作曲に楽器も理論もいらない!?英国のSpotifyトップ100アーティストの71%は「独学」という調査結果に
英国のSpotifyのトップ100アーティストの4分の3が、専門的な教育を受けていない独学のミュージシャンであることが判明しました。これは、ピアノ学習アプリ「Skoove」とCrafins Studioのデータ解析チームによる新しい調査結果によるものです。
調査によると、Spotifyプラットフォームのトップアーティスト71%が正式な音楽教育を受けておらず、上位100 人のうち、音楽学位を持っているのは13%で、音楽学を修了していない人が3%でした。この統計によって、これまでのように高度な楽器演奏スキルや、専門的な音楽知識を持っていなくても、人の心を動かす楽曲を制作できることを意味しています。
音楽を学ぶ為のツールが増えた
この変化は、スマホが普及してYouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームのおかげで、音楽学習の為の情報にかつてないほど簡単にアクセスできるようになり、学習の為のコストがかからないということも大きな一因となっています。
その他にも、楽器ごとのオンラインレッスンや、専用アプリの登場によって、これまでのようなスタジオを借りて行う対面レッスンよりも、気軽により手軽な価格で十分なレベルのレッスンを受けることができるようになっています。
とはいえ、今となってはまったく新しい現象といったことでもなく、これまでもオンラインを活用したり、独学で作曲するミュージシャンは何十年も前から存在していました。そういったミュージシャンのほとんどは、たくさんの楽曲を聞きながら自分の耳で学んだり、自ら情報にアクセスして学んだりしてきました。
音楽ソフトウェアの進化
さらに、各種音楽ソフトウェアのテクノロジーが進化したおかげで「ミュージシャンではない人」でも、音楽を作成、演奏することがはるかに簡単になりました。コンピューターとDAWと呼ばれる作曲ソフトウェアを持っているだけで、専門的知識が無くても直感的に曲を作ることができます。
また、バーチャルインストゥルメントと呼ばれるいわゆる「仮想楽器」を導入することで、楽器を持っていなくても同じようなサウンドをデジタル再現することができ、もはや楽器演奏スキルの有無は参入障壁ではなくなりました。
音楽生成AIの参入
最近ではAIテクノロジーの進歩により、音楽制作の世界はこれまでにないほど簡単にアクセスできるようになっています。画像生成AIや動画生成AIが世間を賑わせていますが、音楽分野にも同じように革新的な技術が採用されています。
まず、AIを活用することで音楽理論や作曲の知識を持っていなくても、簡単なトラックであればワンクリックたった10秒ほどで楽曲を生成することができるようになっています。機械学習アルゴリズムを使用して、ユーザーが指定した条件に基づいてオリジナルの楽曲を作曲することができるので、例えば「ピアノを使った切ないバラード曲」や「速いテンポのヘヴィメタル」のような指示だけで、オリジナルの楽曲を作曲することができます。
【AIで作曲】自動音楽生成サービスおすすめ17選
誰でも作曲ができる時代
伝統的な音楽を重んじる人にとっては、現代の著名なアーティストの多くが音楽教育を受けておらず、音楽作品の"民主化"が進むことを嘆くかもしれませんが、SkooveのCEOであるFlorian Plengeはこの流れをポジティブなものだとして捉えています。
「正式な教育の統制された構造の外で学習することにより、個人が独学による学習や楽器への取り組みに制約がなくなるため、より自由に創造性を表現できるようになる可能性があると主張することもできます。」 「従来の枠組みやサポートがなければ、彼らは学習において機知に富み、自分の足で立つ必要があります。」
Skoove CEO Florian Plenge
生成AIによって変化しつつある音楽業界の5つのトピック
Spotify「過去12ヶ月間で再生数が1,000回未満」の楽曲の収益化を廃止