで音色バンクを指定したあとに、その中からプログラムチェンジで音色を指定します。
バンクセレクトとプログラムチェンジの組み合わせによって2,097,152種類もの音色に対応できるようになるので、音色割り当ての数が足りないということはまず起きないでしょう。
コントロールチェンジ
音色の変化や演奏の表現力を伝えるのがコントロールチェンジです。
コントロールチェンジナンバーは主に、ctrl 0 - 63は連続可変系統、ctrl 64 - 95はスイッチ系統、ctrl 96 - 121は特殊系統、ctrl 121 - 127はモードメッセージ用として割り当てられています。
コントロールナンバー | 名称 |
0 | バンクセレクト |
1 | モジュレーション |
2 | ブレスコントローラー |
4 | フットコントローラー |
5 | ポルタメントタイム |
7 | ボリューム |
8 | バランス |
10 | パンポット |
11 | エクスプレッション |
64 | ホールド1 |
65 | ポルタメント |
66 | ソステヌート |
67 | ソフトペダル |
69 | ホールド2 |
91 | リバーブ |
92 | トレモロ |
93 | コーラス |
94 | セレステorヴァリエーション |
95 | フェイザー |
98 | NRPN(LSB) |
99 | NRPN(MSB) |
100 | RPN(LSB) |
101 | RPN(MSB) |
120 | オールサウンドオフ |
121 | リセットオールコントローラーズ |
123 | オールノートオフ |
124 | オムニオフ |
125 | オムニオン |
ピッチベンド
ピッチレバーを動かした時に連続変化する音程の信号。
プラス方向に8191、マイナス方向に8192で表されます。
ピッチの最大変化量となるピッチベンドレンジは通常2(全音)に設定されていますが、RPN(レジスタード・パラメーター・ナンバー)を使用して変更することも可能です。
アフタータッチ
アフタータッチは鍵盤を押し込んだ状態からさらに押し込むことでビブラートやトーンを変化させる為の信号。
DTMの打ち込みでは使用されることは少なく、実際に手で演奏する場合に使われる機能です。
MIDIチャンネルごとに効果が得られるチャンネルプレッシャーと鍵盤ごとに効果が変化するキープレッシャーがあります。
システムメッセージ
システムメッセージはシステム全体のコントロールをするために用意されたもので、チャンネルの概念は持っていません。
シーケンサー等を同期するためのメッセージが含まれており、各メーカーで共通ではない音色パラメーター等のデーターを同期するためのエクスクルーシブメッセージも含まれています。
リアルタイムメッセージ
MIDI機器間で同期演奏するための信号で、タイミングクロックやスタート、コンティニュー、ストップのような素早い処理が必要なメッセージ。
コモンメッセージ
接続されているMIDI機器同士を同時に操作するためのメッセージ。
リアルタイムメッセージと一緒に使われることが多く、ソングセレクトのようなリアルタイムである必要がないものはこちらのコモンメッセージに含まれています。
エクスクルーシブメッセージ
MIDI音源固有の機能をコントロールするためのメッセージで、エクスクルーシブメッセージを使うことで音色データの転送や音色の編集などが可能になり、MIDI機能をフルに活用することができるようになります。
応用範囲が広く最近のDTMの分野では特に効果的です。
パソコンと音源の接続では、複雑な音色パラメータのエディットも効率よくできるようになり、これまで互換性のなかった他のメーカーのデータも共有できるようになってきている。
音色パラメーターを編集する場合に、一度に大量のデータを送信することが多く、送受信にはある程度の時間を要する。
まとめ
MIDIに関しての基礎知識をご紹介しました。
少し専門的な内容になりましたが、これらの機能をすべて把握する必要はなく、実際はもっと直感的な操作で扱うことができるので安心してください。
MIDIを使うことのメリットは多く、一度演奏したパートを再び演奏しなくても、サウンドと演奏の両方を後々編集できることにあります。
サウンドが気に入らない場合には新しい楽器に差し替えたり、アレンジが気に食わない場合にはMIDIシーケンスを編集すれば何回もテイクを重ねることもありません。
もちろんこれらは制作の中でMIDIがもたらしてくれるメリットのほんのわずかに過ぎません。
MIDIはサウンドを良くして、作業時間を大幅にカットしてくれる便利なテクノロジーなのです。
以上、「MIDIとは?MIDIについての基礎知識」でした。