エフェクターボードを組み立てるときによくある7つの間違い
ギタリストはエフェクターを購入して、自分が理想とするギタートーンを鳴らすために、試行錯誤しながらエフェクターボードを組み立てています。
ギターのトーンは主観的なものであり、本人が望むサウンドが出ればそれで十分です。エフェクターボードを組み立てるときにルールなようなものは存在しません。
しかし、いくつかの要素に注意しながら組み立てないと、理想とするサウンドを実現することができず、かける時間とお金が無駄になってしまうこともあるかもしれません。
そこで今回は、エフェクターボードを組み立てるときによくある間違いについてご紹介します。
1. ボードに余裕がない
将来、エフェクターを追加する可能性があるのなら、少し余裕のあるサイズのボードを選択することをおすすめします。ほとんどのギタリストは、現在のエフェクターの数にぴったり合うボードを選択することが多いと思いますが、エフェクターを追加したときに、ボードを新設する必要が出てくる場合があります。
「欲しいエフェクターがあるけど、またボードを買わないと…」となり、ボードのサイズが機材導入の障壁となって、拡張性や新しいサウンドを試す機会を失うことにもなりかねません。
特に初心者の頃は色々なエフェクターを試したり、コレクションしたりする傾向にあるので、エフェクトボードを購入する際には少し先を考えて、やや大きめのボードを購入することをおすすめします。
2. パッチケーブルにこだわらない
ギターとアンプを繋ぐシールドにはコストをかけるけど、エフェクター同士を繋ぐパッチケーブルは極端に安価な製品を使っているという方をよく見ます。
以前にこちらの記事でもご紹介したように、電気信号の伝達は基本的に引き算です。ギター本体からアンプスピーカーまで、全体でみて劣化を少なくすることで、高品質なサウンドが手に入ります。
例えば、ギター本来の音を100とした場合に「性能が95」のシールドを2本使ってアンプに伝達したとき
90の音質がアンプのスピーカーから出力されます。
これを仮に予算が無いからとの理由で、パッチケーブルを低品質な「性能が50」のケーブルを使用したとすると…
音質が一気に40まで落ちてしまいます。実際はここまで極端な話では無いですが、信号伝達のイメージとしては引き算であるということです。
エフェクターからアンプ部分を、高級なシールドを使用したとしても、失われた信号が回復するということはありません。
劣化を最小限にする為にも、シールド系は全体に均等にコストをかけることが重要です。
3. ペダルの順序と信号の流れ
エフェクターのつなぎ方に正解はありません。エフェクターの配置を試行錯誤して、独自のクールなサウンドを見つけることも楽しみの一つです。
とはいえ、エフェクターの仕組みや機能を十分に理解せずに、順序を間違えて配置している場合は、それぞれのエフェクター本来のサウンドを鳴らすことは難しいかもしれません。
エフェクターの接続順序は全体的なトーンに大きく影響を与えるため、理想とするサウンドの明確なイメージを持つことが、最適な順序を決めるための重要な要素となります。
→エフェクターは繋ぐ順番に気を付けよう!エレキギターの正しいセッティング方法
4. 電源供給に配慮していない
各エフェクターには適切な電力要件があります。間違った電力供給や電圧の変動は、エフェクターを損傷する可能性があります。正しい電源を使用することで、エフェクターを安全に運用し、長寿命に保つことができます。
それ以外にも、安定した電源を使うことで、エフェクトシグナルにノイズを混入させるリスクを減らすことができます。特にデジタルエフェクトはクリーンな電力供給を必要とし、ノイズが混じるとパフォーマンスや音質に悪影響を与えることがあります。
分配コードを使ったコストのかからない簡単な電源供給の方法に誘惑されるとは思いますが、エフェクターにコストをかけるのと同じくらい、パワーサプライといった電源供給手段を導入することで、ノイズを最小限に抑えることができます。
5. メインの歪みだけで飽和している
多くのギタリストのエフェクターボードには、歪み系を含めたいくつかのゲインアップペダルが配置されていることがほとんどだと思います。メインのオーバードライブやディストーション、ファズ以外にも、ブースターのような複数のゲインソースを配置している場合は、それらのペダル同士がうまく連携して機能することが重要です。
よくある間違いとしては、メインのドライブ系エフェクターだけでゲインを最大にしてしまうことです。他のエフェクトをONにしたときに、歪み過多でサウンドが崩れるのを防ぐ為にも、ある程度のヘッドルームを確保しておくこと必要があります。
組み合わせたドライブエフェクトのそれぞれのゲインを下げ、複数のドライブをONにした状態で必要なゲイン量に達するような状態にすることで、より多彩で芯のあるサウンドを鳴らすことができます。
6. エフェクターを挿しすぎる
市場には魅力的なエフェクターがたくさんあるので、ついコレクションしたくなりますが、実際には、追加したエフェクターがより良いサウンドの為に必要かどうかはまた別の話です。
1つのボード内に必要以上に多くのエフェクターを配置すると、音質劣化の原因やノイズが発生するだけでなく、セットアップが複雑になり、ライブ中に踏み間違いといったミスに繋がる可能性もあります。
必要なペダルを厳選して、不要なエフェクトをエフェクトチェーンから外すという決断も時には必要です。これにより、原音を損なわないクリーンなサウンドが手に入ります。
7. バッファを使用しない
バッファとは、エレクトリックギターの信号を増幅し、クリーンで強力な信号を保持するための回路です。ギターの信号は、長いケーブルや多数のペダルを通過すると、減衰しノイズが増加する可能性があります。バッファは、信号の強度を増幅し、インピーダンスの整合を行い、信号のクオリティを維持します。
最近のエフェクターには「トゥルーバイパス」が搭載されていることが多いですが、長いケーブルや複数のエフェクトを使用する場合には、信号ロスや高周波ロールオフの問題が生じることがあります。そのため、バッファ回路を使用することでこれらの問題を軽減することができます。
シグナルチェーンの始めや終わりにバッファペダルを追加することで、ギターの信号の完全性を維持し、音色の劣化を防ぐことができます。
まとめ
エフェクターボードを組み立てるときのいくつかの間違いをご紹介しました。
- ボードに余裕がない
- パッチケーブルが低品質
- ペダルの順序と信号の流れ
- 電源供給に配慮していない
- メインの歪みだけで飽和している
- エフェクターを挿しすぎる
- バッファを使用しない
エフェクターボードを組み立てるときにはこれらの要素に注意しながら、理想とするトーンを最大限に引き出すために必要最低限のエフェクターを揃えることが重要です。
そこから、エフェクターの順序、ケーブルの使い方、電源の選択など、これらを最適なものにすることで、より効果的でクリーンなサウンドを実現できるでしょう。
以上、「エフェクターボードを組み立てるときによくある7つの間違い」でした。