
「弾いてみた」動画の音質を向上させる為の6つの基礎知識
「弾いてみた」動画は、映像の綺麗さも重要ではありますが、なによりも楽器自体の「音声クオリティ」が動画の伸びに大きく影響します。聞き取りやすくてバランスの取れた音だと、視聴者さんが気持ちよく動画を楽しむことができ、視聴時間も長くなる傾向があります。
とはいえ、音声品質を上げる為のプロが使うような高い機材を揃えるのは大変だし、音声編集って難しそう…って感じる人も多いんではないでしょうか?
そこで今回は、手軽に、誰でもプロっぽい音を作るための基礎的な知識をいくつかご紹介します。マイクの選び方から、録音する場所の工夫、編集ソフトでのちょっとしたテクニックまで、誰でもすぐに試せるような内容なので是非「弾いてみた」動画作成の参考にしてみてください。
音声を良くする為の4つのポイント
動画作りを始めたばかりの人でもすぐに実践できる、音声改善のポイントは以下の4つです。
- マイク選び: マイクの種類や性能で音質大きく変わります。収音性能で最終的な音声クオリティが決まると言っても過言ではないので、音の拾う範囲や感度を考えて良いマイクを選ぶのは大切です。
- 録音環境: 周りの音がうるさかったり、音が響きすぎたりすると、せっかく良い声で録音しても台無しです。録音する前にできるだけ静かな場所を選んだり、吸音材等を使って反響を抑える工夫をしてみましょう。
- オーディオインターフェイス : 楽器のアナログ信号をコンピューターで扱う為のデジタル信号に変換する為に必要な機材です。アナログ→デジタルに切り替える時の品質が音質向上に影響します。
- 編集ソフト: 音声編集ソフトを使えば、音の大きさを調整したり、気になるノイズを消したり、好みの音質に調整したりすることができます。ちょっとした編集で音がすごくクリアになるので必須ツールの一つ。
どれも導入の為のコストが低く抑えることができて、音声に大きく影響する要素ばかりです。この3つのポイントをしっかり押さえて、弾いてみた動画の音声をレベルアップさせてみましょう。
1. 録音環境を整える

楽器をマイクで収音するスタイルのレコーディングでは、部屋の形や材質がサウンドに大きく影響するので、マイクを設置する前に、録音する場所の選び方が非常に重要となります。
音の反響に関しての基本的な考え方としては、家具が少なく、表面が固い空間(バスルームなど)は音が反射しやすく、広がりと響きのあるサウンドが得られます。一方で、家具が多く、柔らかい物が多い部屋(寝室など)は音を吸収しやすいため、タイトでまとまったサウンドになります。
どちらが良いかは一概には言えませんが、求める音によって最適な環境は異なります。とはいえ、音響に関して深く調べるよりも、自分の耳を頼りに最適な音がする場所を探す方が簡単かつ確実です。
2. ゲイン量を正しく設定する
ゲイン量は オーディオインターフェイスで入力される信号の強さを表します。 最初にこのゲイン量を正しく調整して、 高品質な楽器信号をコンピューターに取り込むことが、 綺麗なライン取りのための第一歩といえます。
ゲイン量は高すぎても低すぎてもダメで、ゲイン量が低すぎると、 録音された音が小さくなり、ノーマライズ(音量正規化)の段階でノイズも一緒に立ち上がってしまうので、音質が悪くなる原因となります。

反対に、ゲイン量が高すぎると音が歪んでしまうことがあります。オーディオインターフェースの許容範囲を超えて入力されると「クリッピング」と呼ばれる現象が発生してしまいます。
一度クリッピングした音声信号はあとから元に戻すことができないので、一番避けるべきことの一つです。
3. アンプシミュレーターが重要

エレキギターの「弾いてみた」をライン録りする場合、最近では「アンプシュミレーター」と呼ばれる、実際のアンプをデジタル再現したソフトを使うことが多いですが、このアンプシュミレーターの品質がレコーディングの品質に直結します。
購入の段階で、ネット上でサウンドをチェックしてみたりして自分の好きなサウンドが鳴らせる製品を探しましょう。理想的なサウンドを手に入れるには、 アンプシミュレーターに対する知識や、音作りに対する知識が必要なので、まずは色々と試してみて自分の理想とするサウンドを探すことも重要です。
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4. マイクを使った収音

アコースティックギターの場合では、生々しい音が好まれることもあり、マイクによる集音方法がよく使われます。 エレアコをライン入力で録音するような場合でも、マイクで録った「生音」を重ねて、両方の良い部分を上手くミックスするということも行われます。
アコギ録音で使用するマイクは「コンデンサーマイク」と呼ばれるより繊細な音を拾えるマイクを使って行います。しかし、ノイズを拾いやすいのと、価格が高めなので、予算や録音環境に合わせて「ダイナミックマイク」でも収音も考慮しましょう。
マイクはサウンドホールから15~30cmほど離し、ネックとボディの接合部あたりを狙うのが基本ですが、角度や距離を変えて、好みの音を探してみてください。
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5. 「コンピング」テクニックを使う

コンピングとは、ボーカルレコーディング時によく使われるテクニックで、何回かテイクを重ねて録音し、最も良い部分だけをつなぎ合わせて一つのトラックにする工程のことです。
もちろんギタートラックにも効果的で、各テイクの良いところを選び、一部を切り貼りしたり、クロスフェードさせたりして、全体でワンテイクで録ったような自然なギタートラックを作り出すことができます。
時間の制限なく、何テイクも録り直したり、良い部分を繋ぎ合わせたりして編集できることが、自宅レコーディングの一番のメリットと言っても過言ではありません。
6. DAWのエフェクトプラグインの活用

DAWの中で使用できる各種エフェクトプラグインは、 ギターで使用する「コンパクトエフェクター」やアンプシミュレーター内で使用できるエフェクトに比べると高品質かつ、機能面で優れていることが多いです。
エフェクトの種類としては、EQ、コンプレッサー、リバーブ/ディレイ、ディストーション(歪み系)など、様々な種類のエフェクトがあり、機能面ではギター用のエフェクターと変わらないですが、より細かい設定が可能になっているので、さらに突き詰めた音質調整が可能です。
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まとめ
「弾いてみた」動画の音声品質を向上させることができれば、長く動画を見てもらうことができ、再生回数の向上にもつながります。
細かい音作りや、EQ、コンプレッサーで調整する前に、元となる録り音からなるべく高品質なサウンドで収音することが一番大切です。
あとはコンピングのようなデジタルならではの編集テクニックや、プラグインエフェクトを導入することで、より洗練されたサウンドに昇華することができるので、ぜひ試してみてください。
以上、「「弾いてみた」動画の音質を向上させる為の6つの基礎知識」でした。