
TAB譜に頼らない!耳コピだけで音を正しく判別する為の7つのテクニック
「耳コピ」は、楽器を演奏する上で非常に便利なスキルの一つですが、音楽をはじめたばかりの方にとっては難しいスキルです。
耳コピができるようになることで、自分の好きなアーティストの曲を弾こうとするときに楽譜を購入したり、TAB譜をダウンロードする必要もなくなり、簡単な楽曲であればさっと演奏できるようになるので、早めに習得したいスキルの一つでもあります。
「耳で聴いて音が分かるなんて、絶対音感が必要なんでしょ?」と思う方も多いとは思いますが、そんなことはありません。絶対音感がなくてもいくつかの方法使うことで、音の判別は簡単になります。
1. スローダウンソフトウェアを使う

音楽をスローモーションで聴くことで音の判別が簡単になります。DAWにスロー機能が付いていたり、速度を落とすことができるスローダウンソフトウェアを使うことで、楽曲スピードを下げてリスニングすることができます。
これにより、目的のパートを簡単に聴き取ることができ、耳コピの精度を向上させることができます。まずは使用しているDAWソフトにスロー機能が付いていないかを確認して、なければスローダウンソフトウェアのAmazing Slow Downer、Audacityなどを利用してみましょう。
また、YouTubeのような一部のプラットフォームでは「スロー再生機能」が搭載されているので、そちらの機能を使って耳コピを進めるのもアリです。
2. ステム分離機能を使う

ステム機能とは、楽曲をボーカルやドラム、ギター等の楽器ごとに分けて出力したり操作したりする機能のことです。トラック内のパートごとの要素を個別に操作できるようになるので、例えばギターパートのみの音量を上げたり、ピアノパートだけを抜き出して、他のトラックはミュートするといったことも可能になります。
ステムとして分離することで、聴きとりたいパートだけを抽出することができるので、耳コピのやりやすさが大幅に向上します。最近だとDAWの機能として付いていたり、LALAL.AIといったツールを使用することでステム分離機能を使うことができます。
→ボーカルリムーバー | 音楽抽出サービスおすすめ10選
3. 楽曲のキーを見つける

耳コピが上手い人は、実は耳で聴いてすべての音を判別しているわけではなく「キーを見つけてその楽曲内で使われている音を特定する」という方法を使っています
キーが分かればダイアトニックスケールにあてはめて、楽曲内で使われている音がある程度しぼりこめるので、耳コピの難易度もかなり下がります。
さらに慣れてくると、コード進行のセオリーに沿ったり、フレーズのよくある「型」みたいなものに当てはめることができるようになるので、格段に耳コピスピードが向上します。
4. 相対音感を鍛える

一番確実でスピーディーな耳コピが可能になる方法が「相対音感」を鍛えるということです。絶対音感は幼少期にトレーニングを受けないと身につかないと言われていますが、相対音感はどのタイミングでも訓練すれば身に付きます。
相対音感は、音の高さの相対的な関係を聴き分ける能力のことです。絶対音感とは異なり、音の高さを「ド・レ・ミ」といった音名で捉えるのではなく、音と音を比較することで判断します。例えば「これが"ド"の音です。ではこの音は何でしょう?」といった具合に、一つの音がわかっていれば、もう片方の音を相対的に聴き分けることができるというスキルです。
相対音感の鍛え方
- 楽器の練習 : 楽器を演奏することで、音程の感覚が自然と身についてくるので、相対音感のトレーニングに最適です。
- 音程を意識して音楽を聴く:音楽を聴くときに、音の高さの相対的な関係を意識して聴くようにしてみましょう。様々なジャンルの音楽を積極的に聴くことで、色んなスケールやメロディーを学ぶことができます。
- 音階練習:音階を聴き分ける練習をすることで、相対音感を鍛えることができます。例えば、ピアノの鍵盤で"ド"を鳴らした後にランダムに音を鳴らし、どれくらい離れた音なのかを当てていきます。
- 音楽理論の勉強:音楽理論の基礎的な知識を身につけることで、相対音感を鍛えることができます。例えば、音程や和音の構成など、音楽理論の基本的な知識を学ぶことが大切です。
- トレーニングアプリを利用する:スマートフォンやタブレットには、音階練習や相対音感を鍛えるのに役立つアプリが多数あります。
相対音感を身につけることで、音楽の理解や演奏において、より高度な表現力を持つことができます。音の度数による音の役割も把握することができるようになります。
5. 解像度の高いヘッドホンを使う

耳コピが上手い人でも安価なスピーカーやスマホスピーカーのような音の解像度の低い再生機器では難しいものです。一つ一つの音が聴き取りにくいうえに、低音再生能力も低いので、いまいちコード感がつかめず苦戦します。
耳コピを簡単に行いたい場合は、プロフェッショナルがレコーディング等で使用する「モニターヘッドホン」をおすすめします。モニターヘッドホンは一般的なリスニング機器と比べると少し高価ではありますが、音の解像度が非常に高く、ひとつひとつの音がはっきりと認識しやすくなります。
さらに、品質の良いリスニング機器は低音再生能力が高いことがほとんどなので、ベース音が聴き取りやすく、コード進行の判別が比較的簡単になります。
→耳コピに役立つアプリおすすめ5選
6. 一番低い音と高い音に集中する

人間の耳は色々な音がごちゃ混ぜになっていても、一番低い音と一番高い音は認識しやすくなっています。特に一番低い音がわかればコードを判別することができるので、そこから使われている音を絞り込むことができるようになります。
ベースの音を聴き分けることができるようになれば、その音をコードのルート音(和音の一番重要な音)であると仮定して音を探していきます。※ベースの音がC(ド)の音だった場合は、その部分ではCコードが鳴っている可能性が高いということです。もちろん例外もあるので一概には言えませんが、音を探すためのヒントとして使えます。
→ギターの耳コピをもっと簡単にする5つの方法
7. 聴き取りたい部分で止める

最後はかなりの力技ですが、聴き取りたい部分で楽曲を一時停止するというテクニックがあります。人間は一番最後に聴こえた音を鮮明に記憶するので、聴き取りたい音が再生された瞬間に曲を止めることで、頭に強くその音が焼き付きます。
しかし、実際に曲の初めから終わりまでこの方法を行っているとすごく時間がかかるので、どうしても聴き取れないポイントがある場合に使用してみましょう。
まとめ
耳コピは音感を鍛える為にも非常に重要なスキルの一つです。しかし、初心者や中級者にとっては、聴いた音を正確に把握することが難しい場合があります。実際、耳コピは慣れや訓練が必要なスキルであり、時間と練習が必要です。
これらの方法を使って、耳コピのスキルを向上させることで、たくさんの楽曲を弾けるようになったり、より自信を持って演奏することができるようになるので是非試してみてください。
以上、「TAB譜に頼らない!耳コピだけで音を正しく判別する為の7つのテクニック」でした。