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イコライザー(EQ)を上手にかける為の5つのミキシングヒント

イコライザー(EQ)を上手にかける為の5つのミキシングヒント

ミキシングや音声編集において、重要になるのがイコライザー(EQ)を使ったノイズの除去や不要な音のカット作業です。

イコライジングは、オーディオやギターアンプについているような、音質変化を目的としたイコライジングや、不要な音を除去する為のマイナス方向のカットやピーク処理といった処理方法があります。

とはいえ、どういった場面でどのようなイコライジング処理を施せばいいのか?というのは、意外と判断が難しい部分でもあります。

そこで今回は、イコライザーを上手にかける為のいくつかのポイントをご紹介します。

1. 目標とする音を明確にする

EQを使用する前に、最終的にどんな音にしたいか、完成形を明確にイメージして、現在の音と理想とする音の違いを把握してから、ミックスをスタートすることが大切です。

実際にイコライジングを施す前に、本当にEQが必要かどうかを判断しましょう。EQは必ずしも必要な処理ではなく、それよりも楽器本来のサウンドや打ち込みの段階で理想の音に近づけることが最も重要です。特に生楽器の場合、マイクの配置や楽器の調整、トーンの調整などで十分に理想の音に近づけることができるはずです。

続いて、EQをかけていない状態のトラックを聞いて、どこの帯域に問題があるのかを確認します。次に、最終的な形を考えながら処理を開始します。この作業を怠ると、途中でゴールを見失いやすくなり、ミックスが混乱することがあります。

もしEQを行う場合でも、その前にフェーダーや音量調整、パンニング(定位)などで可能な限り調整を行いましょう。音量のバランスを整えたり、音を左右に配置したりするだけでも、埋もれた音が聞こえやすくなることがあります。

2. 本来の音を取り戻すためのイコライジング

EQには不要な音をカットしたり、足りない帯域をブーストしたりと様々な使い方がありますが、最もスタンダードな使い方として、他の楽器が加わった場合に、それぞれの楽器が本来の音が忠実に鳴るように調整することです。

例えば、トラックが増えてきてたくさんの楽器が鳴っているような状況でも、808ベースの重低音が聴こえるようにしたり、ギターのチャキチャキとしたカッティングが聴こえるようにするといったような、それぞれの楽器が持つ個性あるサウンドを確実に鳴らすことが理想的です。

イコライジングには「平均化」という意味合いがあるので、飛び出した部分を抑えて、凹んだ部分を持ち上げるといったような使い方ばかりだと、楽器本来のキャラクターや面白さがなくなり、平凡になってしまうことがあります。

どのようにEQを使用するかは音源ソースや環境によるので一概には言えませんが、キャラクターを立たせるのか、聞きやすくするのか、どちらの目的で使用するかを明確にする必要があります。

3. 慣れない場合はカット方向に使うのが無難

EQはカット方向に使用するのが基本です。もちろんブーストする場合もありますが、あくまで余分な帯域が適切にカットされていることが前提となります。

不要な帯域をカットする

イコライザー

各楽器の不要な周波数帯域をカットするやり方です。

パラメトリックタイプのEQについている「High Pass」や「Low Pass」を使い、不要な帯域をすべてフィルターカットすることで、楽器間の住み分けを行います。

例えば、バンド編成の場合には、ギターやピアノの100Hz以下の音はほとんど必要ないとされているので、すべてカットすることでキック、ベースといった低音楽器の為にスペースを空けることができます。

また、スネアの胴鳴りの部分が150~250Hzの様々な楽器がひしめき合う場所にいて、抜けてこない場合には、Q幅を狭くしたノッチ処理を使い、ピンポイントで他の楽器をカットしてあげることでスネアが抜けてきます。

スネアの芯の部分


このようにそれぞれの楽器にとって重要な音域を見極めて、そこが他の楽器にとって不要である場合は思い切ってカットしてしまったほうが結果的によくなる可能性が高いです。

耳障りな音を探す方法

Q幅を細くしたトークンを持ち上げて、横にスライドさせることで耳障りなポイントを探します。

イコライザー


共鳴音のような、耳に刺さる不快な音なので分かりやすいと思います。

単体だとそれほど気にならなくても、楽器が重なり合うことで耳障りな音が目立つので、必ずやったほうがいい作業の一つです。

最近のデジタルシンセや音源サンプルはノイズが少なく不快な音も少ないのですが、オーディオ録音(ギターのマイク録りやボーカルのような生モノ)された音源は、かならず耳障りな音がいくつか発生しているので、複数のノッチ処理を行うこともあります。

ノッチを使って不快な部分をカット

イコライザー(EQ)を使って不要な共鳴音を処理する方法

4. EQの効果を確認する

EQを施したトラックがミックス全体にどのような影響を与えているかどうかを確認するためには、そのトラックをミュートすることが効果的です。もしトラックをミュートしても大きな影響を感じない場合は、他の楽器がその部分に干渉してしまっているということです。

他の楽器とのバランスを考慮しながら、トラックをミュートした時に穴が空いてしまったような感覚があれば、他の楽器の干渉が少なく、目的のトラックがそこの空間を独占している状態になっているということです。

他にも、低音楽器と高音楽器にわけて、どちらかのパートだけを鳴らすといったことも効果的です。例えば、リードギターのEQ効果を知りたい時には、ドラムとベースをミュートして、バッキングギターとピアノといったウワモノ楽器だけにして確認します。

また、ソロで聞いても良い音であっても、全体で再生すると良くない音になっていることあるので、EQの調整中は、ソロで再生するのではなく、全体の音が再生されている状態で行うことをおすすめします。特定の部分をカットすることで他の部分が気になってくることもあるので、全体のバランスをざっくりと調整しながら作業を進めるのが一般的です。

5. 他のエフェクトとの兼ね合いを考慮する

EQを使ったイコライジングにおいては、EQだけでなく、コンプレッションやリバーブ、その他のエフェクトなどとの組み合わせについても考慮する必要があります。

耳障りに感じていた音が、コンプレッションやリバーブを適用することで問題なく聞こえることもあれば、逆にエフェクトの使用によって特定の周波数帯域が目立つこともあります。

例えば、キックの音を作成するときに、フィルターやサチュレーションを使用して、ビーターアタックの部分を強化することがあります。この時にシンセイサイザーやエレキギター、シンバルなどの高音部分に影響して、耳障りなピークが生じることがあるため、後段にEQを挿して処理することもあります。

このように、他のエフェクトを使って処理したときの影響も考慮しながら、気になるポイントを処理するという方法も、EQではよく行われるテクニックの一つです。

まとめ

イコライザーを上手にかける為のいくつかのポイントを挙げてみました。

最初に目標とする音を明確にイメージし、EQが必要かどうかを検討するところからスタートします。次に、EQの前に音量調整やパンニングを行い、音のバランスを整えます。不要な音をカットするためにEQを使うときには、カットの方向を意識しながら耳障りな音を探し出し、ノッチ処理で修正することができます。

基本的なことではありますが、これらのポイントを押さえながら、イコライザーを上手に活用することで、ミキシングや音声編集の品質をさらに向上させることができます。

以上、「イコライザー(EQ)を上手にかける為の5つのミキシングヒント」でした。


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