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イコライザー(EQ)の使い方を徹底解説【DTM】

イコライザーの使い方

イコライザー(EQ)の使い方を徹底解説【DTM】

イコライザー(EQ)は音楽制作のミキシング、マスタリング工程で使用するツールの1つで、最も使用率の高いエフェクトとして、ミュージシャンやエンジニア問わず幅広く利用されています。

EQはプロフェッショナル向けのツールというわけではなく、一般にもスマホやスピーカー、カーステレオやストリーミングサービスまで、あらゆる音響機器に含まれています。その場合は直感的に使いやすいように「ロック」「ヒップホップ」「ベースブースター」などのプリセットを選択することで、最適な音質を提供してくれます。

DTMで使用するようなパラメトリックイコライザーではかなり細かい周多数帯域まで調整が可能で、自由度が高い分、正しく使用しないと楽器本来のサウンドを損なう可能性もあります。

今回は、DTMで使用するEQプラグインの使い方についてご紹介します。

イコライザーとは?

EQはオーディオソースの周波数ごとの音量を調整できるツールで、分かりやすいところでいうとiTunesやカーステレオに搭載されている音質調整機能もまったく同じような仕組みです。

イコライザー

ボリュームフェーダーでは全体の音量を調節することができますがEQを使用すると、そのサウンドの特定の周波数をブーストしたり、カットしたりすることができます。

イコライザー

このように特定の周波数をカットしたり、他の周波数をブーストしたりすることで、トラックごとのトーンを調整し、楽器の音質を変えることができます。

EQを使って楽器のサウンドを大きく変えることはおすすめしません。例えばエレキギターの音がスカスカに聴こえてしまう時には、EQでローミッドをブーストするよりも、アンプ側でローミッドを足し、再び録音するほうが遥かに音質は良くなります。

レコーディング段階で必要なトーンを決定しておき、EQを使用する場合は微量の修正を加える程度にしておきましょう。

周波数スペクトルについて学ぶ

EQの使い方を実際に学ぶ前に、周波数スペクトルについて学ぶ必要があります。

周波数スペクトルとはオーディオ信号の成分を解析し、目視できるように波長の順番に並べたものです。一般的には人間の可聴範囲である低音側は20Hz、高音側は20kHzに設定されていることが多いです。

イコライザー

年齢を重ねるにつれて高音域の可聴範囲は下がっていき、目安として10代で18kHz、20代で16kHz、30代で15kHzくらいにまで下がります。実際には聴こえていなくても、全体でみると何かしらの影響は受けているので(圧迫感や空気感)可聴範囲外だからといって無視することはできません。

低域側はライブハウスやクラブのような大規模なサウンドシステムを使用している場合は、20Hzの超低域でも再生することができますが、一般的なリスニング機器ではほとんど再生できない帯域です。

周波数スペクトル全体を次の5つの帯域に分けることができます。

  • 超低音域(20~60Hz)
    60Hz未満の超低音域は大型スピーカーやサブウーファー、高品質なヘッドホンが必須となる帯域です。ズンズンと胸に響くような感触。
  • 低音域(60~200Hz)
    低音域は一般的なリスニング機器であってもほとんどが再生されます。キック、ベース以外にも様々な楽器の低音部分が重なり合います。
  • 低中音域(200~600Hz)
    ローミッドと呼ばれる帯域で、様々な楽器の「芯」が集まる場所なので重要です。ギター、ボーカル、シンセサイザーといった主役級の楽器がひしめき合います。
  • 中音域(600Hz〜3kHz)
    中音域の中でも特に1.5k~3kHz付近は人間が最も聴き取りやすい「スウィートスポット」です。1番聴いてほしいリード楽器をここに配置すると前面に出てきます。
  • 高中音域(3~8kHz)
    煌びやかさが出ますが、耳に突き刺さるような攻撃的な音域でもあるので注意が必要です。ボーカルやギターの高音。
  • 高音域(8kHz~)
    シャキシャキした帯域。特に12kHz以上はエアー感を持たせるのに重要です。シンバルやシンセサイザーの帯域。

以上がざっくりとした周波数スペクトルの概要になりますが、さらに詳しく知りたい方はミキシングで役立つ楽器ごとのEQポイント一覧表【DTM】を合わせてご覧ください。

EQの使い方

それではEQの使い方について解説していきます。

繰り返しになりますが、EQはトラックの周波数帯域の特定の箇所をブーストまたはカットするために使用できるツールで、ミキシングにおいては最も頻繁に使用するツールの1つです。

DAWに付属している一般的なパラメトリックEQではトークンと呼ばれるポインターを使って、様々な形状、範囲を細かく指定することができます。

以下が一般的な7つの形状です。

  • Low Pass
    高音域をカットオフするフィルター
  • Band pass
    山なりに両サイドをカットして狭い範囲のみ通過させるフィルター
  • High pass
    低音域をカットオフするフィルター
  • Band stop
    ノッチともいいます。周辺の周波数を谷型にカットします。
  • Low shelf
    低音域側をブーストします。
  • Peaking
    デフォルト設定。周辺の狭い範囲のみに影響します。
  • High shelf
    高音域側をブーストします。

