DTM

ボーカル品質向上!プロがやっているディエッサー処理

2020年2月9日

マイクの画像


ボーカル品質向上!プロがやっているディエッサー処理について


ディエッサーエフェクトプラグインの役割は、声の「さしすせそ」音によって発生するシューというノイズを除去することです。


普段の日常的な会話では気にはなりませんが、マイク録音された歌声の場合、耳障りなノイズとなります。
この為デジタルオーディオの世界では、過剰な歯擦音を処理し、ボーカルの音をより滑らかで心地よくするためにディエッサー処理が施されます。


ディエッサープラグインの仕組み

現在、歯擦音を抑えるために最もよく使用されるツールは、専用のディエッサープラグインです。

ディエッサーの画像


またはFabFilter「Pro-Q3」のようなダイナミックEQ、またはマルチバンドコンプレッサーを使用してディエッサーと同じ効果を得ることができます。

Fabfilter pro Q3の画像


ディエッサープラグインは、設定したスレッショルドの値を超えると、選択した量だけ周波数の振幅を減らします。
厳しい歯擦音の場合、4〜10 kHzの範囲で問題が発生する場合が多く、スレッショルドを超えたときに3dBほど減らすことで、歯擦音をピンポイントで低減することが可能です。

ただし、ディエッサーをかけすぎると歪みの原因等にもなり、不自然に聴こえるので適度に使用するのが良いです。



ディエッサーを使用する際のヒント

ディエッサーの画像


ディエッサー処理は「歯擦音」に対してだけではありません。

特定の周波数が大きすぎる場合に圧縮するということが本来の機能なので、どの周波数で使用するかは自由です。


ほとんどのディエッサープラグインは2~10kHzの間の特定の範囲で設定が可能なので、ボーカルの場合、最も不快なノイズは通常4~7kHzですが、それよりも低い音で使用することもあります。

例えば歯擦音ではなく、2kHzの人の耳が最も敏感に反応する周波数帯の、飛び出した不快な音に作用させることで、より自然でバック演奏に馴染んだ声にすることができます。


ボーカルキャラクターの制御

マイクの画像


ロック系の勢いのあるサウンドのボーカルが必要な場合は、高音域に余裕を持たせることが重要なのですが、明るさと暗さの微妙な境界線があることです。

ディエッサーは、その絶妙なラインを保つために上手く機能します。

こういった場合には、EQを使って6~12kHz周辺の高音域をブーストし、その部分をディエッサーで処理することで、ボーカルに明瞭さを与えつつも、不要なノイズのみを減衰させることが可能になります。

最高のクオリティは手動ディエッシング

ボーカルにディエッサー処理をかけて自動で圧縮することはとても便利ですが、より最高のボーカルにするには、時間をかけた手動でのディエッサー処理が必要です。


手動ディエッサーは、ボーカルのすべての歯擦音をピックアップして、それらのゲインを調整します。

波形の画像


かなりの作業時間を必要としますが、結果的により自然な自動ディエッサーのように聴こえ、プロの感動するようなボーカルトラックに近づけたい場合には必須のテクニックです。


手動ディエッサーには、歯擦音がエフェクトシグナルの他の部分にどれだけ強く当たるかを調節できるというメリットもあります。

素晴らしいサウンドのボーカルに自動ディエッサーを設定し、歌手が「さしすせそ」を発音するたびにコンプレッサーが目立った圧縮をしてしまい、不自然に聴こえることを最小限に抑えます。


複数のプラグインで段階的に圧縮

複数のプラグインの画像


これは、ディエッサーのみではなく、コンプレッサー全般にも使える一般的なテクニックです。

一度に多く圧縮することは基本的にはNGとされており、複数のプラグインエフェクトを使用して段階的に圧縮することで、自然な仕上がりになります。


自動と手動を組み合わせることも効果的で、ディエッサープラグインをかけた状態にしたまま、大きなノイズ部分は手動でゲインリダクションすることで、一度に多く圧縮されることを防ぎます。



まとめ


歌は音楽にとって一番フォーカスされるパートです。

限られたミックス時間をボーカルに費やすことは決して悪いことではありません。
ボーカルトラックの品質を向上させることは全体のクオリティアップにも繋がるので、たっぷりと時間をかけてミキシングしましょう。


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