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今TikTok、Spotifyでヒット曲の「スピードアップ(Sped Up)」版がチャートを席巻している理由

スピードアップ音楽

今Spotify、TikTokでヒット曲の「スピードアップ(Sped Up)」版がチャートを席巻している理由

現在、TikTokやSpotify上で人気曲を"スピードアップ&ハイピッチ"にRemixしたバージョンが、チャートを席巻して盛り上がりを見せています。

元々はファンが制作した、楽曲のテンポを速めたRemixバージョンをアップしたことから始まり、TikTok上でバイラルヒットを収めたことに業界が注目しました。

ファンによるスピードアップverがあまりに多くの成功を収めたため、レーベルやアーティストはこのトレンドの流れに乗ろうとして、自身の曲のスピードアップしたバージョンを正式にリリースしています。

TikTokでは100億回を超える再生数

tiktok

TikTok ハッシュタグ「spedupsounds」には、現在では100億を超える再生数があり、Spotifyの「Sped Up Songs」 プレイリストには100万件以上のいいねが付いています。

類似のタグSpedupsongs、Spedupaudiosなども含めると、さらに膨大な数字となり、音楽界を席巻するほどの最新トレンドとなっています。

使用楽曲は最新ヒットソングに限らず、古い曲のスピードアップされたバージョンでは、TikTok内で新しいリスナーを見つけるきっかけとなり、原曲が再び注目されている要因にもなっています。

今ではトレンドに敏感な駆け出しのアーティストから、グラミー賞を受賞するほどのビッグアーティストまで、様々なアーティストがこのビッグウェーブに乗ろうと動いています。

レーベルにとっては新しい収益源となる可能性

レーベルの収益源

このスピードアップRemixは、すでにリリースされた音楽から、もう一度収益を生み出すための簡単な方法として注目を集めています。

音楽制作に携わる方なら、ほんの数秒でこのスピードアップRemixを作成することができるはずです。このような簡易的なアレンジにも関わらず、新鮮に聴こえるリミックスバージョンとして多くのリスナーを獲得することができます。

そもそもなぜスピードアップされた曲がここまで注目されているのでしょうか?

それは、現在のショートコンテンツアルゴリズムによって訓練された、私たちの視聴習慣によるものかもしれません。次のビデオ、次の投稿、次の刺激と、ますます速くコンテンツを消費するニーズにマッチして、スピードアップされた楽曲は、より多くのリスナーを惹きつけているのです。

スピードアップRemixの原点

現在のこのスピードアップverによるトレンドの流れは、2000年代初頭のダンスミュージック界隈で盛り上がりをみせた、人気J-POP曲のユーロ、トランスRemixを思い出します。

当時、人気だったJ-POP曲がアレンジされたコンピレーションアルバムが発売され、そのほとんどはスピードアップ&ハイピッチされたものが主流でした。

こういった楽曲は、クラブやナイトドライブのBGMとして使用されることが多くなり、このトランス、ユーロビートRemixは一大ブームとして世間に浸透していきました。

また、海外でもナイトコアアーティスト達によって、お気に入りの曲のテンポを上げてアレンジすることが多く行われるようになります。この手法は「ナイトコアエディット」呼ばれ、原曲のピッチを上げ、ソース素材を約35%高速化することに基づいています。

これらの曲はSoundCloud、YouTube、Reddit(海外の掲示板)で共有され、その多くは日本アニメのアートワークが使用されています。 

この頃は単純にスピードとピッチを上げるだけではなく、エレクトロ要素を加えたリミックスが施されています。このようにスピードアップした楽曲は、原曲よりも明るく、キャッチーで刺激的な要素を含むようになります。

さらに、レーベルにとっては聴き飽きてきた曲に再び新鮮さを取り戻すための新しい方法をリスナーに提供することができます。

スピードアップ音楽の消費

スピードアップ音楽

テクノロジーの急速な発展により、アルゴリズムは音楽ファンの注意力を低下させる可能性があります。お気に入りのトラックを初めてかのようにもう一度視聴できるとすれば、新しいトラックを探すという考えを捨ててしまう人も増えるかもしれません。

また、いくつかの楽曲では原曲よりも、スピードアップバージョンの方が人気が出ている曲もあります。リミックス作品ならまだしも、原曲のピッチとテンポをアップさせるだけで、新しいクールなトラックのように錯覚させるというのは、複雑な気持ちになるアーティストも少なくないはずです。

とはいえ、コンテンツ消費のスピードもどんどん上がっている現在では、芸術性の高い音楽が、プログラムによるシンプルな手法によって改変され、ソーシャルメディアプラットフォームやレーベルの収益源として再び使用されることは避けられないのかもしれません。


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