パラメトリックEQでは、以上の7つのトークン形状のそれぞれをさらに範囲指定して使えるので、かなり自由度が高いのが特徴です。

特にハイパスフィルターは使用頻度が高く、指定した周波数以下のすべてをカットします。日本だとローカットフィルターともいいますが、海外製品だとHigh Passと表記されているのがほとんどなので、こちらで覚えておきましょう。※ややこしいですがハイをパス(通す)からハイパスフィルターです。)


EQで不要な音をカットする

最初のアプローチとしてEQを使用して不要な音をカットするという使い方をおすすめします。不要な要素を取り除くことで、楽器にとっておいしい帯域を鳴らすためのより多くのスペースを確保することができます。

1.不要な低音をカット

ハイパスフィルターを使って楽器ごとの不要な低音をカットすることで、ノイズをまとめて除去したり、音被りによるマスキングを回避することができます。

ハイパスフィルター
  • 信号に混入するハムノイズ(ブーン)の除去
  • ギターの100Hz以下をカットしてベースの為のスペースを確保
  • シンバル系の低音をカット
  • リバーブ成分の低音をカット

等々、さまざまな使い方があります。

単体だと気にならないような低音成分でも、複数のトラックが混ざり合うことで膨れ上がり、トラック全体の濁りの原因となるので、不要な低域は基本的にはカットします。

もちろん、低域部分に大事な成分が含まれていることもあるので、カットが必要かどうかの判断はクリエイターの腕の見せ所です。

※フィルターを左右に動かしながら、濁りが消えてスッキリする部分と削りすぎてスカスカになる境界線を聞き逃さないようにするのがポイントです。

イコライザー


2. スウィープEQテクニック

スウィープEQテクニックは狭いQ幅でブーストし、不快な音が見つかるまで左右にスウィープする方法です。

不快な音が見つかったらそのポイントで止めてマイナス方向に下げる(3~6dB)ことで、共鳴音のみをピンポイントでカットすることができます。

イコライザー(EQ)を使って不要な共鳴音を処理する方法

複数の楽器が重なるポイントや、ライン入力で取り込んだボーカルやエレキギター、ドラムは共鳴しやすいので、必ずやるべきプロセスの1つです。

※小さな音でミックスしている時は気付かなくても、大音量で鳴らす環境だと不快に聴こえる帯域もあるので注意がしましょう。


足りない要素を強化する

不要な帯域を取り除いたら、足りない部分を強化したり、おいしい帯域をさらにブーストする方法もあります。

アコースティックギターやボーカル、ドラムキット全体にもう少し部屋鳴りのエアー感を加えたい場合には、ハイシェルフを使って8kHzくらいからブーストすると効果的です。

イコライザー

また、ベースやギターといった競合する楽器がある場合には、重なりあっている部分を削り、楽器のおいしい帯域をブーストすることで、楽器同士のスペースを確保することで解像度が上がります。

イコライザー

もちろんすべての場面においてこの方法が効果的というわけではないので、ブーストが必要かどうかは必ず「耳」を使って判断することをおすすめします。

先述しましたが、そもそも出ていない周波数をEQを使って補完するような使い方はあまりおすすめしません。可能であるなら音源ソースの低音つまみを回すか、マイクの種類や収音ポジションを変更するなどして、元となる音源の低音を増やしましょう。

もし、ギターが少しこもって聴こえるといった場合には、高域をブーストする前に不要な低音をカットすることを試してみます。反対にキックのボディが軽く聴こえる場合はビーターアタックを少し削ってみるといった具合です。

特殊なサウンドを試す

EQの使い方によっては特殊なサウンドを鳴らしたり、オートメーションと組み合わせることで様々な効果を生み出すことができます。

例えばバンドパスを使って高域と低域をカットして、中音域に特化した昔のラジオや電話の通話音のような面白い効果を得られます。

これにオートメーションを加えて、徐々にフィルターを解除していくとこんな感じになります。

Makoto Fukami - Day Is Gone

サビの手前のような盛り上がりを演出したいときには非常に効果的なテクニックです。

これ以外にもアイデア次第でさまざまなEQテクニックが使えるので、是非オートメーションと組み合わせて色々試してみてください。

まとめ

EQの色々な使い方についてお話しました。トークンの形状や幅、さらにはオートメーションを組み合わせることで自由度の高いサウンドメイクが可能になる便利なツールです。

とはいえ、EQを使用するにあたって重要なのはどのようなサウンドにしたいかをイメージして、EQだけに頼ってサウンド形成することはあまりよくありません。

海外の有名なエンジニアで「±3dB以上の修正が必要な場合はサウンドソースを見直すべきだ。」という言葉があります。元となる音源品質が最終的な音質に直結するので、ミキシングで大幅な修正が必要な場合はレコーディングから見直す必要があるかもしれません。

基本的にはノイズの除去や、不要なサウンドを取り除くために使用することを意識することが、音源クオリティの向上に繋がります。

以上、「イコライザー(EQ)の使い方を徹底解説【DTM】」でした。


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