自作曲をプロクオリティに仕上げる為に必要な7つの要素
自作曲が完成したあとに改めて聴き返してみると、プロの楽曲と比べて迫力が足りないと感じたり、目標としている世界観が再現できていないと感じてしまうことはありませんか?
音楽制作の世界において、自分自身の音源をプロクオリティに仕上げることは、常にアーティストの目標です。作曲者として、自作曲をより洗練されたサウンドに仕上げ、音楽ファンに対してより魅力的な音楽体験を提供したいと思っています。
そこで、この記事では、自作曲をプロフェッショナルなレベルに引き上げるための7つの要素をご紹介します。
1. リファレンスを用意する
自分の理想的なサウンドを探して、参考とするリファレンス音源を用意することはミックスのゴール地点を見失わない為にも非常に重要です。
すべてをゼロから組み立てる、完全なオリジナリティにこだわる方をたまに見かけますが、まず自分より優れている人やプロの作品を参考にするというのは、どの分野でも当たり前に行われていることです。
自分の楽曲のハイハットの大きさが適切かどうか、ボーカルが埋もれ過ぎていたり、浮いてしまっているかどうかも、ミックス作業に没頭していると判断できなることもあります。
特に初心者の頃は、常にリファレンストラックを聴きながらバランスを見失わないように作業を進めることで、正しい感覚を身につけることができます。
→綺麗にミキシングマスタリングされた高音質な音源5選【ジャンル別】
2. 良質な音源を用意する
音楽制作において、元となる音源ソフトやサンプルの音源クオリティが最終的なサウンド品質に大きく影響します。
品質の悪いサンプルや音源をいくらミックスで修正しても良い音にはならないので、プロ品質のトラックを作成したい場合は、初期投資として最高品質の製品を揃える必要があるかもしれません。
何を導入すればいいか分からない場合は、自分の理想とするプロデューサーの使っているプラグインを調べて、真似してみるのもいいかもしれません。
→高品質なサンプルパックメーカーおすすめ5選【DTM】
サンプル音源コレクターにならない
筆者自身もDTMを始めた頃は、色んなシンセサイザーや音源サンプルを購入したり、無料や安い製品を見つけてはダウンロードして10,000個は超えるサンプル音源を所持していましが、結局今となってはほとんど使うことなく、フォルダの中で眠っています。
期間限定無料配布とか極端に割引きされている製品を見つけると、つい手を出してしまいがちですが、結局使うことなくコレクションの一部と化している方も多いんじゃないでしょうか?
安い製品に出費を重ねるぐらいなら、初めに最高品質のシンセサイザーやサンプルを少数購入してしまったほうが、長期的にみると無駄なコストを抑えることができます。
3. トラックの重要度を決める
ミックス内のたくさんある楽器要素の中から、あらかじめ重要度の高いものを自分の中で決めておきましょう
ミックススペースは容量が決まっていて、ボーカルもギターもキックもすべての要素を同じようなバランスで聴かせることは不可能です。ミキサーの重要なトラックから順番にスペースを埋めていくように配置することで、トラック同士が干渉することなく、最終的な音圧も上げやすいというメリットがあります。
まずは作者自身が聴かせたいトラックをしっかりと把握しておくことが大切です。トラックの重要度はジャンルや流行でも変化するので、常に最新ヒットチャートをチェックしたり、音楽情報を収集してトレンドを把握しておくことも必要です。
4. 不要なトラックの削除
初心者の方がよく勘違いしていることの一つとして、「トラック数は多いほど良い」というものがあります。
トラックが多いこと自体は問題ではないのですが、上級者ほど「引き算アレンジ」を行っているということです。常にトラックを足したりブーストするのでは無く、余計な音を削除したり、EQを使って不要な帯域をカットすることで濁りが解消し、結果的に良くなる場合が多いです。
→EQ(イコライザー)を使って不要な音をカットしよう
プロのエンジニアやプロデューサーはまずは削除できる不必要なトラックが無いかをチェックするとも言われています。トラック数が多く見えるプロデューサーも実はほとんどがオートメーショントラックのような補助的な役割のトラックである場合が多く、音源の数はそれほど多くありません。
5. 音量バランス
トラックごとのボリュームの調整がミックスの基本中の基本であり、適切な音量レベルの設定がミックスダウン工程の9割を占めていると言われています。
リファレンストラックを使用して、すべてのトラックの音量レベルを重要度の順に設定するのですが、ここでも気を付けるべきなのが、ブーストさせるよりも、なるべくマイナス方向にフェーダーを動かしてスペースを確保することです。
例えば高音域が足りないと思ったら、ギターやシンセをブーストするのではなく、ベースやキックの低音を削ることで相対的に高音が抜けてきます。それでも足りない場合に少しブーストしてみるといいでしょう。
次に、重要なポジションの楽器は全体の音量バランスの指針となるので、一度決めたらなるべく動かさないようにしましょう。
例えばキックから音量バランスを取り始めたのに、あとになってキックが大きいからとフェーダーを下げてしまうと、トラック全体に影響を及ぼしてしまい、いつまでも音量バランスが決まりません。
トラック全体の中心となる楽器を基準にして、他の楽器の音量バランスをとると上手くいきやすいです。
6. サウンドレイヤー
音楽制作における「レイヤー」とは、2つ以上の音を重ねるという意味合いがあります。
デジタル音楽、特にエレクトロ界隈では、キックやスネア、リードシンセからコードバッキングまで、ほぼすべての楽器に対して音を重ねるということが当たり前に行われています。
音の重ね方にも技術が必要で、基本的には足りない音域を補うために重ねるので、EQなどを使用してしっかりと住み分け処理をしてから重ねるのが基本です。
何も処理せずにただ音を重ねてしまうと、音がぶつかり合ってしまい、逆に音がこもってしまう原因にもなるので気を付けましょう。
→レイヤーを使用してサウンド強化する為の10のヒント【DTM】
7. こだわりを妥協しない
音楽は感情を伝える作品です。こだわりを持って作曲者の情熱や意図を音楽に込めることで、聴衆に強いインパクトを与えることができます。
独自のサウンドを作り出すために、エフェクトやサウンド処理テクニックを活用して、サウンドデザインにたっぷり時間をかけることで、他の作曲家との差別化を図れます。
「魂は細部に宿る」という言葉があるように、些細な微調整や、膨大な作業量のわりに効果が分かりずらい内容も、妥協せずに取り組むことで、プロフェッショナルな作品に昇華させることができます。
まとめ
自作曲をプロクオリティに仕上げる為に必要な7つの要素についてご紹介しました。
- リファレンスを用意する
- 良質な音源を用意する
- トラックの重要度を決める
- 不要なトラックの削除
- 音量バランス
- サウンドレイヤー
- こだわりを妥協しない
もちろん作曲においてのアレンジ、リズム、メロディー、コード進行、ミックス&マスタリングといった直接的な要素もプロフェッショナルな作品に仕上げる為には非常に重要です。
自作曲をプロクオリティに仕上げるためには、サウンドデザイン、音楽に対する情熱など、様々な要素に注意を払う必要があります。プロの手法やテクニックを学び、独自のアイデアを加えながら、自分の音楽を向上させていきましょう。
以上、「自作曲をプロクオリティに仕上げる為に必要な7つの要素」でした。