PAN(パンニング)を正しく使用するための5つのミキシングヒント【DTM】
パンは、ステレオフィールド内のどのポジションに楽器を配置するのかを決定するための重要なパラメーターで、正しく使用することで楽器同士の干渉を回避して、左右に広がりのある音源を手に入れることができます。
伝説的なエンジニアは「ボリュームフェーダーとパンニングだけでミキシングの大部分完了するはずだ。」と述べているほど重要な要素として認識されており、パンニングの正しいやり方を理解することはミキシングにおいて非常に重要です。
パンニングの役割
パンニングパラメーターを使用することで、各トラックをステレオフィールド内に配置し、各楽器の深みと広がりを提供する役割を持っています。
適切にパンニングすることにより、リスナーは楽器がどこから聞こえてくるかを感じることができ、臨場感が向上します。さらに、楽器同士の音被りを回避することもできるので、より解像度の高い状態で音を聞くことができるというメリットもあります。
1. 重要な楽器はセンターに配置
パンコントロールを使用して、すべての楽器のサウンドステージを広げようとすることは避けるべきです。
重要な楽器、例えばボーカル、キックドラム、スネアドラム、サブベース等はセンターに配置するようにして、リズミカルでローエンドの基盤を形成する低音楽器も中央に配置することがベターです。
これにより音場が安定し、一番注目してほしいトラックを真ん中に持ってくることで、リスナーの意識を集中させることができます。さらに、センター配置することで、位相のトラブルやモノラル再生システムとの互換性の問題も回避できるメリットもあります。
2. ワイドにしすぎない
音源を出来る限り左右に大きく広げようとして、すべての楽器やサウンドを極端に大きく左右に広げることは避けるべきです。
実際にはほとんどの場合わずかなオフセットで十分です。例えば、ハイハットを左に40度、ギターを右に30度などと微調整することで、ミックスの幅を確保することができます。
ダブリングのような特殊なテクニックを覗いて、左100右100のような極端な配置は、片耳モノラルサウンドとなり、不自然に聞こえる可能性があります。
3. 周波数帯域で分ける
パンニングはサウンドステージをワイドにするだけでなく、同じ周波数帯域の楽器同士が互いに干渉しないようにするための非常に便利なツールでもあります。
例えば、ギターとキーボードのような似た周波数を持つ楽器の場合、ステレオフィールドの両サイドに振るか、もしくはセンターとサイドで分離することで音被りを解消することができます。
また、低音ほど中央に、高音にいくほどサイドに広げていくことで、全体的に理想的なステレオイメージを構成することができます。
4. パンを自動化する
DAWのオートメーション機能を使用することで、トラックの進行に合わせてパンニングを自動化することも可能です。
オートメーションを絡めることで無限の音楽アイディアを得ることができます。例えば、左から右に移動するパーカッションやサイレン風のエフェクトをスイープさせたり、モノラル音源を高速で左右に振ることで、ワイドに広がっているような錯覚効果をもたらすこともできます。
手動でオートメーションを書くのもいいですが、無料プラグインPancakeのようなパンニングプラグインを活用するのもおすすめです。
5. 定期的にモノラルで確認する
パンニングを使って左右に広がったステレオ音源は、モノラルのリスニング機器で再生したときに位相の問題や、音の干渉が発生する可能性があります。
最近では、イヤホンの他にもスマートホンの内蔵スピーカーを使って音楽を聴くことが一般的であり、そのため、ステレオミックスをモノラル再生システムに対応できるように変換する必要があります。
この問題を解決する方法は、EQを使った調整やサイドチェインダッキングまで様々ですが、ミックス中に定期的にモノラルで確認することをおすすめします。
まとめ
パンニングはミキシングにおいて非常に重要な要素で、楽器同士の干渉を避けつつ、ステレオサウンドを構築するのに役立ちます。
センターに重要な楽器を配置し、ワイドにしすぎず、周波数帯域で分けることがポイントです。また、オートメーションを活用してよりクリエイティブな効果を得ることもできます。
パンニングの正しい使い方をマスターすることで、これまでよりも魅力的な音楽プロダクションを実現することができるでしょう。
以上、「PAN(パンニング)を正しく使用するための5つのミキシングヒント【DTM】」でした。