エレクトロダンスミュージック界隈が再成長!フェス向けの音楽が注目を集める
2020年から続く社会情勢の変化によって、音楽業界は非常に大きな経済的損失を受けました。
そこから2年が経ち、昨年の夏以降は海外を中心にライブ、コンサートといった興行ビジネスが再び息を吹き返してきています。国内においても今年は海外アーティストを呼んだクラブ、ライブ、フェスが数多く発表されるなど、音楽業界は以前の盛り上がりを取り戻しつつある状況です。
エレクトロミュージック産業の現在
イビサ島で3日間開催されるEDMカンファレンス「International Music Summit」では、現在のエレクトロダンスミュージックシーンの動向をまとめたレポートが発表されました。
レポートによると、2021年のエレクトロダンスミュージック産業の評価額は60億ドル(約7600億)と推定されており、前年34億ドルからの大きな成長が見られました。
評価額の中身は、音楽機材(ソフトウェアとハードウェア)、音楽販売とストリーミング、DJとアーティストの収益、イベント収益といった各音楽ビジネスを考慮して算出されており、今年から新たに音楽学習カテゴリーが追加されました。
ストリーミングは好調だが…
またストリーミングセールスは前年比24%増となっており好調ではありますが、一方でストリーミングから年収800万円以上の収益を得ているアーティストはわずか1650人であることも明らかになっています。このことから以前もニュースに取り上げた「アーティストの対立「十分な報酬が支払われていない」といったクリエイターエコノミーを巡る問題が浮き彫りになっています。
ストリーミングの巨人「Spotify」は、この問題に取り組むべくShopifyと提携したストア販売やファンが直接的に支援できるスーパーファン機能、アーティストページに表示可能なNFTギャラリーといったさまざまな施策を打ち出していますが、ストリーミングだけで生活できるクリエイターはわずか720人という厳しい結果が報告されています。
フェスのチケットの検索数は1.5倍増
2021年のEDMフェスのチケットの検索数はコロナ前の2019年に比べて150%増。クラブイベントに関しては36%に留まっていたことから、昨年はクラブイベントよりもコロナ禍で延期が相次いだフェスの需要が高まっていたことがわかります。
全体の評価額では、2020年に25億ドルだった評価額は166%増に。とはいえ、2019年と2021年を比較した場合は42%減少しているという結果になり、ここからの興行需要の回復に期待といった感じです。
CD、レコードのアナログ媒体も好調
音源のセールス部門では、2021年はフィジカルセールス、ストリーミングセールスともに成長しており、CDやレコードといったアナログ媒体では、巣篭り需要によってここ2年は右肩上がりの昨年比51%増、CDが昨年比9%増となり、20年ぶりにフィジカルセールス全体の売上が成長を続けています。
まとめ
今年のIMSレポートにより、停滞を余儀なくされた音楽、興行産業が徐々に回復傾向であることがわかりました。その一方でストリーミングといったクリエイターへの分配問題といった本質的な課題も浮き彫りになっています。
NFTの導入といった最先端のテクノロジーで、より公平にアーティストに還元されるモデルが完成することに期待しています。